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目次

サプライチェーンマネジメント

 サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、サプライチェーンすべての過程を効率化することである。その目的はサプライヤーから小売業者までの全過程の企業間で情報共有・共同の問題解決などにより、在庫削減・コスト削減・納品リードタイムの短縮などを実現することにある。ITの発展に伴ない、以前に比べて比較的安価に情報システムを構築することが可能になった。

SCMの導入効果

  • 品揃えのラインナップ充実と欠品防止による販売機会ロスの最小化⇒売上増
  • 物流在庫まで含めたトータル在庫の削減
  • 調達から販売までのトータルリードタイムの短縮
  • 全体業務効率化によるローコストオペレーションの実現
  • キャッシュフローの改善⇒余剰運転資金の増加
    • 在庫減、コスト減、早期現金化など
  • 情報共有により市場の需要変動リスクを最小化

これからの視点

顧客を起点に顧客の目で見る

 SCMでは、起点を消費者(顧客)に置いている。サプライチェーンは、バリューチェーンとも定義されているが、サプライヤーから顧客までの企業活動の過程で、顧客から見た価値が増大していかなければならない。消費者から見たバリューを最大化するためには、消費者の視点に立ち、サプライチェーンを見渡すことが最も合理的なので、起点を消費者とする。

 消費者の立場に立って消費者の真のメリットを追及することで、既存商品の改善とともに、新しいパイの創出と新しい需要の創出を継続的に行なうことが求められる。

新しい利益を創出し、対等なパートナーシップへ

 PUSH型市場からPULL型市場の変化に対応するために、従来のWin-Lose(ウィン・ルーズ)の関係ではなく、Win-Win(ウィン・ウィン)の関係にしていく必要がある。

SCMの具体的内容

 SCMでの実施内容は次の通りである。

  • 共同による問題解決
  • 会社間や部門間の情報共有
  • 物流在庫の共同監視
  • ITやデータ活用
  • サプライヤーの巻き込み

SCMが全体を改善化する

 SCMは情報共有を大前提としている。サプライチェーンの構成企業が顧客の視点に立つためには、顧客の正確な購買情報を情報共有することが始まる。

  • 購買情報の共有化
  • 顧客に合わせた共有体制
  • 全体で在庫の最適化
  • 全体のリードタイム短縮
  • 全体の業務フロー改革
  • ローコストオペレーション

SCMを定着させる仕組み

基本方針を明確化する

  • 業者間の基本的方針の明確化
    • パートナーシップなど
  • 共通の商品コードの利用、単品管理
    • JANコード
  • POSシステムでの購買情報の把握
    • 商品コード、数量、金額、顧客コード、販売日時など
  • 商品基本情報の共有、JANコード商品情報データベース利用
    • JICFS【ジクフス】
  • 売れるものを品揃え、スペース効率の最大化
  • 効率的に商品補充(ベンダー主導型在庫管理)、検品作業の廃止
  • 効率的な流通加工
    • 値札付け、小分け、再梱包、部分組立、部分加工
  • 保管から流通重視
    • 物流拠点の最適配置、流通情報の強化

サプライチェーンを改革したQRとECR

 QRECRは、商品の流通過程における供給効率向上を通じて最終消費者により大きな利益を提供するという点では同じである。実はこの両者を開発・提唱したのは、同一の米コンサルタント会社である。

 QRとCERの効果を次に列挙する。

  • 欠品(販売機会損失)の低減
  • 見切りロスの低減
  • 在庫負担の低減
  • 事務手続きの簡素化
  • トータルリードタイムの短縮

電子商取引とSCM

 データ交換のプロトコルの標準化が推進されたことで、電子商取引(EC)が可能となった。さらにVANの発達により、データ交換のインフラが整備されてきた。

CALS

 CALS(Commerce At Light Speed)とは、情報技術を駆使して、光の速さで商取引を行うことである。取引情報を電子化して、それを製品ライフサイクルに関わるすべての企業が共有し、オンラインかつリアルタイムでデータを照会・更新しながら仕事を進めることにより、QCD(品質・コスト・納期)の革新を図る。

EDI

 EDI(Electronic Data Interchange)とは、2社以上の商取引の相手の間で、アプリケーションソフトウェアで処理可能な標準化されたビジネスデータの電子的な通信の形態である。作業の省力化(二重入力の排除)が図れる。

SCMの再構築

TOC

 制約条件の理論(Theory of Constraints:TOC)は、企業やサプライチェーンをひとつのシステムとして捉えて、そこに存在する制約条件に注目して、次の4つの切り口からアプローチするマネジメントサイエンスである。

  • 思考プロセス
    • 思考プロセスが経営を変える。
      1. 経営システム全体にフォーカスする。
      2. 真の制約条件を特定する。
      3. ブレークスルーを発見する。
  • スケジューリング
    • 生産スケジューリング技術の進歩がSCMを支える。
    • DBR(ドラムバッファロープ)が生産計画の中核となる。
  • スループット会計
    • 生産プロダクトミックスや内製VS外注意思決定を支援する。
    • 改革の効果を可視化し、現場管理から経営管理まで一環した指標を提供する(キャッシュの増減を把握する)。
  • プロジェクト管理
    • プロジェクト管理がリードタイムを短縮する。

 元々TOCはE・ゴールドラット博士が生産スケジューリングを最適化するために開発した理論である。適用範囲は広く、サプライチェーンにおける全体最適化を推進していく際に、有効な解決策を提供してくれる理論であるといえる。

制約条件

 サプライチェーンを見直そうとする場合、色々な制約条件が存在し、最適な業務プロセス設計を行おうとする際の障害となる。サプライチェーンの効率は、その中を通過して出て行くアウトプットによって決定されるが、その量・質によって規定するものが制約条件である。この制約条件を最大限に活用することによって、サプライチェーンの効率を高めていこうという考え方である。

支援ソフト

 CALS・EDIなどの情報通信技術の基盤確立に加え、コンピュータシステムのハードとソフトの両面の急速な性能向上がSCMを実現可能としている。逆にいえば、情報通信技術の進歩がなければ、今日のSCM改革は起こらなかったといっても過言ではない。

 現在はERPベンダもSCP機能を実現するためのモジュールの提供を開始し始めている。

参考文献

  • 『2時間でわかる図解サプライチェーンマネジメント早わかり』