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目次

シンセサイザー

 シンセサイザー(略してシンセ)という名前はシンセサイズ(synthesize=合成する)から来ているので、楽器としてのシンセサイザーは音を合成するための装置となる。しかし、パイプオルガンや電子オルガンは、複数の音を合成することができるのに、普通はシンセサイザーとは呼ばない。なぜなら、合成した後にできる音色もオルガンの音だからである。

 シンセサイザーは様々な楽器の音を出すことはもちろん、いくつもの違う楽器を組み合わせたり、波形と呼ばれる音の素材を加工してまったく別の音を自由に作ることができる。

最初の機種を選ぶ

  • オールインワン派
    • 1台で何もかもやりたいという人はオールインワンタイプがお勧め。
    • その名の通り、1台の中に全部の機能が入っているタイプで、シンプルな楽器演奏からシーケンサーを使った高度な音楽製作まで1台でこなすことができる。
    • ほとんどはPCM音源方式で、多彩な音色とエフェクターを備えていて、さらにシーケンサーやサンプラーも付いている機種もある。
      • 例:KORGのTrinity
  • ビンテージ派
    • ピアノやオルガンなど本物の楽器の音をシンセで弾きたいという人はビンテージタイプがお勧め。
    • 基本的には、オールインワンタイプからシーケンサー機能を削ったような内容となる。その分価格が安くなる。
    • ピアノタッチの鍵盤、生楽器系のプリセット音が充実しているというメリットもある。
      • 例:YAMAHAのS80
  • DTM派
    • シーケンサーを使って自分でアンサンブルを作りたい人はDTM音源がお勧め。
    • これはシーケンサーで打ち込んだデータを鳴らすための音源である。
    • リアルタイムの演奏が苦手な人でも音楽を表現できる。
      • 例:RolandのSC-8850
  • サンプラー派
    • 外部の音を取り込んで、それをいじりたい人にはサンプラーがお勧め。
      • 例:AKAIのCD3000XL
  • アナログ派
    • DJ・テクノ・ミニマルなどのジャンルに興味ある人にはアナログタイプのシンセがお勧め。
    • 最近ではPCでシンセをシミュレートするバーチャルアナログシンセも登場している。
      • 例:Claviaのnord lead2

シンセサイザーの周辺機材

 ほとんどのシンセサイザーは本体だけあっても音が鳴らない。最低でもアンプとスピーカーだけは絶対に必要である。

シールド線(シールド)

 ケーブルのことである。最低1本をアンプに繋げれば音が出るが、是非2本用意してステレオで鳴らそう。

 シンセサイザーを繋ぐ機器によっては端子の形状が異なる場合もあるため、それに見合ったシールドや変換プラグを用意する。

 保管するときは通称八の字巻きをする。

キーボード・スタンド

 ピアノやオルガンと違って、シンセサイザーは何らかの台に乗せることになる。ライブステージはもちろん、自宅でも環境が許せばキーボード・スタンドを使った方が配線や足元の操作などがやりやすくなる。安定性があり、高さの調整がしやすいものを選ぶこと。

ミキサー

 1台のシンセサイザーで単純に音を鳴らすだけなら、アンプとスピーカーだけあればOKだが、左右の音量を調整したり、複数の楽器音のバランスを取ったりしたい場合は必要になる。ライブやスタジオワークでは必ず役に立つ。

ペダル・コントローラー

 シンセサイザーの演奏能力をアップしてくれる。オプションなので別に買う必要はないが、慣れてしまうと手放せなくなってしまうだろう。

 シンセサイザーのリアパネルの端子に繋いで使用する。

 ペダル・コントローラーには主に次の3種類がある。

  • ダンパー・ペダル
    • 本物のピアノ・ペダルと同じく、踏むと音が伸びた状態になる。
    • ピアノやエレピお音色を使うときの必需品。
    • ダンパー・ペダルとフット・スイッチは機能的には同じものだが、微妙なタイミングでの踏み込み操作を要するダンパー・ペダルにはよりピアノのペダルに近い形状のものを選んだ方がよい。
  • エクスプレッション・ペダル
    • 音量や音色を連続的に変化させることができる。
    • オルガンやストリングスなどの音色で、抑揚をつけるときに欠かせない。
    • ソロやバッキングの音量を切り替えるために使うこともある。
  • フット・スイッチ
    • 踏むたびにプログラムを順番に切り替えたり、オクターブを変えるなどいろいろな機能を割り当てて使うことができる。
    • 本来は手で行う操作を足で行えるために、両手で演奏しているときに役に立つ。

