目次 †
ツイストペアケーブル
ツイストペアケーブルの種類 †
目的による分類 †
カテゴリによる分類 †
- ツイストペアケーブルを用いた配線システムには、カテゴリとクラスという性能を表す言葉がある。
- カテゴリとクラスは、ケーブルやジャックなどの接続機器、配線リンクの電気特性レベルを規定したものである。
- カテゴリはケーブルや部材などの配線要素としての既定の分類名である。
- クラスはパーマネントリンクなどに関する配線としての性能を規定している分類名である。
名称 | 周波数帯域 |
カテゴリ3 | 1〜16MHz |
カテゴリ5 | 1〜100MHz |
カテゴリ6 | 1〜250MHz |
カテゴリ6A | 1〜500MHz |
カテゴリ7 | 1〜600MHz |
カテゴリ7A | 1〜1000MHz |
構造による分類 †
ツイストペアケーブルは、その構造によって、次のように分類することができる。
○○/□TP
各文字列の意味は次の通り。
- ○○
- 全体
- F:フォイル*2シールド
- S:編組シールド
- SF:編組シールド+フォイルシールド
- □
- TP
UTPケーブル †
- 外被の内側にシールド(全体シールド)がなく、各対へのシールド(要素シールド)もない構造である。
- 日本で最も普及しているツイストペアケーブルである。
F/UTPケーブル †
- 外被の内側に全体をシールドするフォイルシールドがあり、各対へのシールドがない構造である。
- ケーブルの金属箔とポリエステルテープの間に、ドレインワイヤが付いているものもある。
- シールドがあるため、U/UTPケーブルよりもノイズに対して強い。
SF/UTPケーブル †
- 外被の内側に全体をシールドするフォイルシールドと網組シールドがあり、各対へのシールドがない構造である。
- 網組シールドは、フォイルシールドと異なる周波数ノイズに対するシールド効果があるため、F/UTPケーブルよりもさらにノイズに対して強い構造である。
S/FTPケーブル †
- 外被の内側に網組シールドがあり、各対シールドがあるため、他の構造のケーブルの中でノイズに対して一番強い構造である。
- カテゴリ7などの高カテゴリーケーブルで採用されている。
形状による分類 †
多対ケーブル †
- 撚り対線を複数本集合し、1本に束ねたケーブル。
- 主に幹線配線用、水平配線の集合用ケーブルとして利用されている。
- 主に24対ケーブルが利用されており、24対を一括で束ねた一括シースタイプと、4対ごとにシースで束ねたインナーシースタイプがある。
ツイストペアケーブルの構造 †
- 心線とその周りにある外被から構成されている。
- 心線は信号を伝送する導体と、その外被となる被膜に分けられる。
- さらに外部からのノイズを遮断するために、外被の内側に金属性のシールド(遮断体)があるケーブルや、各対にシールドがあるケーブルもある。
- シールドの構造は、要求される遮断効果の強さにより異なる。
心線導体 †
- ツイストペアケーブルの電気導体の材料は銅が用いられている。
- なぜならば、他の金属に比べて、伝導性がよく、価格が安いからである。
導体の種類 †
- 単線(Solid)導体
- 挿入損失が小さい。
- 高周波領域での伝送性能が優れている。
- ノイズ耐性が高い。
- コネクタ加工などがしやすい。
- 硬い。
- より線(Stranded)導体
- 単線導体より挿入損失が大きいが、柔軟性と耐久性があるため、頻繁にネットワーク機器が移動するオフィス内・ワークエリア・通信室の機器コードに使用される。
一般的なツイストペアケーブルの特性 †
特性インピーダンス †
反射 †
- 特性インピーダンスが異なるもの(ケーブルなど)を接続した場合、接続部で反射が生じる。
- 特性インピーダンスが同じケーブルを接続した場合、反射は起こらない。
漏話 †
- =クロストーク
- 2本の線路間で、一方の信号線から信号が漏れ、他の信号線に影響を与えること。
- このとき、影響を与える回線を誘導回線と呼び、影響を受ける回線を被誘導回線と呼ぶ。
- ツイストペアケーブルの漏話は、各誘導回線間での静電結合や電磁結合によって発生する。
- 各結合は、周波数が高くなると結合が大きくなるため、漏話が大きくなる。
漏話対策 †
漏話は静電結合と電磁結合を少なくすることで、最小限に抑えることができる。
そのためには、回線間の距離を十分に取るか、互いに直交させることが必要であるが、実際の回線では静電結合と電磁結誘導を少なくするために、次の対策が取られる。
- 静電結合の減少
- 各導体間の距離を常に等しくする。
- 導体径を均一にする。
- 絶縁材料を均一にし、誘導率を均一にする。
- 電磁結合の減少
- 心線を撚り合わせ、相互誘導の方向を反転させて回線全体の電磁誘導を打ち消す。
リアクタンス †
キャパシタンス †
ケーブルとノイズ †
- ノイズの原因は、ケーブルの周りにある電磁波である。
- 電磁波がケーブルの周りに生じると、ケーブル中には信号とは別の電流が流れる。このとき、信号の電流とノイズによる電流が交じり合い、信号の波形が変化してしまうのが問題である。
ノイズの原因となる電磁波の種類 †
ケーブルの周りに生じる電磁波は、以下の2つがある。
ノイズ対策 †
外部からの電磁波の影響の緩和 †
- 外部からの電磁波は、モーターや強電力線などのEMI源と呼ばれるものが原因である。
- ケーブルの導体に電磁波が当たると、右ネジの法則によって、電流が流れる。
- このとき、心線を撚り合わせていると、右回りの電流と左回りの電流がちょうどよりのところで打ち消し合い、ノイズの影響を最小限にすることができる。
内部からの電磁波の影響の緩和 †
- 内部からの電磁波は、心線から漏れる電磁波、つまり漏話である。
- 漏話の電磁波は小さいが、他の心線との距離が近いため問題が生じる。
- この影響を減らすため、各対のよりピッチを変えておく。
- こうすることで、プラスの電流が流れる心線から出た電磁波と、マイナスの電流が流れる心線から出た電磁波が互いに打ち消し合う部分を作ることができる。
- より合わせのピッチが同じ場合は、打ち消すことができない。
- また、心線のよりピッチが長い場合には、送信対と受信対の心線が接する距離が長くなるため、漏話が発生しやすくなる。
ツイストペアケーブルの試験 †
導通試験 †
- ツイストペアケーブルの代表的な試験。
- 導通試験は配線試験の基本中の基本だが、現在のEthernet通信で性能を満足する情報配線システムを提供するためには、電気的導通を確認するだけでは不十分である。
- ツイストペアケーブルには、0〜100MHzの範囲でケーブル特性を満足しなければなrなあい。
- よって、使用する(想定される)周波数の全域について検査する必要がある。
- LANケーブルテスターを用いて試験を行う。
LANケーブルテスターを用いて行う試験の項目 †
- ワイヤマップ試験
- 長さ
- 近端漏話(NEXT)
- 電力和近端漏話(PSNEXT)
- 反射減衰量(RL)
- 等レベル遠端漏話(ELFEXT)
- 電力和等レベル遠端漏話(PSELFEXT)
- 挿入損失対近端漏話比(ACR)
- 伝搬遅延(PD)
- 伝搬遅延時間差(DS)
- ヘッドルーム(HR)
- 特性インピーダンス(Zin)
参考文献 †