デジタルであるCDを例にして、アナログから比べたデジタルのよさを列挙する。
録音、放送、電話などの伝送経路の途中で発生する雑音は、受信側で除去することができる。アナログ信号では受信側で雑音のみを除去することは難しいが、デジタルの場合は受信信号に影響を与えることなくノイズを除去することができる。その結果、雑音の少ないクリアな伝送ができる。
テープレコーダー・LPプレイヤーなどでは回転むらが発生するが、デジタル録音では再生時に信号を一度仮のメモリーに入れ、そこから正確に順序良く取り出すことにより回転むらを取り去ってしまうことができる。
録音と同時に各種の制御信号を入れておき、再生時に曲番指定・経過時間表示などができる。これは使用にあたって非常に便利なことで、プレイヤー内蔵のマイコンチップによって操作性のよいプレイヤーができる。
CDのようにレーザー光線による再生ではピックアップがレコードと接触しないので、レコードを損耗することがない。しかし、CD自体の経年劣化は存在する。
12cmのレコード片面では最大74分の長時間録音が可能である。
アナログ録音では得られなかった明解な音色が期待できる。
現在使われているデジタル録音は、PCM(パルス符号変調)方式の録音である。
アナログ信号のデジタル化は次のようになる。
1:標本化
アナログ信号を時間的に細分化することであるを標本化(サンプリング)という。CDでは細分化を毎秒44,100回行う。この標本化に使う信号の周波数を標本化周波数といい、CDでは44.1kHzである。
2:量子化
細分化した一片一片の大きさ(電圧)を数値化することを量子化という。この量子化にあたっては一片の大きさをどこまで正確に数値化するかということが問題であるが、CDでは65,536段階(=216)の細かさで量子化する。
3:符号化
符号化(coding)とは、量子化された65,536段階を2進数の0と1によって表すことで、これでアナログ信号は完全にコード化されたことになる。この2進法の桁のことをビットと呼ぶ。桁数(ビット数)と送る情報量(この場合は細片の段階の数)の間には次の関係がある。
情報量=2n
ただし、nはビット数。
CDでは16ビット使用するので、標本化した細片の大きさは65,536通り(=216)に区別して表すことができる。このようにアナログ信号を細分化(標本化)し、その各片の大きさを数値化(量子化)して、0と1の符号に直して(符号化)記録または伝送するのがPCMである。
・透明基板を通して裏側のアルミニウム反射膜に記録した情報を再生する光記録方式である。
・光ディスクでは光の入射側には光ビームが大きく、そこにゴミ、欠陥があっても光ビームの直径に比べれば小さいので、ゴミなどによる光の散乱などの影響は相対的に少なくなり、裏側の微小な情報はきちんと読める。
アルミニウム反射膜にビットなし | 光ビームは反射してレンズに戻る | 信号光が大 |
アルミニウム反射膜にビットあり | 光ビームは回折してほとんど戻らない | 信号光が小 |
[補講]それまでは光記録にはマイクロフィルムがあった。これは写真フィルムの表面に情報が再生できないという大きな弱点を持っていた。
・CDとDVDのトラック間隔やビット長の違いは次のようになる。
トラック間隔 | 一番短いビット長 | |
CD | 1.6μm | 0.9μm |
DVD | 0.74μm | 0.4μm |