目次 †
アンケート調査 †
アンケート調査とは、様々な実体や動向、あるいは個人の意識実態などを定量的に把握したり、裏付けデータや基礎データを入手する手段である。
アンケート調査の目的 †
アンケート調査の主要な目的には次のようなものがある。
- 会社や団体、各部門の実体とか、動向などを定量的に把握する。
- 社員や個人の意識実体を定量的に把握する。
- 将来を予測するための定量的データや情報を入手する。
- 各種の方針・戦略・施策などを立案するためのヒントや情報を得る。
効果的なアンケート技法 †
効果的なアンケート技法のポイント †
アンケートは準備に時間をかけなければならない。何を知るか、誰から情報を得たいかを明確にして、アンケート項目の作成を行う必要がある。その処理をどのようにするかで規模や方法は変わってくる。
この準備段階から実施までは、次の事項に留意する。
- アンケート調査の目的と調査テーマの設定
- 調査の基本方針と全体スケジュールの設定
- 調査テーマについての予備調査
- 調査の枠組みの設定と質問項目の整理
- アンケート調査用紙の作成
- 各設問ごとの集計・分析方法の設計とそれに基づいた各設問のチェック
- 関係者によるアンケート調査用紙の最終レビュー
- 印刷手配と校正
- 回答者の選定
- 詳細スケジュールの設定と役割分担の決定
- アンケート調査用紙の送付
個人面接法によるアンケート調査の留意点 †
アンケート調査を配送方法で分類すると次のようになる。
個人面接法は、調査員が調査相手一人に対応して、アンケート項目に沿って質問する方法である。調査員は質問を読み上げる場合、次の点に注意しなければならない。
- 調査相手がその質問に答えられるような状況を作っているか
- 目的を的確に相手に伝え、こちらが何を知りたいのかを理解してもらうことが重要である。
- 内容的にかなり難しい問いが含まれているときは、とりわけ調査相手の協力を求めるわけだから、協力者としてお願いする必要がある。
- 分かりにくい問に関しては2,3度繰り返して説明をする
- 状況によっては、調査相手にアンケートを渡しておき、後で郵送あるいは手渡ししてもらう場合がある。
- 質問の方法としては、同じ質問を単純に繰り返すことは意味がない。しかし、調査員が質問の意味を説明してしまうことによって、かなり主観が入ってしまうことがある。このことにより、回答に影響が見られるということも考慮しなければならない。
- 表現を変えて質問したり、時間差をおいてから質問することは有効である。
アンケートの実施とその手順 †
アンケート用紙の作成 †
アンケート用紙の回答形式は事前に内容との関係を考慮して決める必要がある。次のような形式があるので、目的別に覚えておくとよい。
- 自由回答形式
- 単一回答形式
- 複数回答形式
- 1つの質問に対して選択肢を複数示し、その中で2つ以上を同時に選択
- 限定回答形式
- 順序付回答形式
- 各選択肢の内容項目を順序付け、優先順位を知りたいときに使用する
- 甲乙対比方式
- 互いに異なる2つの意見を示し、いずれの意見かを問う
- 段階選択方式
- いくつかのランク付けを問う。段階は奇数に分ける。中間に比較的中立的な意見を入れて、左右を極端な場合に置く。
アンケート調査用紙の作成に際しては、次の事項を留意する。
- 回答のしやすい設問順序にする
- 記入しやすい設問の設計をする
- 読んですぐわかるような設問にする
- 「その他」の回答には、具体的内容を示す
- 否定回答の場合は、その理由を回答できるようにする
- プロフィール設問は、層別集計を念頭において設問内容を考える
- 問題点や意見・要望などの自由記入欄を設ける
- 集計処理の仕方を前提にした設問の設計をする
- できれば「記入例」を前提にした設問の設計をする
- 回答者を明記しないで済むようにする
- 必ず「問合せ先」の明示をする
問いかけの順序 †
問いかけは次のような順序が一般的だが、ケースに応じたユーモア・事例・例え話など工夫がいるだろう。
- 一般的な質問
- 分野別の質問
- 属性などについての詳細な項目
- 今後企画しようとしている内容項目への参加についての項目
問いかけに際しての注意点 †
アンケートでは、あまり先の質問の内容を見せないことが重要である。先の質問まで見せてしまうと、それ以前の質問の内容が相手に歪んだ形で理解されるために回答自体変わる恐れがあるからである。表現それ自体が、調査相手の理解の度合いを制限することに繋がる。いくつかの原因を質問の形式によって分けてみると、次のようになる。
- 自由記入形式の場合
- 「どちらともいえない」「考えたことがないのでわからない」といった中立的な回答を選択することが多くなる傾向にある。
- 否定的な表現で調査相手の現場を問い掛けるような場合
- 部署の代表者によってまったく違う回答をする場合がある。これは各担当者レベルで、そのアンケートにあまり否定的なことを書かれては困るといった場合に出てくる回答の傾向である。部署の利害が絡むような質問項目に関しては、聞き手の立場やシステム導入についての基本的な態度を考慮した上で、質問項目と表現を工夫することが必要である。
作成に際しての注意点 †
質問項目が多い(20問以上)場合、後の方になると雑な回答が目立つようになる。そこで質問文作成の際には、次のようなことに留意するとよい。
- 複雑な条件付きの質問はしない。
- 日常で考えたこともないような質問は避ける。
- 専門用語は避け、必要に応じてコメントを付ける。
- 誘導的な質問形式は避ける。
- 質問の順序は答えやすいものから始め、次第に難しい質問へと移行する。
- 調査相手の基本的なプロフィールについては、最初か最後にまとめて行うことが望ましい。
アンケート調査結果の分析 †
アンケート調査の分析結果を元に将来を予測したり、限られた標本データから全体を推定したりする場合が多い。その場合のほとんどが、統計的に数値化した形で実体を捉えようとする。
そこで、統計的な考え方で調査データを分析する際は、次の事項に留意する。
- 統計的分析に関する留意点
- 母集団そのものの特性
- 標本抽出(サンプリング)の方法
- 統計の取り方
- 統計結果のまとめ方
- 標本抽出の考慮点
- 母集団の特徴を捉える
- 標本の大きさを考える
- 母集団にふさわしい標本抽出を行う
アンケート調査と資料収集 †
アンケート調査は、インタビューの定性的、主観的な情報手段を補完するための定量的把握の手段であるといえる。しかし、その実施にあたっては、一般的に時間と工数がかかる。
そこで多くの場合は、比較的手軽な方法で、広い範囲の内容を調査することができる資料調査が利用できる。資料調査は、関連する各種資料を収集し、これを整理し分析することによって問題点を発見しようとするものである。
資料調査の主な目的には、次のものがある。
- 企業や部門、情報システムなどの概要を知る。
- インタビュー調査やアンケート調査を能率的にする。
- 問題点を立証する。
- 問題点を重み付けをする。
- インタビュー調査やアンケート調査のための予備知識を得る。
参考文献 †
- 『コミュニケーション技法』
- 『平成12年度 【要点・重点】短期集中速攻対策 第1種』