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*目次 [#s8ac5a8b]

#contents


*塩 [#aa83c1e1]

-=塩化ナトリウム
-化学式はNaCl。
-[[水]]に溶けているときは、ナトリウムイオン(NaSUP{+};)と塩化物イオン(ClSUP{-};)という2種類のイオンに分かれる。
-塩の[[結晶]]は無色透明。
--細かい粒がたくさん集まると光が反射しあって白く見える。
--塩の結晶の基本形は、[[正六面体]]である。
---作り方によって他の形もできる。
-[[モース硬度]]は2.0〜2.5。
--大体[[石膏]]と同じくらいの硬さである。
-塩が水に溶ける量は決まっている。
--塩が水に溶ける量は温度が高くなると、少しずつ増える。
--100mlの水には、20℃のとき約36g、100℃のとき約40gの塩が溶ける。
-美味しいと感じる塩味の濃さの範囲は、甘い味に比べて狭い。よってちょうど美味しいと感じる塩味を出すのは、甘い味よりも難しい。
-肉に塩を加えると、束になっているミオシンというタンパク質が1つ1つバラバラに溶け出して粘り気が出てくる。それをよくこねるとミオシンがお互いに絡み合って、粘りがより強くなって肉のまとまりよくなる。
--さらに肉を加熱すると、タンパク質は固まるので、ミオシンの結びつきはより強くなる。網目のような構造ができて肉汁を中に閉じ込める。
---例えば、塩にはハンバーグの中に旨みを閉じ込める役割がある。
-塩には水分を引き出す力もあるため、塩の量が多すぎると逆に肉汁を追い出してしまう。
--水分が多いと食べ物を腐らせるバイ菌が増えやすい。そのため塩により食べ物を腐らせるバイ菌を育ちにくく、増えにくくできる。
---梅干しの場合、長い期間保存するためには、塩の量は梅の量に対して約20%刃必要である。
-細胞の外と中の液体濃度が違うと、細胞が縮みすぎたり、膨らみすぎたりする。そうすると細胞が壊れるので、外の液体に溶けている塩のイオン濃度を調節することで、細胞の外と中の液体濃度を一定の保っている。
-人間の体は弱いアルカリ性に保たれており、酸性になると生きることができない。
--塩のナトリウムイオンは体の中の酸を中和し、体を弱いアルカリ性に保っている。
-[[日本]]は主に天日塩【てんぴえん】を輸入している。
--天日塩とは乾燥した気候の地域で、[[太陽]]と[[風]]の力だけで結晶させた塩のことである。
--天日塩はそのまま使われることもあるが、粒の大きいので形を変えて使われることがある。
-輸入した天日塩は[[クレーン]]で積み下ろされる。[[ベルトコンベアー]]に乗って外に積み上げらる天日塩は、工業用の塩である。食用の塩は倉庫の中に保管される。
-[[雪]]がたくさん降る寒い地域では、道路の凍結防止のためにも塩が多く使われている。
--水は0℃で凍るが、濃い塩水はマイナス21℃まで凍らない。この性質を利用して、気温が下がる前にあらかじめ塩水を巻いておくと、道路上の水が凍らなくなる。
-[[家畜]]に塩を与える必要がある。
--特に牛の餌にはほとんど塩が入っていないので、塩の塊を舐めさせる。
--昔は塩の塊はなかったため、塩をそのまま餌に混ぜて食べさせていた。
-塩から取れたにがりから、[[豆腐]]を作ることができる。
-[[米]]や[[麦]]のよい種を選ぶために塩水が使うことができる。
--種を塩水に付けて浮くか沈むかを見る。未熟な種は中身が軽いから塩水に浮くが、よい種は中身が重いので塩水に沈む。塩水に沈んだ種だけを選んで使えば、おいしい米や麦がたくさんできる。
-世界の資源別塩生産割合として、[[岩塩]]が60%、[[海水]]が35%ぐらいである。
--ただし、岩塩も元はすべて海水である。
-[[アメリカ]]やヨーロッパは岩塩、[[メキシコ]]や[[オーストラリア]]は天日塩が多く採れる。
-塩が白くみえるのは光の乱反射による。本当は無色透明である。
-血液や[[汗]]を舐めても少ししょっぱいのは、体の中に塩があるからである。
--体の中に塩水があるのは、今から約40億年前に最初の生き物が海水の中で誕生したことの名残である。
--体重の約60%が水でできている。そのうちの2/3は筋肉などの細胞の中にある[[水]]であり、この中には塩はほとんど溶けていない。残りの1/3は血液やリンパ液などの細胞の外にある水で、''体液(細胞外体液)''という。この体液に塩が約0.9%の割合で溶けており、色々な働きをしている。
-[[血液]]の0.9%は塩分である。
-水に溶けているとき、塩はナトリウムイオンと塩化物イオンという2種類の電気を帯びた粒に分かれている。
-[[細胞]]の周りにある血液などの体液はいつも一定の濃さや温度になった塩水で、細胞がきちんと活動できるように守る働きをしている。