ケース

 バンドの練習やライブで外に持ち出す人はケースを用意しよう。普通ハードケースとソフトケースがありますが、シンセの種類のよってそれの選び方が変わる。

  • ハードケース
    • 車の二台に楽器を重ねて運ぶときに便利。
  • ソフトケース
    • 肩に担げる重さのシンセサイザーならソフトケースに入れれば、電車などを使った運搬も楽。

 シンセサイザーはそれぞれ形が違うので、なるべくそのメーカーが発売している専用ケースを購入しよう。

アナログシンセの仕組み

 アナログシンセの場合は無限に細かい単位でパラメータの値を調整できる。一方、デジタルシンセは隣り合わせの数字の間は設定できない。整数単位のパラメータでは1.5というような値は設定できないということである。一般的に、デジタルシンセは128段階(0〜127)の値を取る。

 アナログシンセにおいて、音が出る仕組みは次のようになっている。

  • VCO(電圧制御発信器)
    • ここから基になる音(波形)を発振する。電圧で制御するのは音程、つまり各鍵盤に違う電圧を与えて音程を作っている。
  • VCF(電圧制御ろ過器)
    • フィルターのこと。音にフィルターをかけていらない成分を除去する。実際には、音の明るさや癖を調整する部分である。
  • VCA(電圧制御増幅器)
    • アンプ(=増幅器)のこと。音量調整を行う。
  • LFO
    • 音にゆらぎを与えて、楽器らしい温かみを出す特徴を持つ。
  • EG
    • 音の鳴り方は楽器によってそれぞれ特徴がある。例えば、ピアノは鍵盤を叩いた瞬間に音が鳴り、鍵盤を抑えたままの状態でもだんだんと音が消えていくが、オルガンだと鍵盤を押さえている間は音が伸びたままになる。また、サックスなどの管楽器系だと、吹いてから音が出るまでに息が伝わる時間がかかるので、ふわっとした音の出方になる。EGはこういった音の時間的変化を作り出す働きがある。
    • EGには通常A,D,S,Rの4つのパラメータがあり、まとめてADSRと呼ぶ。詳細は後ほど解説する。

[補講]デジタルシンセ(PCM音源)の簡単な仕組みを次に示す。それぞれをアナログシンセのVCO,VCF,VCAに対応すれば理解しやすいだろう。

KORG Legacy Collectionでの解説

 KORG Legacy CollectionあるいはMS-20を持っているなら、それを利用して理解を深めてみよう。KORG製レガシーコレクションのMS-20の右側のパッチ部分(差込穴部分)に注目して欲しい。

 ここので上部のソフトウェア上では見難いので、拡大してみてみた。コントローラー本体を持っているなら、そちらで見たほうが見やすいだろう。

 ブロックに囲まれているものは次のような対応になっている。

VOLTAGE CONTROLLED OSCILLATOR1VOLTAGE CONTROLLED OSCILLATOR2VCO MIXERVOLTAGE CONTROLLED HP FILTERVOLTAGE CONTROLLED LP FILTER
VCO1VCO2VCO1とVCO2をミックスVCF1VCF2
発振器フィルター

エンベローブ

A(Attack Time:アタックタイム)音が出始めてから最大音量になるまでの時間
D(Decay Time:ディケイタイム)最大音量から持続する音量まで減衰していく時間
S(Sustain Level:サステインレベル)鍵盤を押している間持続する音量のレベル
R(Release Time:リリースタイム)鍵盤を話してから音が消えるまでの時間

