このページをはてなブックマークに追加このページを含むはてなブックマーク このページをlivedoor クリップに追加このページを含むlivedoor クリップ

目次

オペアンプの特徴

  • 電圧増幅度が極めて大きい(100万倍程度)。
  • 入力端子から見た抵抗(入力抵抗)が極めて大きい(数MΩ程度)。
  • 出力端子から見た抵抗(出力抵抗)が小さい(数十Ω程度)。

理想的なオペアンプ

  • A=∞(増幅率が無限大)
  • 入力端子には電流は流れない。

 この2つの仮定を満たす増幅器は、現実世界には存在しない。しかし、あくまでこの仮定を満たすようなオペアンプを考える。このようなオペアンプを理想演算増幅器(理想オペアンプ)と呼ぶことにする。

 この理想オペアンプの仮定から、ひとつの大切な性質が導かれる。というのも、実在しない理想オペアンプといっても、出力電圧V0はさすがに有限の値である。

 オペアンプにはV0=A(V+-V-)という関係が成り立つ。

 ここで、A=∞である。すると出力V0は(V+-V-)のA倍であり、つまり無限大ということになる。ここでもし、(V+-V-)が0でない値、例えば1Vとかだったとすると、それの無限大倍がV0であるから、このV0も無限大になってしまい、これはまずい。よって、(V+-V-)が0でないという仮定が間違いであることがわかる。つまり、(V+-V-)=0となるので、V+=V-とならなければならない。理想オペアンプでは、2つの入力端子の電圧は常に等しくなるということである。

 不思議かもしれないが、これがオペアンプを使った回路を考えていく上で重要なポイントなので、覚えておいたほうがよい。

理想的なオペアンプの条件

  • 増幅度
    • 無限大であること。
      • 現実にはオープンループで100dB以上あること。
  • 周波数特性
    • 直流から高周波までたいおうできること。
      • 現実には汎用でユニティゲイン1MHz以上、ビデオアンプで10MHz以上の特性。
  • 入力インピーダンス
    • 無限大であること。
  • 出力インピーダンス
    • 限りなくゼロに近いこと。
  • オフセット電圧
    • ゼロボルト
  • ドリフト
    • ゼロボルト
  • ノイズ耐性
    • EMCに強いこと。
  • 発熱
    • 熱の発生が少ないこと。
  • 温度依存性
    • 温度特性が優れていること。
      • 汎用で-20℃〜+80℃、ミリタリー用で-40℃〜+85℃。
  • その他
    • 小型軽量、低電圧動作、低消費電力、低価格など。

反転増幅回路

 理想オペアンプで考えてみよう。理想オペアンプは、2つの入力端子の電圧が同じになることを忘れてはならない。マイナス端子の方は電池のマイナス極に繋がるから、そこの電圧V-は0[V]である。ということは、もう一方の電圧V+も0[V]となる。

 さて、抵抗R1に着目する。この抵抗の両端の電圧は、左側がVi、右側が0[V]であるから、その差はViとなる。これが抵抗1にかかっているわけであるから、そこを流れる電流Iは、オームの法則からI=Vi/R1となる。

 この電流Iであるが、理想オペアンプのもうひとつの性質である「入力端子には電流が流れない」という法則を使うと、このIはオペアンプには流れず、そのまますべて上にある抵抗Rの方に流れる。

 抵抗Rのところに電流Iが流れるので、この抵抗の両端の電圧は再びオームの法則からRIとなる。そして、この抵抗Rでは左側から右側に電流が流れているわけであるから、右側の方が電圧が低いわけであるが、左側の電圧が0[V]であるから、結局右側の電圧、つまりV0は、0[V]からRIだけ下がった分となり、V0=-RIとなる。

 これをさきほどの式に代入すると、次の関係式が導かれる。

V_0~=~-~\(~\frac{R}{R_i}~\)~V_i

 このように、この回路では出力電力V0が、入力電圧ViのR/Ri倍となる。ただし、プラスマイナスが逆になる。そのため、この回路のことを反転増幅回路(inverting amplifier)と呼ぶ。

 この反転増幅回路はオペアンプを使ったもっとも基本的でよく使う回路である。

反転増幅回路の性質

  • ペアンプによる最も基本的な増幅回路。
  • 電圧増幅度は、抵抗R1とR2を用いて、次のように表される。
    • A_V~=~\frac{V_{out}}{V_{in}}=-\frac{R_2}{R_1}

非反転増幅回路

  • もうひとつのオペアンプによる基本的な増幅回路として非反転増幅回路がある。
  • 回路全体の電圧増幅度は、次の式で表される。
    • A_V=\frac{V_{out}}{V_{in}}=1+~\frac{R_2}{R_1}
  • 非反転増幅回路では、入力電圧が増加すると出力電圧も増加し、入力電圧が減少すると出力電圧も減少するという性質を持っている。その名の通り、入力電圧の変化と同じ変化が出力に生じる回路になっている。

例1:LM358N利用による非反転増幅回路

 用意するものは次の通り。

オペアンプLM358N1個・2回路入り単電源動作オペアンプ。&br・他のオペアンプでも代用可能。&br・秋月ならLM358N 5個セット+データシートで\100。
可変抵抗GF106PB1031個・10kΩ&br・0.5W
カーボン抵抗2kΩ1本1/4W
カーボン抵抗1kΩ1本1/4W
9V用バッテリースナップ2個
9V乾電池2個
DMM1台アナログテスターでも代用可能。
スイッチ2個なくても可能。

 回路図は次の通り。

 実際に組み立てるときには、-9Vの存在に注意。片方の9V電池の+側をもう片方の電池のGNDに接続するのである。

 次にブレッドボードで組んだときの実験様子を示す。

 DMMのところに着目。上が入力、下が出力の電圧を調べたところである。2.02Vから6.12Vになっている。きちんと約3倍増幅されている。

 非反転増幅回路の電圧増幅度AVは次のように計算される。

AV=Vout/Vin=1+R2/R1=1+2000/1000=1+2=3

 よって、計算の値の3と実験結果の3倍が一致していることが確認された。

 ちなみに、ユニバーサル基板にも組んでみた。

加算増幅回路

 反転増幅回路に抵抗をもう1本追加して、次のような回路を作ってみる。

 今度は入力電圧がV1とV2の2つがある。この回路の出力電圧V0を求めてみる。実はV1、V2のそれぞれについて、反転増幅回路の場合とまったく同じように考えることができる。抵抗R1に流れる電流I1と抵抗R2に流れる電流I2は、それぞれ次のようになる。

I_1~=~\frac{V_1}{R_1}

I_2~=~\frac{V_2}{R_2}

 理想オペアンプの入力端子には電流が流れないから、これらはまとめて抵抗Rに流れてしまう。つまり、抵抗Rに流れる電流Iは次のようになる。

I~=~I_1~+~I_2~=~\frac{V_1}{R_1}~+~\frac{V_2}{R_2}

 そして、この抵抗Rの両端電圧は、オームの法則からRIで、左側の0[V]からこのRIだけ下がった分が出力V0であるから、これは次のようになる。

V_0~=~-R~\(~\frac{V_1}{R_1}~+~\frac{V_2}{R_2}~\)~=~-~\(~\frac{RV_1}{R_1}~+~\frac{RV_2}{R_2}~\)

 つまり、2つの入力電圧の和が出力電圧となるわけである。そこで、この回路を加算増幅回路(summing amplifier)と呼ぶ。

参考文献

  • 『トコトンやさしい回路設計の本』
  • 『ゼロから学ぶ電子回路』
  • 『入門科学シリーズ3 実験でわかる電子工作入門』