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LED

目次 †

LED †

　発光ダイオード（LED：Light Emitting Diode）は電気を通すと発行する性質を持つダイオードである。

　P型半導体とN型半導体を接合したPN接合ダイオードに順方向に電流を流すと、ある特定の半導体では流れ込んだ電子のエネルギーが光として放出される現象が起きる。この性質を利用したのが発光ダイオードである。

LEDの色と物質の関係 †

　約2Vの電圧をかけると電流が流れ始め、発光し、赤・緑・オレンジ・青色の各種が存在する。放出される光の波長（色）は、基となる半導体の材料の特性によって異なる。

LEDの特徴 †

　LEDには他の光源では真似のできない幾つかの特徴があります。

・発光ダイオードは、電球と比較してずっと消費電力が少なく、半永久的に寿命が長いという特徴を持つため、電子機器のインジケーター（電源がONの時に赤く光るようなもの）など幅広く用いられている。

発光ダイオードの構造 †

　発光ダイオードの発光色は色々な成分を含まない単色光に近い光源である。

　また、応答性に優れているので、高い周波数での光変調が可能である。これらの特徴は光データ通信の分野で非常に有利である。

　発光ダイオードには小型でかなり小さな製品もあり、製品バリエーションが広く、様々な形状に合わせたものを製造できる。

各LEDの特徴 †

白色LED †

• 白色LEDの発光原理は2つの方式がある。
  • 光の三原色を合成して白色にする方式と、青色LEDを蛍光物質で覆い、この蛍光物質の黄色と元の青色とで白色にする方法がある。
    • よって青色LEDは白色LEDにとって欠かせない存在である。
• 白色LEDの輝度は年々高くなっており、照明器具としても利用できるようになった。

ドット・マトリックスLED †

• 複数のLEDから構成される。
• 英数字の表示には最低でも5×7ドットのLEDが必要になる。
• 漢字を滑らかに表示するためには最低でも16×16ドットのLED（合計256個）が必要になる。

7セグメントLED †

• 7セグメントLEDを参照せよ。

比較 †

発光ダイオードのアノードとカソードの判断 †

　メーカーによって判断方法は違いますが、基本的に長い方がA（アノード：＋）、短い方がK（カソード：−）、あるいは太い方がA、細い方がKとなります。

アノード→カソード

カットオフ †

• 順方向で電圧を加えたとき、電流が流れ始める電圧のことをカットオフと呼ぶ。
• シリコンダイオードでは約0.6V、ゲルマニウムダイオードでは約0.3Vである。

発光ダイオードの光らせ方 †

直流 †

　LEDは2Vくらいの電圧で発光し、10mAくらいの電流が必要である。この調整は抵抗器で行う。電流が流れすぎないようにするわけである。

　その抵抗値を求めるためにはオームの法則を使って計算する。

R
＝V/I
＝（5[V]-2[V]）/10[mA]
＝3[V]/0.01[A]
＝300[Ω]

　300Ωという抵抗があればOKということがわかる。抵抗には誤差があるので330Ωの抵抗器を使えばよいだろう。とはいえ、LEDの種類にもよるが、1kΩ程度の抵抗を挟んでもLEDは光る。

電子ブロックminiによるLEDの点灯電圧 †

ブロック配置図

• 単3乾電池を2本用意して、上記のブロック配置図のようにブロックを並べる。このとき、電子ブロックminiの＋、−の端子には何も接続しないので、メインスイッチはOFFのままにしておく。
• リード線の一方をAに接続した状態の場合は、LEDは付かない。
  • 供給される電圧が1.5VとLEDを付けるには低いからである。
• しかし、リード線の一方をAからBに接続し直すと、LEDが付く。
  • 供給される電圧が3VとLEDを付けるために必要な一定の電圧を超えているからである。

交流 †

LEDの並列・直列回路 †

電子ブロックminiのLEDの並列・直列回路 †

• 2つのLEDを並列・直列に繋いだ場合の光り方の違いを調べる。

LEDの並列回路 †

ブロック配置図

• LEDを2つ並列にすると、LED1つのときと明るさはほとんど変わらない。
  • これは電圧が変わらないからである。
• しかし、電池は電流を2倍流すために、1つのときのおおよそ半分の時間しかLEDを付けていられない。

LEDの直列回路 †

ブロック配置図

• LEDを2つ直列にすると、緑のLEDは1つのときよりも暗くなる。
  • これは電圧がLED1つあたり、半分の2.25Vになったためである。
  • 約2.4Vのときに明るく付く緑のLEDに2.25Vしか与えられないために暗くなるのである。

