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『ジキル博士とハイド氏』

  • スティーヴンスンの作品。
  • 原題"A Strange Case of Dr.Jekyll and Mr.Hyde."
    • 岩波文庫版は『ジーキル博士とハイド氏』という題名。
  • スティーヴンスンはかねてから人間の二重性格を扱った作品を書くことを志していた。同じ主題の短編"Markheim"で満足できなかった彼は、考を練っているときに夢に『ジキル博士とハイド氏』の2,3の場面が現れた。彼はすぐにこの夢を物語に書き上げた。しかし、この作品を見た彼の妻が、元来寓話であるべきものを単なる物語として扱っているという批評をした。彼はこの批判を認め、新たな見地からすべて書き直すことに決心し、その原稿を焼き捨てた。それから全精力を持って3日で書き上げ、1ヶ月余りの推敲の経て、完成させた。これは1886年1月に出版され、たった半年で6万部が売れた(英国だけでこの部数)。

『ジキル博士とハイド氏』が売れた理由

  • この作品はスティーヴンスンの諸作中で明瞭な観念を持つ唯一のもので、そこには神の定めた運命の領域を越えようと試みた科学的異端の敗北が説かれていたからである。
    • それはまだ小説というものを読んだことのない人にも読まれ、教会の説教の中で引用されたり、宗教新聞の論説の題材にもされた。
  • 宗教的意義を除いても、この作品は人間の二重人格を主題にしているという点で興味を持たせるだろう。
    • 自己の中に多少なりとも分裂を意識していない人間はほとんどいないだろうからである。

参考文献

  • 『ジーキル博士とハイド氏』岩田良吉 訳(岩波文庫)