KORG Legacy Collectionでの解説

 MS-20にはEG1とEG2の2種類があるが、ここではEG2を使う。

 [TRIG IN]→[EG2]→[VOLTAGE CONTROLLED AMPLIFIER](VCA)という流れになる。VCAは音量に対応するので、EG2は音量の制御信号を伝える。つまり、EG2はADSRのデータをVCAに伝達しているわけである。よって、EG→VCAで音量の時間変化を作ることができる。

 ただし、MS-20の場合、EGには他の役目もある。これは後ほど解説する。

  • KBD
    • キーを押す、オーを離すという制御信号を作る。
  • EG
    • エンベローブ信号を作る。

各種楽器のエンベローブ

ピアノ
オルガン
ストリングス
ギター

LFO

 MG(Modulation Generator)は、モジュレーション信号を作る。シンセによっては、LFO(低周波発信器)と呼ぶ。モジュレーション信号は 0.1〜10Hz程度の非常にゆっくりとした周期の波形である。

  • MG→VCO
    • 音程が周期的に変化し、いわゆるビブラート効果をかけることができる。
  • MG→VCF
    • 音色が周期的に変化するワウ効果になる。

KORG Legacy Collectionでの解説

 MS-20には2つのMGがある。2つのVCOと2つのVCFにモジュレーション信号を伝えることができる。

 MGの周波数の大きさはツマミで変更する。

  • FREQUENCY MODULATION
    • MG/T.EXT
      • MGでオシレーター1と2のピッチにかけるモジュレーションの効果の深さを調整する。
    • MG1/EXT
      • EG1または外部入力でオシレーター1と2のピッチにかけるモジュレーションの効果の深さを調整する。
  • CUTOFF FREQUENCY MODULATION(HIGH/LOW)
    • MG/T.EXT
      • MGでフィルターのカットオフ周波数にかけるモジュレーションの効果の深さを調整する。
    • EG2/EXT
      • EG2または外部入力でフィルターのカットオフ周波数にかけるモジュレーションの効果の深さを調整する。
  • MODULATION GENERATOR
    • TEMPO SYNC
      • ONにすると、Legacy CellのTEMPOコントローラーでのテンポ(Legacy Cellのスタンドアローン動作時)やホスト・アプリケーションでのテンポ(プラグイン動作時)にMGが同期する。
    • BASE NOTE
      • TEMPO SYNCがONのときに、同期しているテンポに対して、「BASE NOTE」で選んだ音符を「FREQUECNY/TIMES」ノブで設定する「TIMES」の数だけ並べた長さをMGの1周期として設定する。
      • TEMPO SYNCがOFF時には、無効になる。
      • BASE NOTEが1/4、かつTIMESが1のとき、1拍で1周期。
      • BASE NOTEが1/4、かつTIMESが2のとき、2拍で1周期。
      • BASE NOTEが1/4、かつTIMESが4のとき、4拍で1周期。
      • BASE NOTEが1/16、かつTIMESが1のとき、1拍で4周期。
      • BASE NOTEが1/16、かつTIMESが2のとき、1拍で2周期。
      • BASE NOTEが1/16、かつTIMESが4のとき、1拍で1周期。
    • WAVE FORM
      • MGの波形を設定する。
    • FREQUENCY/TIMES
      • TEMPO SYNCがONのときは、BASE NOTEと組み合わせてMGを設定する。
      • OFFのときは、MGの周波数を調整する。

ピッチ・ベンダー

・ピッチは「音程」、ベンドは「曲げる」という意味。つまり、ピッチ・ベンダーとは音程を変化させる道具のことである。

・ピッチ・ベンダーを使うと無段階に音程を変えることができるので、ギターのチョーキングのような泣きの表情をつけたり、サイレン音のようなトリッキーなサウンドを出すこともできる。

・どのくらい音程を変えるかは、ベンド・レンジの値で決まる。

・ベッド・レンジはピッチ・ベンダーをいっぱいに上げた(下げた)ときに半音何個分が変化するのかを表す数字である。もしも、ベンド・レンジが±12なら上下1オクターブ変化させることができる。一般的にメロディなどの演奏にピッチ・ベンダーを用いる場合、ベンド・レンジを±2(半音2個=全音1個分)にすることが多いので、ここでは±2にしておこう。