LEDを明るく点灯させる †

電圧を高める †

　電流制限抵抗を用いて赤色LEDを点灯させるときに、電池を1本から3本にすれば電圧が上がるため、LEDに流れる電流が増えるため明るくなる。

LEDを点滅・点灯する方法 †

1個のLEDを点滅させる †

トランジスタの利用による点滅 †

　単にLEDを点滅させるには電流を流したり止めたりすればよい。これを実現する最も素朴な方法が回路に直列にスイッチを入れて、このスイッチを入れたり切ったりすればよい。 　しかし、これでは自動的に点滅を繰り返すことができないので、別の発振器で信号を加え、トランジスタなどを使ってLEDをオン・オフすればよい（トランジスタをスイッチとして使う）。

ブロッキング発振回路（弛張発振回路） †

　NPNトランジスタとPNPトランジスタをそれぞれ1つずつ使用したブロッキング発振回路によりLEDを点滅できる。

• 抵抗を通してコンデンサが充電される。この充電時間により発振周期（周波数）が変わる。
  • よってLEDの点滅の周期を変えたければ、抵抗値とコンデンサの値を変更すればよい。
    • 抵抗とコンデンサの値を大きくすると発振周期は大きくなる（発振周波数は低くなる）。
• この回路に流れる電流は最大でも2.5mA程度なので、単3乾電池を使ってつけっぱなしにしてもかなりの時間動作する。

マルチバイブレータ回路 †

　マルチバイブレータの片側に1つのLEDを接続すればLEDを点滅でき、両側に1つずつLEDを接続すれば2つのLEDを交互に点滅できる。

　マルチバイブレータを実現する方法としては次が挙げられる。

• NPNトランジスタ（あるいはPNPトランジスタ）を2つ使う方法
• タイマーICの555を利用する方法
  • LMC555の3番ピンと4番ピンの間にLEDと電流制限抵抗器を接続することで、出力がLで点灯する。一方、3番ピンとGNDの間にLEDと電流制限抵抗器を接続することで、出力がHで点灯する。

自己点滅LEDの利用による点滅 †

• 自己点滅LEDは内部に発振回路とスイッチ回路が入ったものであり、5Vの電源を直結して使うことができる。このため点滅の周期は固定で変更できない。
• 自己点滅LEDと電源を直接接続するだけでよい。

2個のLEDを交互に点滅させる †

マルチバイブレータ回路 †

• 2個のトランジスタを使った場合は両側にLEDを接続する。
• 555を使った場合は3番ピンと4番ピンの間、3番ピンとGNDの間にLEDを接続する。

複数のLEDを同時に点灯する †

並列接続 †

　LEDと電流制限抵抗器のセットを並列接続すると、複数のLEDを同時に点灯することができる。

　回路全体に流れる電流は接続したLEDの合計分になる。

　並列接続はそれぞれの抵抗とLEDに電流が流れるので抵抗で消費される電力も接続した数だけ増えるため、消費電力は大きい。

直列接続 †

　点灯するLEDをすべて直列につないで電流制限抵抗を1本にする。この方式の場合は供給する電圧を高くする必要があるが、消費する電力は並列接続と異なり1本の抵抗分のみである。

複数のLEDを点滅させる †

• 複数のLEDを点滅させるときは単体のときと同様に並列または直列に接続したLEDを負荷として接続する。
• 並列接続のときは全体の電流がドライブ回路の最大定格電流を越えないようにLEDの数を制限する必要がある。
  • 直列接続したLEDを並列に接続して、さらにLEDを数を増やすこともできる。
  • どうしても最大定格を超えてしまう場合は、別のトランジスタやトランジスタアレイを使ったドライブ回路を追加すればよい。
    • 例えば、TD62004Pのドライブ能力は500mAもあるので、多くのLEDを同時に点灯・点滅することが可能である。
• 直列にLEDを接続し、そのうちの1つのLEDを自己点滅LEDにしてもよい。ただし、自己点滅LEDが消灯しているときも、わずかに電流は流れているので、自己点滅LED以外のLEDによっては少し発光するものもある。

複数のLEDを順次点灯する †

• バイナリカウンタとデコーダを利用する。

例：

• LMC555の3番ピンと74HC93の1番ピンを接続する。
• 74HC138のY0〜Y7にLEDと電流制限抵抗を接続する。
• 74HC93の9番ピン・8番ピン・11番ピンをそれぞれ74HC138の1番ピン・2番ピン・3番ピント接続する。

