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目次

はじめに

 この記事は『理科系の作文技術』を読んだ個人的なメモである。詳細は本を読んで欲しい。

準備作成(立案)

メモ術

  • ブレインストーミングに似たメモ術:アイデアが閃いた瞬間にノートする(単語レベルでもよい)
  • KJ法
  • 図はフリーハンドでOK
  • 5W1H
  • 文献探索は必要・重要だが、研究・調査の段階で済んでいるから、理科系の仕事の文書を起草するときにはあまり問題にならない。

文章の組み立て

  • 従来は起承転結、近年は重点先行主義
  • 重点先行主義の見本は新聞の事件報道記事

序論(イントロダクション)

  • 文章のあやによって読者に読む気を起こさせるという技法は無用。
  • 読者が本論を読むべきか否かを敏速・的確に判断するための材料を示す。
    • 別枠に著者抄録あるいはこれに類するものがある場合は必ずしも必要ない。
  • 本論にかかる前に必要な予備知識を読者に提供する。
    • 本論の主題となる問題は何か
    • その問題をなぜ取り上げたのか
    • その問題がなぜ重要か
    • 問題の背景はどんなものか
    • どういう手段によってその問題を攻めようとするのか
    • 「この研究は〜という点で重要な意義をもっている」と能書きを並べるのではなく、具体的な情報を提供して判断は読者にゆだねる態度が望ましい。

結び

  • 結び・まとめという節は、よほど長い論文は別として、姿を消してしまい論議で終わるのが普通の形になった。
  • 一度書いたことは再び繰り返さず、どうしても必要なことだけを書き終わったとたんに文章が終わるのが通例となってきた。
  • それでも、文章の最後に何を持ってくるかには気を付けたい。本論のポイントをまとめたり、将来への発展への道という内容を付ける。あるいは原著論文の論議の性格、起承転結の転の性格を持たせて小さな山を作るのが望ましい。

本論

  • 構成表を作っておくとよい。
    • 記述の面で関連させなければならないものに印をつけていく。カラーペンをたくさん用意しておいて、互いに関連する項目を同色の枠でかこんでもよいし、鉛筆の線で結んでもよい。一応表を書き上げたら、これらの色枠の分布・鉛筆の線の繋がり方をにらみながら、どういう順序に項目を配列すれば話をいったりきたりすることを避けられるかを考える。
    • 最後にできあがった表の上で、各節をさらに小節に分けるべきか否かを検討し、また各節のパラグラフ構成を考える。
  • スケッチノート法
  • 概観から細部へ
  • どういう順序で書くかを思い定めてから書き始めて、途中でその原則を侵さないこと。
  • どうしても原則を守れなくなったら、いさぎよく方針を立て直して最初から書き直すこと。

パラグラフ

  • パラグラフは内容的に連結させたいくつかの文の集まり。
  • 全体としてあるひとつのトピック(小主題)についてあるひとつのこと(考え)をいう(記述する・名言する・主張する)もの。
  • パラグラフにはトピックセンテンス(外論的に述べた文)が含まれているのが通例。
    • トピックセンテンスはパラグラフの最初に書く。これは重点先行主義からもいえる。
    • しかしこの原則を守り抜くのは難しい。次の3つの理由がある。
      1. 先行するパラグラフとのつなぎの文を、トピックセンテンスの前に書かなければならない。
      2. トピックセンテンスを第一文とするパラグラフばかりが続くと、文章単調になるきらいがある。
      3. 日本語の文の組み立てがこれに向かない。
  • パラグラフにはトピックセンテンスの内容について具体的な詳細を述べる部分を書く際には、文を並べる順序やつなぎの言葉をよく考えて、一つ一つの文とトピックセンテンスとの関係、および次々の文の間の関係を明瞭に示す必要がある。
  • トピックは大きくも小さくも選べる。
    • 文章自体が非常に短い場合にはパラグラフに分割する必要はない。
      • 例:原著論文の表題埜下に印刷される著者抄録は一つのパラグラフに収めるのが通例。
    • 長い文章では、主題をいくつの小主題(トピック)に分割して、各トピックにそれぞれひとつのパラグラフを割り当てることになる。
  • 一つの文だけから成るパラグラフは原則として書くべきではない。それが許されるのは次の3つの場合だけ。
    • いくつかのパラグラフを続けて扱ってきたある問題(中主題)から次の問題に移る、移り変わりの文を書くとき
    • その一つの文が数行にわたるとき
    • 対話文を書くとき
  • 複数個の文から成るパラグラフの長さには制限がない。--目安の長さは200字〜300字。
    • 長すぎるパラグラフは読者が読む気を失わせてしまう。
    • 短すぎるパラグラフが続くと散漫な印象を与えてしまう。
  • パラグラフの長さを選ぶにあたっては、文章の性格も考えに入れる。
    • 調査の結果などの報告書には、短い・歯切れのよいパラグラフが向いている。
    • 論理性を尊ぶ論文では、必然的に長いパラグラフが必要になる。
  • パラグラフが変われば、読者はトピックが変わることを期待する。