モジュレーション・ホイール

・音程を揺らす役割を持つのがモジュレーション・ホイールである。

・オルガンやフルートなどのビブラート、電子ピアノのうねりの感じなどを表現できる。

・ピアノのうねりなどはモジュレーションをかけっぱなしにしておけばよいが、フルートのビブラートなどはかけるところとかけないところを使いわけることが大事である。

アフター・タッチ

・ピッチ・ベンダーやモジュレーション・ホイールは普通左手を使って操作するので、その間は右手だけで鍵盤を弾くことになるが、両手で鍵盤を弾きながら音に変化を与える方法もある。そのひとつがアフター・タッチ機能で、弾いている鍵盤をさらに強く押すことによって、うねりを加えたり音質を変化させることができる。

・左手でバッキングをしながら、右手で弾いている別の音色だけにビブラートもかけたいときに便利だが、演奏中につい力んでしまって必要ない部分でビブラートがかかってしまうこともあるので、注意しなければならない。

ポルタメント

・音程の間を連続的に変化させる機能である。

・ポルタメントを少しだけかけると、フレーズに泣きや哀愁などの人間味を加えることができる。

・また、ポルタメントを思いっきりかけると、サイレンのような効果的な使い方ができる。

・最近では、R&Bやポップス全般でポルタメントをかけたシンセリードの音色がよく使われている。

アルペジエーター

・鍵盤を押すだけで自動的にアルペジオ(分散和音)を演奏する機能である。

・ダンス、クラブ系の音楽でよく使われる。

実際に弾いてみよう

1:スピーカーと繋ぐ。

 アンプ内蔵スピーカー(アンプとスピーカーが一体化しているもの。スピーカーにACアダプタが出ていればアンプ内蔵スピーカーだと思ってよいと思う)を用意する。内蔵の方が一般的に手に入りやすく、コンパクトでスペースも取らないので、最初はこれを選択することにする。

 繋ぎ方は、電源OFFの状態でシールドの片方をシンセ本体のリアパネル(背面の差込口いっぱいあるところ)のMAIN OUTPUT端子(ステレオの場合はLとR、モノラルの場合L(MONO)端子)に挿す。もう片方はアンプの入力端子に挿す。

 また、LINE IN端子の付いた電子ピアノを持っていれば、それに直結する方法もある。シンセサイザーのMAIN OUTPUTのLとRをそれぞれ、電子ピアノのLINE INのLとRに接続するわけである。これなら、わざわざアンプを買ってこなくても簡単に迫力のある音を得ることができる。

 ミニコンポやCDラジカセなどのオーディオアンプを持っていれば、それを利用することもできる。ただし、元々がCDなどの再生を目的に作られているために音はよいが、入力が強いとスピーカーを痛める可能性があるので注意すること。

2:ミキサーに繋ぐ。

 ミキサーは複数の楽器やマイクを入力として、音の様々なバランスを調整する装置(ミックスする装置)のことである。自宅にシンセ以外の装置、例えばマイク、ドラムマシンなどがあるときにミキサーを用意する。また、出力の方も細かくできるため、スピーカーから音を出しつつ、それをPCで録音するときにもあると便利である。

3:音を出す。

 これで音を出す準備はできた。後は本体とアンプの電源スイッチを入れて、ボリュームを上げればよいわけである。ここでひとつ注意することがある。それは、スイッチを入れる順番である。スイッチを入れる順番はシンセ本体→アンプの順に入れる。切る場合はこの逆のアンプ→シンセ本体となる。

 なお、電源を入れる前は音量を最小にしておき、電源投入後徐々に上げるようにする。切る場合は音量を最小にしてから、電源を切る。

4:フロントパネルを操作する。

 音色を選ぶ。ピアノやフルートなど、単純にひとつの楽器音を選んで弾きたいときは、シングルモードを使う。どの機種でもこれが基本形で、鍵盤上ではその楽器音だけが鳴る状態である。

 音色をエディットする。そして、エディットした音を保存する。