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目次

コミュニケーションの形態

  • 「人間とシステム」の間のコミュニケーション
    • 個人対モノ
      • インタフェース
    • 個人対コンピュータ
      • グループウェア
  • 「人間と人間」の間のコミュニケーション

コミュニケーションの一般原理

 コミュニケーションの能力を高めるには、次の4つの能力を考慮する必要がある。

  1. 音声能力
  2. レトリック能力
  3. 言語化・記号化能力
  4. 情報機器・メディア活用能力

 これらは、認識能力を核にして相互に関連している。

コミュニケーション能力

 コミュニケーション能力(コミュニケーション力)といっても漠然として曖昧である。これを分析すると、次の4つが必要とわかる。

  • 表情や発声などのスキル
  • 情報整理のスキル
  • 情報伝達のスキル
  • 共感スキル

コミュニケーションが必要とされる場面

  • 管理職
    • 大規模になればなるほど、管理職にコミュニケーション力がないだけで、生産性のロスが大きくなる。商品は社内外の様々な部署、関連会社などのヒトとモノから組み立てられる。その潤滑油であり、連絡役が管理職である。
    • 管理職同士、あるいは管理職とその部下がコミュニケーション力がなくて意思疎通が欠けば、生産性は目に見えてダウンする。できあがった商品はバラバラになり、コストがかさみ、納期も遅れる。結果としてできあがった商品は高くなり、時期も逃し、売れないことになってしまう。

説得的コミュニケーション

 説得的コミュニケーションには、次の4つの「カンセイ」の原理がある。

  1. 慣性の原理
    • 最初に決めたスタイルが習慣化し、その後の個人行動や認識を方向付けるときの制約となる認知的制約
      • コミュニケーションにおける初頭の効果に気を付ける必要がある。
      • 例えば、最初の会議などでどの席に着くかで、その後の着席位置が事実上決まってしまう例などはよく知られている。心理学では行為選択の制約になっていることから、このようなことを認知的制約と呼ばれる。
  2. 感性の原理
    • ボディランゲージやパーソナルスペースが共感を呼び起こす。
      • 管制は認識に大きな影響を与える。
      • 例えば、会議の席が定員を越えてしまうと、ストレスを感じてしまう。
      • また、男女や各個人レベルでかなり違いがあるが、好感を持った者同士であれば近くに寄る傾向があり、自分に快適な空間を作り出す。
  3. 歓声の原理(=双方向性)
    • 人は人の期待に応じて大きく動き、感動し、成長する(ピグマリオン効果)。
      • 相手側への好意を意思表示することは、逆に相手からの好感を高める。反対に、低い評価しか与えない場合は、それなりの評価しか得られないという相互作用の原理である。学校の教師と生徒間での実験によって、よく知られている法則である。
  4. 管制の原理(=協創活動)
    • 自己のコミュニケーション過程を高い視点からモニターする(メタ認知)
      • 幼児は自分が実際に知っていることを見積もることができない。これはまだ知ることについての認識ができないからである。自分の知る状態やその知り方についての認識をメタ認識という。

説得的コミュニケーションの実践

相互理解のズレを最小にする

 コミュニケーションではどのように相互の理解を維持するかが問題の中心となる。つまり、相互理解のズレをどのようにして補うのかということである。よいコミュニケーションでは、そのズレを最小にすることである。

 相互理解のズレには次のようなタイプがある。

  • ミステイク:目的選択の誤り
    • 目的(問題把握)におけるズレのこと。
  • スリップ:手段選択の誤り
    • 【質的な面】解決レパートリーのどれを選択するかに関わる基準のズレのこと。
    • 【量的な面】システム導入による解決方法のレパートリーが増加するために起こるずれのこと。

エンドユーザーとのコミュニケーションのズレはプラス思考にする

 例えば、エンドユーザー(顧客)との契約や仕様書の決定内容でトラブルがあったときには、そのズレの性質をよく掴んで対処すべきである。この場合における対処法として、次のようなアプローチが考えられる。

  1. エンドユーザーの言う通りにそのまま要求を受け入れる。
  2. 代案を申し出る。そして、できる限り内容を変更せずに対処する。
  3. エンドユーザーの要求そのものを否定し、別途契約をする形で内容を変更する。

 ここで望ましいアプローチは2番である。なぜなら、仕様書が実行レベルで変更せざるを得ない場合もよくあるためである。
 アプローチ3のように最初から否定して、それをエンドユーザーの責任に転嫁することはやってはならない。否定的な表現を取らずに、プラス思考で相互に歩み寄ることが大切である。

行動先行で相手の姿勢を変える

 例えば、非常に難しい依頼をする場合、まず相手が受け入れやすいことを依頼して承認してもらう。その上で、今度は本当に望んでいることを頼む。この場合、必ず相手が自発的に承認したという認識がなくては効果がない。この手法は精神治療の場面でよく使われる。

二値論理から抜け出す

 二値論理とは、あらゆる問題は2つの立場しかないとする両極論から発する。これは議論の場でよく起こる。「AかBかどちらがよいか?」「Aは正しいか異常か?」「Bは善か悪か?」など。

