サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、サプライチェーンすべての過程を効率化することである。その目的はサプライヤーから小売業者までの全過程の企業間で情報共有・共同の問題解決などにより、在庫削減・コスト削減・納品リードタイムの短縮などを実現することにある。ITの発展に伴ない、以前に比べて比較的安価に情報システムを構築することが可能になった。
SCMでは、起点を消費者(顧客)に置いている。サプライチェーンは、バリューチェーンとも定義されているが、サプライヤーから顧客までの企業活動の過程で、顧客から見た価値が増大していかなければならない。消費者から見たバリューを最大化するためには、消費者の視点に立ち、サプライチェーンを見渡すことが最も合理的なので、起点を消費者とする。
消費者の立場に立って消費者の真のメリットを追及することで、既存商品の改善とともに、新しいパイの創出と新しい需要の創出を継続的に行なうことが求められる。
PUSH型市場からPULL型市場の変化に対応するために、従来のWin-Lose(ウィン・ルーズ)の関係ではなく、Win-Win(ウィン・ウィン)の関係にしていく必要がある。
SCMでの実施内容は次の通りである。
SCMは情報共有を大前提としている。サプライチェーンの構成企業が顧客の視点に立つためには、顧客の正確な購買情報を情報共有することが始まる。
QRとECRは、商品の流通過程における供給効率向上を通じて最終消費者により大きな利益を提供するという点では同じである。実はこの両者を開発・提唱したのは、同一の米コンサルタント会社である。
QRとCERの効果を次に列挙する。
データ交換のプロトコルの標準化が推進されたことで、電子商取引(EC)が可能となった。さらにVANの発達により、データ交換のインフラが整備されてきた。
CALS(Commerce At Light Speed)とは、情報技術を駆使して、光の速さで商取引を行うことである。取引情報を電子化して、それを製品ライフサイクルに関わるすべての企業が共有し、オンラインかつリアルタイムでデータを照会・更新しながら仕事を進めることにより、QCD(品質・コスト・納期)の革新を図る。
EDI(Electronic Data Interchange)とは、2社以上の商取引の相手の間で、アプリケーションソフトウェアで処理可能な標準化されたビジネスデータの電子的な通信の形態である。作業の省力化(二重入力の排除)が図れる。
制約条件の理論(Theory of Constraints:TOC)は、企業やサプライチェーンをひとつのシステムとして捉えて、そこに存在する制約条件に注目して、次の4つの切り口からアプローチするマネジメントサイエンスである。
元々TOCはE・ゴールドラット博士が生産スケジューリングを最適化するために開発した理論である。適用範囲は広く、サプライチェーンにおける全体最適化を推進していく際に、有効な解決策を提供してくれる理論であるといえる。
サプライチェーンを見直そうとする場合、色々な制約条件が存在し、最適な業務プロセス設計を行おうとする際の障害となる。サプライチェーンの効率は、その中を通過して出て行くアウトプットによって決定されるが、その量・質によって規定するものが制約条件である。この制約条件を最大限に活用することによって、サプライチェーンの効率を高めていこうという考え方である。
CALS・EDIなどの情報通信技術の基盤確立に加え、コンピュータシステムのハードとソフトの両面の急速な性能向上がSCMを実現可能としている。逆にいえば、情報通信技術の進歩がなければ、今日のSCM改革は起こらなかったといっても過言ではない。
現在はERPベンダもSCP機能を実現するためのモジュールの提供を開始し始めている。