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目次

左剰余類・右剰余類

[定義]G:群、H:Gの部分群、a∈Gとする。
aH:={ah|h∈H}
Ha:={ha|h∈H}

[定義]左剰余類・右剰余類
G:群、H:Gの部分群、a∈Gとする。
このとき、Hを法としてaと左合同であるGの元全体の集合を、aのHを法とする左剰余類(Hの左剰余類)という。
また、Hを法としてaと右合同であるGの元全体の集合を、aのHを法とする右剰余類(Hの右剰余類)という。

[例]G=\mathbb{Z}_4=\{~\bar{0},~\bar{1},~\bar{2},~\bar{3}\}H=<\bar{2}>=\{~\bar{0},~\bar{2}\}(位数2の巡回部分群)とする。

このとき、GがHを法として、どのように分類されるか調べる。

Gの要素aH
\bar{0}\in~\bar{0}~+~H~=~\{~\bar{0},~\bar{2}~\}~=~H
\bar{1}\in~\bar{1}~+~H~=~\{~\bar{1},~\bar{3}~\}~=~\bar{1}~+~H
\bar{2}\in~\bar{2}~+~H~=~\{~\bar{2},~\bar{0}~\}~=~H
\bar{3}\in~\bar{3}~+~H~=~\{~\bar{3},~\bar{1}~\}~=~\bar{1}~+~H

以上から、a~=~\bar{0},~\bar{2}のときのaHはHであり、a~=~\bar{1},\bar{3}のときのaHは\bar{1}~+~Hである。
例えば、a~=~\bar{0}のとき、aH~=~\{~\bar{0},~\bar{2}~\}より、|aH|=2で、|H|=|aH|を満たしている。

よって、G=H~\cup~(\bar{1}~+~H),H~\cap~(\bar{1}~+~H)~=~\phi

また、|G|=4、|H|=2、|G:H|*1=2であり、|H|=|G:H|が成り立つ。つまり、Hを法とした左剰余類の集合の濃度とHの集合の濃度が一致している。

さらに、|G|=|G:H|・|H|が成り立つ。 ◇

[例]加法群\mathbb{Z}_{12}~\ge~H~=~<\bar{2}>~=~\{~\bar{0},~\bar{2},~\bar{4},\bar{6},\bar{8},\bar{10}\}とする。

「(Hを法とする左剰余類の集合)=(aHの集合)={H, 1+H}」であるから、|Z12:H|=2

また、|G|=12、|H|=6より、|G|=|G:H||H|が成り立っている(ラグランジュの定理が成立していることを示す一例)。

[定理]G:群、H:Gの部分群とする。
このとき、|H|=|aH|

[証明]Hの任意の元h,h'に対して、「h=h'」⇔「ah=ah'」が成り立つ。

よって、部分群の集合Hの元hに対して、左剰余類の集合の元aHが対応することは左剰余の定義からいえる。また、Hの中で一致する元のときは、aHの中で対応する元も一致する。よって、全単射になる。

したがって、|H|=|aH| □

 次の定理は「集合の濃度」であることに注意すること。「Hの左剰余類の集合の濃度」とは「aHの集合の濃度」を意味する。

[定理]G:群、H:Gの部分群とする。
このとき、「Hの左剰余類の集合の濃度」と「Hの右剰余類の集合の濃度」は一致する。

[証明]\forall~a,b~\in~G,~aH=bHが成り立つ。 \forall~a,b~\in~G,~aH=bH
\Longleftrightarrow~a^{-1}b~\in~H
\Longleftrightarrow~b^{-1}a~\in~H
\Longleftrightarrow~b^{-1}(a^{-1})^{-1}~\in~H
\Longleftrightarrow~Ha^{-1}~=~Hb^{-1}

よって、左剰余類の集合の元aHに対して、右剰余類の集合の元Ha-1を対応させると、これは全単射になる。

したがって、左剰余類の集合の濃度と右剰余類の濃度は一致する。 □

有限群・部分群の位数と部分群の指数との関係

[定義]指数
G:有限群、H:Gの部分群とするとき、Hの左剰余類の集合の濃度をGにおけるHの指数といい、|G:H|で表す。

[例]|G:{e}|=|G|、|G:G|=1

[定理]ラグランジュの定理
G:有限群、H:Gの部分群とする。
このとき、|G|=|G:H|・|H|が成り立つ。

[系]
G:有限群、H:Gの部分群とする。
このとき、Hの位数はGの位数の約数である。即ち、|G|||H|が成り立つ。

[補足]位数が素数である群は真部分群を持たない巡回群である。 ◇

[系]
G:有限群とする。
∀a∈Gにおいて、aの位数はGの位数の約数である。即ち、|a|||G|が成り立つ。

[証明]aによって生成されたGの巡回部分群<a>を考える。
[系]「|G|||H|」より、<a>はGの部分群なので、|<a>|は|G|の約数である。
また、[定理]「∀a∈G:|<a>|=|a|」が成り立つ。| よって|a|は|G|の約数である。 □

[系]
G:有限群とする。
「|G|=n」⇒「∀a∈G, an=e」

[証明]ここで、|a|=mとおく。
[系]「|a|||G|」より、∃l∈Z, n=mlを満たす。
an=aml=(am)l=el=e □

この系はn回演算すると、必ず単位元に一致することを意味する(ただし、n回演算しなくても、単位元に一致する可能性がある)。

この系を既約剰余類群\mathbb{Z}_{n}^{*}に適用すると、オイラー規準と対応している。

参考文献

  • 『応用代数学入門』
  • 『群・環・体入門』


*1 aHの集合の濃度、即ちHの左剰余類の集合の濃度を意味する。