 このような見方は、相手の意見を自己流にレッテル貼りしている。そうすることで話題が展開しやすくなることも確かである。うまく活用すると相手の説得に有効な方法となる。情報化するかしないか、商品を買うか買わないかの二者択一条件を与えるから、相手に明確な決定をさせることにもなるからである。

 逆にマイナスになることもある。会議で少数派に立たされているときなどである。例えば、会議の場は両極端に課題が狭められる傾向にある。討論が両極端化する傾向はグルーピングの特徴であるからだ。問題なのは、少数意見が無視される仕組みが事実上作られてしまうことである。

根回し

 各国の契約の主な違いは次が挙げられる。

  • 日本
    • 集団主義(collectivism)
    • 権威ある第三者を仲介にした相互信頼が契約の基本とされる。
    • 契約や意思決定のときに行われる根回しは日本独自の方法。
  • 欧米
    • 個人主義(personalism)
    • 詳細なマニュアルと法律が重要な役割を担う。

 こうした違いは、取引という概念の認識が、歴史・文化・習慣の違いにより、違う形で理解されてきたために発生した。例えば、日本では調和や義理などに価値を置く親和社会である。そのため会議では意見の対立よりも、同調を期待する。様々な地位の者が同席している場合は、部下の担当者が上司の意見を否定することは困難である。よって、初めから、根回しにより合意が形成されているという前提に会議が開かれ、確認を行う会議が多くなるわけである。

印象形成

 心理学者アルバート・メラビアン博士は、意思を伝達する際に、言葉(音声)の内容よりも非言語(話し手の表情、声のトーン、しぐさなど)が、印象形成の93%を占めると発表した。

 よって、こうした言葉以外のアクションによるコミュニケーションであるノンバーバルコミュニケーションから、相手の反応をキャッチして、すばやく心の動向を読むことは重要である。

目を読む

 視線からシグナルを読むことができる。

視線がよく合う好意的、積極的
視線をそらす否定的
相手が凝視する否定的、敵対的

顔の表情を読む

 特に口と眉毛に強く現れるので、口の形や眉毛の角度に注目する。

動作を読む

  • 好意的・肯定的な動作の例
    • 机や膝の上に手が広げられている
    • 頭をまっすぐ起こしている
    • 足を開き、ゆったり座っている
    • 机の上に広がっていた書類や文具を片付ける
    • 顎をさする
  • 敵対的・否定的な動作の例
    • 机や膝の上で、手が握りこぶしを作っている
    • 足が下がり、肩が持ち上がっている
    • 両手を頭の後ろに組み、背をそらしている
    • 足を固く閉じて座っている
    • 指で机をトントン叩く

沈黙の意味を読む

 相手の沈黙は一種のシグナルといえる。特にインタビューではあえて沈黙をこちらからは破らず、相手の出方を見るほうが効果的である。こちらから沈黙を破ってしまうと、話の主導権を握ってしまい、インタビューの答えに誘導的な偏りが出てしまう可能性があるからである。

例:

  • 相手は、回答か、言葉を探している
  • 相手は、ある種のものを観察している
  • 相手は、質問の意味が理解できず、その内容を考えている
    • 質問の仕方を変えるとよい

嘘を見抜く

 道具なしによる嘘の見破り方を参照せよ。

読職術

 読職術で第一印象から的確に、相手の情報を得ることができれば、初めて会う相手であってもコミュニケーションがうまくいく可能性が高くなる。

協創活動

 情報創造を行うには一人でやるだけでなく、あるコミュニティ内で複数人で共同して情報創造を行うこともある。かつては、グループウェア、メーリングリスト、掲示板に人が集まっていたが、近年はmixiやblogに人が集まり、新しい形態のコミュニティが登場しつつある。

 こうしたシステムと人の相互作用を協創活動(コラボレーション:collaboration)という。これからのコミュニケーションのあり方やシステムを考える上で、協創活動は新しいコミュニケーションスタイルを提案しているといえる。

 協創活動により、個々人が他者と相互に影響を及ぼしあうことにより、グループ全体の創造性・生産性・活力を高めることができる。

協創活動を支援するシステム

 協創活動を支援するシステムでは、次のようなことが前提となる。

  • システム側の透明性を高くする。
    • 透明性はインタフェース論で使われる。不完全な知識をユーザーにいつでも見通しがきくような形で提示することを指す。
  • ユーザーがわのカスタマイズ機能を高くする。
    • ユーザー自身が、対象となる知識を訂正・改良して、新しい知識を生成できるようにすることである。

協創活動による表現活動とメタ認知

 協創活動という考え方は、仕事を量的な面で分担するということではない。

 例えば、文章を2人で執筆する場面を考えてみる。共同作業であれば、1章をAlice、2章をBobといったように分担する。一方、協創活動では、まずAliceが文書を書いて、BobがAliceの文章を添削して、最終的にAliceとBobが互いに相談しながら文章を仕上げるといった役割分担をする。

 こうした役割の交替は、自分自身の行為を別の視点(他者)から見直す機械を与えてくれる。自分の知的行為を別の視点から振り替えるわけだ。このような認識のプロセスを心理学ではメタ認知と呼ばれる。

参考文献

  • 『コミュニケーション技法』
  • 『ロジカル・コミュニケーション』
  • 『平成12年度 【要点・重点】短期集中速攻対策 第1種』