電池1本でLEDを点灯させる †

　赤色・緑色・黄色LEDの順方向電圧は1.8V程度、白色LEDの順方向電圧は3〜3.6V程度あるので、電池1本の1.5Vでは単純に接続しただけではLEDが点灯しない。電池1本でLEDを点灯するためには昇圧回路を設ける。

発光ダイオードの利用場面 †

• FTTH
• スタジアムやビルの大型ディスプレイ
  • 1つのLEDの素子の大きさを小さくすることができないので、家庭用の100インチ程度となる高精密なディスプレイは作ることができない。
• 駅の電光掲示板
• 道路交通信号機
  • 使用されているLEDは192個。消費電力は従来のタイプと比べて5分の1になっている。
• 街の広告看板
• 自動販売機
  • インジケーターの表示に使われている。
• 自動車・バイクなどのテールランプや方向指示器
• ゲーム機
• パチンコ台

発光ダイオードの種類 †

　発光ダイオードには発光色の種類だけでなく、様々な形状のものがある。最もポピュラーな小さな丸型のLEDは、直径2.5mm、3mm、4mm、5mm、7mm、10mmのものなどがあり、外形が三角形や四角形のものもある。

　また、パッケージの樹脂が無色透明なものや発光色と同じ色で着色されたものがある。

　乳白色や不透明着色タイプのものは、パッケージ樹脂に粉末を混入して、内部で拡散して均一な光が出るようになっているのである。

LEDの極性の確認 †

反射板の有無による確認 †

　LED本体の中に透き通って見える反射板がある方がカソードである。

直流電源利用によるLEDの極性の確認 †

　リード線を切断したLEDや、7セグメントLEDは極性、即ちどちらがアノードなのかわからなくなってしまうことがある。

　このようなときはLEDや7セグメントLEDを直接点灯させることで、ピン接続が判明する。LEDは5V電源の場合は390Ω程度の抵抗器（電流制限抵抗に相当する）を接続すれば点灯するので、この性質を利用する。つまり、5Vの直流電源の＋側に抵抗器を接続し、LEDの片方のピンに接続する。一方、直流電源の−側は直接LEDのもう片方のピンに接続する。そのときに点灯すれば、電流制限抵抗を接続したピンがアノード、その逆のピンがカソードだと判断できる。

[注意]5V電源を直接LEDに接続するとLEDが壊れるので注意。　◇

発光ダイオードのテスト †

　順方向にテスト棒を当てた時（赤テスト棒をダイオードの＋側、黒テスト棒をダイオードの−側）、点灯する。逆方向に当てた時、点灯しない。

　発光ダイオードは電流を流すと光るが、発行する時の順方向電圧は1.5V以上なので、テスターの内部電圧が低いと光らない。一方、発光ダイオードの中には逆方向に加えられる電圧が3Vくらいのものもある。つまり、高すぎても低すぎてもダメで、テスターのダイヤルをダイオードの図記号に合わせたとき、ダイオードを接続する前に表示している電圧が2〜3Vのテスターなら光るはずだ。

模型とLED †

• 電球は360度の全方位に光がまわるが、LEDでは照射角が15〜30度程度と狭く、側面から見るとかなり暗くなってしまう。
  • 簡単に照射角を広げるならば、LEDにかぶせるキャップがある。ただし、光量は落ちてしまう。

Nゲージの場合 †

建物 †

• Nゲージなどの一般的な建物に組み込む場合、天井から床を照らすように設置するのではなく、床から真上に照射、手手物の天井にアルミホイルなどの反射板を付けるという方法がある。
  • アルミホイルをくしゃくしゃにしておくと、乱反射により建物の内部全体に光がまわる。
  • 窓ガラスの内側にトレーシングペーパーなどの薄手の紙を張ると、カーテンを閉めた状態のようなそれらしい状態を作り出すことができる（照明効果も上がる）。
• 建物の多くはプラスチックや紙でできている。照明による発熱で変形、最悪の場合は出荷する可能性がある。

機関庫やバスの車庫 †

• 扉が開いた状態の建物に組み込む場合は天井から真下に照射する。この場合はキャップの使用が効果的である。

参考文献 †

• 『見方・かき方ディジタル回路』
• 『LED電子工作ガイド』
• 『Nゲージ鉄道模型大事典』
• 『大人の科学magazine Vol.32』