文の構造と文章の流れ

  • レゲットの樹
    • 逆茂木*1型の文章はダメ
  • 英語の論文では「明白でない」よりも「くどい」ほうがよしとされる。
  • 欧州人は日本人の書いた英文をしばしば「墨絵のようだ」と評する。想像力を働かせて空間を埋めながら読まないと理解できないからだ。
  • 論文は読者に向けて書くべきもの。著者の思いをみたすために書くものではない。
    • 序論は読者を最短経路で本論に導きいれるようにスーッと書かなければならない。モヤモヤや逆茂木は禁物。著者が迷い歩いた跡などを表に出すべきではない。
  • 何Dのも書き直して完全を追求する執念がなければものにならない。

姿勢

  • はっきり言い切る姿勢を持つこと。
  • 当否の最終的な判断を相手にゆだねて自分の考えをぼかす言葉は使わない。こうした言葉を使うのは「著者の逃げ」だと考えること。
    • 「であろう」「といってもよいではないかと思われる」「と考えられる」「と見てもよい」は「である」に置き換え。

表現

  • わかりやすく簡潔な表現にする。
  • 文は短くする。2行(およそ50文字)が妥当。「短く、短く」と意識する。
  • 格の正しい文にする。
    • 足なしの文は減らす。
    • 「〜すること」という表現を使わざるえないこともある。なぜなら現代語訳には、これに代わるべき適当な命令形がないからである。
  • 文の途中で主語(頭)がすげかえられていたり、あるべき言葉が抜けていたりするときに、すぐそれに気付く敏感さが必要。
    • そのために、文章を読んでいて「ちょっとおかしいな」と感じるたびに、必ず読み返してどこがおかしいのかを突き止める習慣を付けるのがよい。
  • 理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書かなければならない。
  • 一つの文を書くたびに、読者がそれをどういう意味に取るだろうかと、あらゆる可能性を検討する。
  • 真の要点だけを簡潔に述べる。
  • 読みやすさに配慮する。
  • 字面の白さを考慮に入れる。何でもかんでも感じにしないで、感じを開く。
  • 受身の文だとひねくれて読みにくくなる。能動態に書き直すと、読みやすくなるばかりではなく、文が短くなる場合が多い。
  • 並記するときは、番号を振って改行したほうが読みやすい。

文章の中の区切り記号

  • 縦書きならば読点(、)の打ち方は、文章の読みやすさをかなり左右する。
    • 英語のコンマの使い方は色々な規則があるが、日本語の読点(横書きにすればコンマ)の打ち方は自由。それでも定跡というものはある。
  • セミコロン(;)は元々日本分にはない記号だが、積極的に利用することを著者は勧めている。
    • 一口でいえばコンマの親玉。
    • 一つの文の中でコンマより強く区切りを付けたいときに使う。
    • 方程式を書いた後で式の中で記号を説明するときなどに特に便利。
  • コロン(:)も元々日本分にはない記号だが、横書きの理科系の仕事の文書では便利に使える記号である。
    • 文中の強い区切りの符号(コンマより強く、セミコロンより弱い)
    • それに続いて書くことがそこまでに書いたことの詳細・要約・説明であることを示すのが役目。一言でいえば「すなわち」と同じ意味。
  • 中黒(・)は、並列連結を表す記号。このほかに、欧語をかな書きするときに語の切れ目を示すのに流用される。
    • ハイフンの代わりに使うこともある。
  • ダッシュ(―)は、形式ばる必要がない場合にコロンやカッコの代わりに使われる。
    • きちっとした文に書くと複雑な構造の複文になり、読みにくくなってしまうが、ダッシュを使うと比較的スラリと読めるようになる。

文末

  • 次々に文の最後の述語が変わっていくとよい。
  • 「である」に代わって「だ」が使える。
  • 著者はなるべく「である」の使用を避けている。
    • 「である」が多いと教科書風の堅苦しい文章になるから。
  • 同じ理由で著者は「であろう」とは書かず、「だろう」と書いている。