-[[日本]]で使われる塩は1年間に約960万トンである。
--そのうち調味料として過程で使われる塩の量はたった3%である。
---食品加工品と合わせても、食べ物で使う量は全体の15%にならない。
--塩のほとんどはソーダ工業などの工業に使われ、庵小名工業製品などに姿を変えて、我々の生活を支えている。
-日本で使われている塩は約85%を輸入に頼っている。
--その多くは[[メキシコ]]とや[[オーストラリア]で作られた天日塩である。
-塩は防腐・滅菌・浸透・脱水などの働きがある。
-江戸時代に大きな飢饉が何回か襲い、多くの人が亡くなった。ひどいときには食べられるものといえば草や木の根ぐらいになってしまったこともある。そんなときに塩を持っていたから、草や木の根を食べても中毒せずに生き延びることができた人がいたという。
-狩猟・採集時代は野生の動物や魚、植物をとっていた。当時の人々は狩りした動物の内臓や、骨の髄を好んで食べたという。この動物の内臓や骨の髄などの中には塩分が含まれているため、自然に塩分を補給できていた。
--一方、農耕時代になると、穀物を多くとるようになり、自然に補給できる塩だけでは足りなくなった。しかも、米などの植物にはカリウムが多く入っていることも関係する。米を食べるとカリウムが摂取され、余分なカリウムは体の外に捨てられる。このとき体の中の[[ナトリウム]]も一緒に捨てられるのである。よってナトリウム不足になる。
---おにぎりやじゃがいもに塩をかけて食べるのは、とても理にかなったことといえる。
-文明が進化する上で、塩を使い始めた大きな理由がある。それは人口が増え、人々がひとところに集まって生活するようになると、加工食品(特に保存食品)が大切になり、たくさん作られるようになった。この保存食をつくるときの主役が塩であった。塩には物が腐るのを防ぐ働きがある。動物の肉や野菜を塩漬けすると、塩は肉や野菜から余分な水分を吸い出すと共に、中に入り込み、細菌の繁殖を抑えるのである。
--保存食は交易でも利用された。
-四大文明のすぐ近くには大きな塩の生産地が存在していた。
--黄河のほとりには塩の湖がある。
--エジプトではナイル川河口の知覚の天日製塩に適した地中海沿いの地域がある。
-古代エジプトでは塩を保存食や、ミイラ作りに利用した。
--ミイラにする死体は約70日間濃い塩水に漬けた後に、薬で処理したという。これは塩の持つ防腐作用を利用したものである。
-[[地中海]]の東に住むフェニキア人も塩をよく利用した。
--フェニキア人はBC12世紀〜6世紀頃、地中海を中心に、遠くは[[インド洋]]にいたる広い海を航海し、海運・交易で活躍した。長い間、食料のない大海原を航海することができたのは、塩を使った保存食があったからである。
--フェニキア人は地中海沿いの港から塩や塩魚を積み出し、塩を求めるところに広く売りさばいた。
-ローマ帝国では、兵士たちの給料として塩が使われた。
--給料のことを「サラリー」というが、ラテン語の「サラリウム」(兵士の塩)という言葉に由来する。
-塩は古代から大変貴重なものとされてきた。
--アフリカではつい最近まで塩がお金として使われていたところがある。
-昔の家々には必ず塩を貯蔵するために、木をくりぬいた舟形といわれるものがあり、その大きさによってその家の資産の有無を推測したという。
-城には必ず塩蔵があり、天守閣の真下や城の一番重要な場所に設置され、他の食糧よりもっとも重要なものとされた。
-『古事記』や『日本書紀』には塩にまつわる神である塩土老翁【シオツチノオジ】が登場する。
--海幸彦【ウミサチヒコ】と山幸彦【ヤマサチヒコ】の神話の中では、兄の海幸彦を助けた神とされている。
--老人の姿をした海の神といわれる塩土老翁は、困る人を助ける物知りとして語られる。そして、この神は全国各地に塩作りの方法を伝え広めたといわれている。
--この塩土老翁は現在、宮城県の塩釜【しおがま】神社に祭られている。
---また、昔製塩をしていた場所を中心に、日本各地には塩作りの反映を祈った塩釜神社がたくさんある。
-山に住む人々にとって、塩を運ぶ人は重要であった。
--塩は雨にぬれると溶けてしまうので、運ぶのが難しかった。当時は稲わらの俵で塩を運んでいたからである。塩魚にすれば溶けることないし、塩魚を食べれば塩も補給できたというわけである。
--九州の山の中には、子供が生まれると、塩売りに名付け親になってもらうところがあった。
---苦労して塩を運ぶ潮売りと山の人には、商売の域を超えて、強いきずなで結ばれていた証である。
-浅野家と吉良家は塩作りの技術を巡って、以前から仲が悪く、これが忠臣蔵の原因となった。
-昔の言い伝えに「塩が切れれば、米なきよりもくたびれるものなり」というのがある。
--経験的に塩分の大切さが昔らから知られていたのであろう。

