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目次

人間型ロボット

なぜ2本足にこだわるのか

 理由はいくつかあるが、まずひとつ目の理由は、社会のインフラをそのまま使えるというものである。家やビル、道路とちた街にある建造物、さらに家具やスイッチの位置などは、2本足で歩行する人間を想定して作られている。単純な車輪型ロボットでは階段の上り下りができない。最近はバリアフリーも普及しつつあるが、それでも移動範囲を制約されてしまう。そこで、2足歩行ロボットなら、移動に関しては人間の生活圏のほとんどの場所をカバーすることが可能である。

 もうひとつの理由は、現在中核になっている日本の多くのロボット研究者がアニメの「鉄腕アトム」を見て育った世代であるということがある。社会的意義といった学術的な理由ではなく、ただ憧れのアトムを作りたいという子供のような純粋な動機が研究を推し進めたのだ。

人間の上肢

 人間の上肢をロボットハンド部で構成しようとすると、アーム機構・リスト機構・ハンド機構の3つの機構に分割できる。

  • 上肢:27自由度
    • 腕:7自由度
      • 肩:3自由度
      • 肘:1自由度
      • 手首:3自由度
    • 手:20自由度
      • 4(自由度/指)×5指

 腕と手首の機能は、3次元空間において手がどの位置にあり、どのような姿勢を取るかをという状態を与える機構であると考えることができる。機械工学の中でも運動学や機構学と呼ばれる学問分野で研究されている理論によると、手をひとつの剛体とし、また外からまったく運動の拘束を受けない状態であれば、3次元空間内における位置を決めるために3自由度(XYZ座標みたいな軸)かつ姿勢を決めるための3自由度(αβγ極座標のような角度)が必要となる。このことは、理論的に腕と手首には合計で6自由度(6つの運動関節軸)があれば、必要かつ十分にその機能を実現できる(位置と姿勢を一意に決定できる)といえる。

 この考えによれば、人間には1(=7-6)自由度の過剰な運動の自由度が存在することになる。これは通常冗長自由度という。冗長はマイナスのイメージがあるが、まったくそうではない。実際には冗長自由度を有効に利用することにより、2つの以上の関節の直進あるいは回転軸が並行に並んでしまう特異姿勢と呼ばれる状態の回避、作動領域の拡大、消費エネルギーの低減、手先速度の向上などの様々な効果が生まれることがわかっている。

 人間のつかみ動作は最も基本的かつ重要である。つかみ動作には9種類あるが、主に「つまみ」「にぎり」「はさみ」の3種類に大別される。

  • つまみ動作
    • 母指+人差し指+中指先端
      • 鉛筆
  • にぎり動作
    • 母指以外の4指(人差し指〜小指)
      • ポット
      • かばん
  • はさみ動作
    • 母指の腹+(人差し指の側面、人差し指+中指、4指)対向
      • 切符
      • 下敷き

二足歩行技術

静歩行と動歩行

・直感的に解説すると、歩行動作を急に止めたときに勢い余って前に倒れてしまうのが動歩行、そのままの状態で止まれるのが静歩行である。

・動歩行では動的なバランスを保たなければならない。つまり、移動することとバランスを保つことを両立しなければならない。

・動歩行を実現するには、ZMP(ゼロ・モーメント・ポイント)における動的な力の釣りあいの方程式を解くことが基本となる。

・ただし、具体的な制御方法は各ロボットで異なる。

  • ホンダのASIMO
    • 下半身の動作を中心に制御している。
    • 様々な地面の状態に対応し、安定して歩けることに重点を置いて開発してきた。
    • そのうえで、上半身の動きを付加した。
    • 歩行のレベルは、ASIMOが他を少しリードしている。
  • ソニーのSDR-3X
    • 上半身を使った派手なパフォーマンスの実現を重視してきた。
    • そのため、上半身が主で、それを支える下半身が従となるような制御方法を取る。
    • この方法は、全身強調動的制御と呼ばれる。この制御方法は、早大高西研がその基本技術を開発した。

・歩行レベルは次のようになる。

ASIMO>SDR-3X≒WABIAN-R IV≒Mk.5>>PINO

ZMP

ZMPは、ロボットの重心に作用する重力と慣性力を足した合力のベクトルを延長し、地面(床面)と交わる点である。

・片足のみを地面に着いている状態では、必ず足裏の範囲内にZMPはある。

・また、両足を地面に着いている状態では、両方の足裏で形成する支持多角形(足裏その移動部分を投影したところの共通部分に表れる多角形)の範囲内に必ずある。

・足裏が地面を踏みつける力の反力(踏みつける力と大きさは等しく、向きは逆)と、重力、慣性力は3つの力および、そのモーメント(ある点のまわりに回転させる作用)が釣り合う(すべてを足すとベクトルがゼロベクトルになるということ)。

・ZMPで、ロボットに加わる力が釣り合うといのは、重力と慣性力の合力(両者を2辺とする平行四辺形の対角線)と地面からの反力が、大きさが等しく、向きが互いに逆になるということである。この釣り合いは、常に成り立つ。

・ZMPが必ず足裏か支持多角形の範囲にあり、しかも動的な力の釣り合いが常に成り立つとすると、ロボットは決して倒れないかのように思える。しかし、慣性力はあくまで見かけ上の力であるところが難点である。

 例えば、足裏で地面を踏みつける力が足りないと、慣性力は水平ではなく、少し斜め上を向く。このとき、ロボットの重心は、斜め下に向かう加速度を持つことになる。重心が下がる方向に加速度を持つということで、つまり倒れ始めているということである。倒れないためには、重心が挙がる方向に加速度を持たせなければならない。つまり、斜め下を向いた慣性力が必要となる。そのためには、足裏で地面を踏みつける力を強めることによって、慣性力を斜め下向きに変えなければならない。

バランスを取る

・二足歩行で移動しながらバランスを保つというロボットにとってはとても難しいことを、人間は特に意識することなくできてしまう。その人間のバランス感覚に習おうとすると、二足歩行ロボットは人間の感覚器官と同様の役割を果たすセンサーを搭載している。

・それらは主に3タイプに分けられる。

  • 姿勢制御用センサー
    • 平衡感覚を担う人間の三半規管に相当する。
  • 足底や足首のセンサー
    • 地面(床面)の状態やそこから足に受ける力を検知する。
  • 曲がり具合や力のかかり具合を検知するセンサー
    • 各関節にあるセンサーである。

・具体的なセンサーとしては、ジャイロセンサーなどが使われる。

自立型ロボットの危険性

  1. 自律型ロボットが誤って人を傷つける可能性(リモートコントロールでの操作ミスも含む)
  2. 開発者が悪意を持って、自立型ロボットを人を傷つけるように開発する可能性
  3. 自立型ロボット自身が人間のコントロールを離れて人類に危害を与える可能性
  4. ロボットが人を傷つけてしまった場合の責任の所在

参考文献

  • 『人間型ロボットのはなし』
  • 『大人のための徹底!ロボット学』
  • 『RoBolution』