・ごくまれに男性で2個のY染色体が1個のX染色体と対になる遺伝的異常が起こる。この現象をXYYと呼び、その対の染色体をXYY染色体という。
・ジェイコブスらの研究によると、XYY染色体を持つ男性は、高い身長、精神遅滞、そして多くは高レベルの攻撃性の3つの特徴を持つとされる。ただし、例外も多い。ひどいにきびやにきび痕も特徴である。
ジェイコブスの研究が発表された後で、何人かの研究者がXYY染色体異常は男性の暴力的犯罪行為と密接に結びついているという仮説を立てた。
・多くの悪名高い殺人犯がXYY異常を持っていたようである。
例1：オーストラリアで77歳の女性を撲殺して有罪とされたロバート・ピーター・テイト
裁判後に染色体異常が発見されたが、刑の執行は延期されなかった。
例2：ニューヨーク市クイーンズ地区で1969年に女性を殺害して遺体を切断したショーン・ファーリー（俗称：ビッグ・バッド・ジョン）
彼は身長2m、体重110kgの巨漢であり、染色体の不均衡による精神異常を申し立てたが、有罪を宣告された。
例3：8人の看護学生を殺害したリチャード・スペック
身体的にXYY染色体の特徴を持っていたので、有罪判決後に研究者は彼の染色体構造を調査した。しかし、彼の遺伝子には異常はないと結論付けられた。
・XYY染色体は刑事裁判の抗弁材料として使われていないが、犯罪との関連性にはいくつかの実証的裏付けがある。