書き言葉と話し言葉

  • 書き言葉と話し言葉は明らかに違う。
  • 書き言葉が話し言葉に接近していく傾向があることも事実。
  • 著者は次のように使っている。
    • 「〜するほうがよい」→「〜するほうがいい」
    • 「読んでゆくうちに」→「読んでいくうちに」
    • 「8時より9時まで」→「8時から9時まで」
    • 「下地のみ」→「下地だけ」

文献引用

  • 引用文献の示し方
    1. 番号方式
    2. ハーバード方式
  • 近年は文献は文章の最後(または各章末)にまとめるのが常識。
  • 一つの引用の中に二つ以上の文献を挙げてはならない。
    • 昔はあったが、今は許されない。
    • コンピュータ処理をするときに困るからである。
  • 著者が複数の場合は、書誌要素としては必ず全員を記載すること。
    • 和文ならば姓・名を書く。
    • 欧文ならば名は頭文字だけ。
    • 日本人の著者名を欧文で引用する場合には、著者自身が用いているローマ字綴り(いくつかの学会では学会名簿に記載してある)を調べて、それにしたがうべきである。
  • 雑誌名
    • 和文誌では原則として省略をせずに正式名称どおりに書く。
    • 欧文で和文誌を引用する場合には、誌名をそのままローマ字書きする。
      • その雑誌の正式欧語名が決まっている場合には、必要に応じてカッコに入れてこれを示す。
    • 欧文誌名は、国際規格にしたがって略記する。
  • 他人の導き出した結論の要旨や数式、またデータなどは、公刊されたものであるかぎり、出所を明示しさえすれば自由に引用してよい。
  • しかし他人の著作からかなりの長さの文を引用するとき、あるいは図面・写真などを転載するときは次のことに注意。
    • 理科系の仕事の文章に引用する場合には、次なら許される(著者の意見)。
      • 引用は400字以内
      • 引用文が自分の書くものの2割以内

原稿用紙

目安式

  • 原稿用紙1枚=400字詰め
  • アナウンサーが10分間ニュースを読み上げる量=原稿用紙7〜8枚
  • 学会の10分間講演(スライド有り)=原稿用紙6枚
  • 26字詰め25行の1ページ=原稿用紙1枚半

使い方

  • パラグラフが変わるときには改行。
  • 行の頭のマス目を一つ開けて書き始める。
  • コンマ、ピリオド、カッコその他の記号には原則として一マスを当てる。
  • コンマ、ピリオドなどが行末にきたときには、行末につめて入れてしまう。
  • ローマ字綴りの言葉は、その言葉の前後に1/2角(1/2マス)ずつ空けて、活字体で書くのが建前。
    • 大文字には1角をあて、小文字は1角に2字入れて書くのが標準とされる。
    • ローマ字綴りの言葉が文頭に来るときには、大文字で書き始める。
    • ローマ字綴りの言葉が行末に来て途中で切れるときには、切ることが許されている場所(どこで切っていいかわからないときは辞書で調べる)でハイフンを入れて切る。
    • たまたま元来ハイフンを入れるべき場所が行末に来た場合には、二重のハイフン(=)を入れて切り、そのことを示す。
  • 数字の書き方はローマ字の小文字に準じて、1角に2字入れるのが標準。
  • 数式は中身がわからなくても植字できるように最新の注意を払って書く。
    • 式も文の一種と見てコンマやピリオドを付けるのが建前。
    • 文中に含まれる数式では、上下にはみ出す記法は避けて、1行に書いて余分なスペースをとらないようにする。
    • 行を改めて式だけを書くものは、1行に収まるものでも2行取り(原稿用紙2行分)にする。
    • 式が長くて途中で行が変わるときには、新しい行の頭に×、+、−をつける。ただし行末と新しい行の頭の両方につける流儀もある)
    • 式の中の文字は異なり書きがなければ斜体(イタリック)で印刷される。
    • 太い斜体(イタリック・ボールド)で印刷すべきところは字体指定する。
    • 1とl、0とO、×とXなどはカナを振って区別を示す。
    • ベキ指数や添え字は、記号∧・∨(カレット)によって上付き・下付きを明示する。

印刷原稿の図・表の書き方

  • 図も表も、それぞれ一つごとに紙を改めて書く。
  • 図には厚手の白紙または青線の方眼紙。すべて原稿用紙と同じサイズであることが望ましい。
  • 表は原則として原稿用紙に書く。
  • 図(写真を含む)と表には必ず番号を付ける。
    • 図にはアラビア数字、表にはローマ数字の番号を付けることが多い。
      • 寄稿すべき雑誌その他の習慣による。
  • 読者は図表に最初に注目する。場合によっては図表のみしか見ない読書もいる。よって図にも表にも番号をつけて必ずキャプションを書く。
    • キャプションは原則として本文を読まなくてもその図や表の中身を理解できるようにきちんと書くこと。
    • 図のキャプションは図の下、表のキャプションは表の上。
      • この原則にしたがわない学術雑誌もある。
    • 図のキャプションは図番号の順番に並べて、原稿用紙に書く。
  • 図の原稿は、長さの比で刷り上りの2〜2.5倍に書くのが標準。
    • 学術雑誌などでは墨入れをした図原稿を要求する例が多い。
  • 細菌の標準的な記法では、図の縦・横軸の説明は、座標軸の中央を中心として軸と平行に書く。

