ウォークマンとコンポを比較した場合、多くの人がコンポの方が音がいいと即答するだろう。しかし、それほどオーディオというものは単純じはない。
ウォークマンに限らず、オーディオ機器で音楽を聴くということは、スピーカーで聴いていることになる。
ウォークマンの場合、イヤホンやヘッドフォンを利用するので、部屋の影響を受けない。これにはメリットがある。
まず、プログラムソースを忠実に再現できる。もちろん、イヤホンやヘッドフォンの特性は影響するが、少なくとも部屋の影響からは脱することができる。その結果、癖の無いピュアな状態の音楽が聴けるはずだ。
さらに、精確なステレオイメージが得ることができる。
一般の人が慣れ親しんでいる左右にスピーカーを設置した形態がある。これはモノラル×2とは少し異なる。ステレオでは左右の音量差と、やや左右の位相差によって、音の広がりや演奏者の気配といったものを立体的に聴こえるような仕組みになっている。つまり、ウォークマンでは、左右の音量差と位相差が揃う手間をかけなくても、デフォルトでステレオの音が聴こえてくるわけである。
コンポの設置場所によっては、PC・冷蔵庫・FAX・TVなどの周りの電化製品のノイズに影響されてしまう。ノイズの影響により、スピーカーからノイズが聴こえてくることがある。ちなみに、「ジー」という雑音は、コンポ自身がノイズを出した結果、スピーカーの音に影響しているからである。
ノイズ対策として、商用電源を使うという手がある。商用電源を使うことにより、クリーンな交流100V、50/60Hzを発生させることができる。
一方、ウォークマンはバッテリー駆動が主流である。その場合、電源ラインからのノイズ混入の恐れがある。この点で優れた性能を持っているといえる。
ウォークマンは筐体(ボディ)が小さいために、アドバンテージがある。これはシンプルな回路によって、良い音が得られるからである。
アンプが大きいと内部の回路が複雑・大きくなりがちで、その分内部からノイズが発生してしまう可能性が高くなる。
ウォークマンは普通のミニコンポよりもはるかに音の情報量が多いということはすでに述べた。
逆に、ウォークマンのデメリット点を潰していけば、さらに理想的な環境になることは明らかである。
1:プリメインアンプなどのヘッドフォン端子にヘッドフォンをつないで聴く音に比べて、ウォークマンの音はスケールが小さい。
また、音の剛性感も足りないように感じる。つまり、音にガッシリした感じがしないのである。
よって、ウォークマンの音は、ストレートでさっぱりしているが、一方弱々しい感じがしないでもないことになる。
これを解消するには、オーディオ機器の音は筐体と密接に関係していることを知っておく必要がある。したがって、見た目の好ましい機器は音を聴いても好ましく感じられる可能性が高いということである。
2:携帯時に音がフラフラしているように感じることがある。なぜならば、オーディオ機器は回転系のメカニズムが音を左右するからだ。
3:付属のイヤホンが使い物にならないという点もある。そこで、ヘッドホンまたはイヤホンを買うことになる。本格的なヘッドホンだと、ウォークマンのスピーカーユニット駆動能力を超えていてあまり性能が発揮されない場合もある。というより、最悪の場合、オーバークオリティにより、ウォークマンの弱点が際立ってしまうことがある。そこで、ここではイヤホンを選択することにする。
お勧めはデンマークのオーディオメーカーB&O(BANG & OLUFSEN:バングアンドオルフセン)社のA8というイヤホンである。実売価格は1万3千円ぐらいのようだ。