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自殺関与・同意殺人罪

第202条【自殺関与及び同意殺人】

 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

 この法律の前側は自殺に関係することで、自殺を手助けすることである。例えば、教唆でも幇助であっても含まれる。これを自殺関与という。また、後ろ側は殺人に関係することである。普通の殺人罪と異なるのは、被害者(死ぬ人のほう)が自分のことを殺すように頼んだり、そうでなければ承諾しているという点である。このように被害者が殺されることに同意した場合であるから、これを同意殺という。

 普通殺人と比べると本人が同意しているので、当罰性は高くない。

未遂罪

第203条【未遂罪】

 第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

 生命の法益の重要性から、普通殺人に限らず自殺関与・同意殺人についても、未遂犯を処罰する規定が第203条にある。未遂のときは実行の着手時期が重要である。

 同意殺の場合は、行為に着手した時点が実行の着手時期である。  一方、自殺関与の場合は、原則論からすると構成要件に書いてある行為を開始すれば、実行の着手は間違いない。つまり、教唆・幇助を開始すれば未遂になる。ただし、自殺の動機に錯誤があったり、同意に錯誤がある場合は、錯誤による自殺の決意・同意は無効になり、普通殺人罪が成立するのだ。

参考文献

  • 『S式柴田の生講義 入門刑法』