学会講演

  • 「読む」のではなく「話す」
  • 10分間の講演に対して、400字詰め原稿用紙6枚が目安。
  • 原稿を読むのは禁物。
    • 書いたものを単に話されても理解できないことが多い。
      • なぜなら、それは眼で見るための文章と耳で聞くための文章とは構成に差があるから。
    • 読むときにはいつでも読み返しができるが、講演では一度聞き逃したら聞き手の側はどうしようもないから。
  • それでも原稿は作れ。
    • 「である」体
    • なるべく短い文
    • 先ほどの6枚といったのはそういう原稿
    • 欧州では、正式の挨拶や講演は原稿を手にするのが礼儀とされる。必ずしも一字一句読み上げるわけではない。
  • スライドやOHPを使う講演の場合は、原稿はあまり役立たない。見通しのいいメモを用意し、それを見ながら話したほうがいい。

話の構成

  • 「こういう目的でこんな研究をして、こういう結果を得ましたから、それを報告します」(話の切り出し)ということを1分以内で話す。
  • 1/4則:重点の配分(時間の割り振り)
    • 残り時間を序論・研究方法・結果・論議(考察)の4つに均等に割り振るつもりで話を組み立てると具合がよいい。
  • 1/3則:話のわかりやすさに関する目安

スライド

  • 10分間講演なら7〜8枚
  • スライド内は8行以内
  • スペースを生かす
    • 行間や天地・左右を開けすぎるのはスペースの無駄遣い。
  • 長い式を追うのは無理。もっぱら話の本筋をはっきりさせることに集中すべき。
    • 式は骨子だけを書くように心がける。
  • グラフの線はすべて太めに。また字を大きく。横軸・縦軸の単位を落とさないように。多くの曲線が出るときは色分けする。

手持ち用メモ

  • 著者はA6判(15×10.5cm2)の白無地のカードを使っている。
  • 10分間講演ならこのカード2〜3ページ(裏表1枚として計算)
  • 講演後捨てる予定なら、メモに題・日付はいらない。保存する予定なら最初から振っておくこと。
  • 薄暗いところでも読めるように、スペースの許す限り大きな・太い字で書く。特に目立たせる必要があるのはスライド番号(色枠をつけるといい)。
  • 英語講演のメモなら、上げ下げ・切らずにしゃべるといった記号をつけておくといい。

マイクの使い方

  • マイクと口の相対位置を一定に保つこと。
  • 机上のスタンドに取り付けてあるマイクも、その前に座って話すのではないかぎり、取り外して左手に持つほうがいい。
    • こうすればスライドの方を向いて話しても大丈夫。
  • 胸のポケットや襟に留める式のマイクも、顔の向きが変わることを考慮に入れて、外して手に持つほうが無難。
  • マイクを使うときは小さ目の声、しかもだいたい一定の大きさの声で話すほうがよい。
    • 声が大きすぎるとスピーカーからの音がひずみやすい。
    • 声の大小の変化が大きすぎると聞き取りにくい。
  • スピーカーを通って会場に流れている自分の声をいつも意識する。
  • 後方の聴衆にもきちんと聞こえているかを確認する。
    • 顔を見ればわかる。

話し方

  • 講演は明快に。
  • ズバリと事実を述べ、自分の考えを主張する。
  • 「〜します」「〜です」でいい。
  • 発音を明晰にする。
  • 言葉の切り方に気を配り、聞き取りやすくすることも心すべき。
    • これにはニュース担当のラジオ(TVよりラジオ)のアナウンサーの発声法や抑揚が参考になる。
  • 事実・論理をきちんと積み上げて、話の筋を明瞭にする。
  • 無用のぼかしことばがない。
  • 注意を惹きたい場合には、大きな声を出すよりも、黙って間を作る。
  • 手をポケットに入れて話をしてはいけない。
    • これは年長者が聴衆をリラックスさせようとする場合だけに許されるポーズである。

参考文献

  • 『理科系の作文技術』


*1 敵の侵入を防ぐため、トゲのある木を切り倒して枝を外に向けて並べたもの