-古代ローマでは兵士の給料を塩で払っていた時代がある。
--働いてもらう給料をサラリーという。これは「兵士の塩の貨幣」を意味するラテン語のサラリュウムからきている。
-古代ギリシア人は、奴隷を買うときに、奴隷の体重と同じ重さの塩と交換した。
-コロンブスのアメリカ大陸発見は塩がなければできなかった。
--なぜならば、当時の船旅の食糧は塩で保存していたからである。
-相撲は元々田の神に豊作を祈る祭りとして始まった。このため、土俵は神聖な場所とされ、今でも勝負の前には塩をまいて清める習慣がある。
--まいた塩は土俵を適度な硬さにもしてくれる。
-店の門前のもり塩は、客が来るように縁起を担ぐ意味がある。
--昔中国のある女性が、皇帝の乗った牛を、門前に塩を盛って呼び寄せたという言い伝えからきている。
---草食動物の牛は塩が欲しくてたまらなかったのだと推測される。
-江戸時代に塩づくりの盛んな藩では、藩が塩を取扱、その収入を藩の財政にして、塩の密造や密売を厳しく取り締まった。
-中国では塩を税金の代わりに収めた時代がある。
--許可なく塩を作ったり打ったりすると、死刑になったという。
-人々が一箇所に住みついて農耕生活をするようになると、急に塩の要求も増えた。
--狩猟生活の場合は、動物や魚介類の中に含まれる塩分を自然に採ることができた。一方、ヒエ・アワ・イネ・麦などの植物性の食べ物を主食にするようになってくると別の方法で塩を採る必要があったからである。
-卵を茹でるときに、湯に塩を少し入れると、卵にひびが入っても、中身は流れない。
--塩には卵の白身を固める働きがあるからである。
-リンゴの皮を剥いた後に、すぐに塩水に浸けると変色しない。
--リンゴには空気に触れると変色する物質が含まれているが、塩はこの物質の働きを抑える。
-花の茎の切り口に濃い塩水を付けてから花瓶にさすと、水上げがよくなる。
--塩水を付けた切り口に、花瓶の水が吸い取られるからである。
-普通塩は植物の成長をさまたげる。
--植物を塩水に浸けると、細胞から水分が奪われ、細胞の中身とそれを包んでいる膜との間が離れてしまうからである。
--特に[[稲]]は塩に弱く、水田に塩水が入ると、枯れたり成長が止まったりする。
--しかし、中には塩水に強い植物もある。
---マングローブなどは潮につかる場所に生えている。体液が他の植物より濃く、また葉の表面は厚く小型で、水分を失いにくい仕組みになっている。
-砕いた氷と塩を混ぜると、温度は0℃より下がる。これは塩が氷を溶かし、そのときに周りの熱を奪うからである。
--これを利用すれば、アイスキャンディーを作ることができる。
--水は0℃で凍るが、塩水は0℃でも凍らない。飽和食塩水は-21℃で凍る。
-水200cmSUP{3};(200g)に20gの塩(約15cmSUP{3};)を溶かしてできた塩水は、215cmSUP{3};にはならない。わずかに体積が増えるだけである。
--大豆と米粒を混ぜ合わせても、大豆と大豆の隙間に米粒が入るので、あまり体積が増えない。これと同様である。
--15cmSUP{3};ある塩も、その半分近くは空気が混じっている。
-一度溶けた((「水に溶けた」というのは、一様に水と混じり合い、透き通って見えなくなることである。水に小麦粉を入れても、にごるだけで、しばらくすると底の方に小麦粉は沈む。これは「水に溶けた」と言わない。))ものは水が蒸発したり温度が変化しない限り、決して底に沈むことがない。何十年たっても透き通ったままである。
--溶けて見えなくなった塩は、目に見えない小さな粒になって水の中に交じっている。

*塩の結晶の形状 [#sb2d2926]

 塩の結晶は通常正六面体だが、条件によって塩の結晶の形状が変わる。

-トレミー
--逆ピラミッド型
-プレート
--薄い板状
-細い柱状
-球状


*カラーソルト [#u4c02757]

 塩の結晶の外を着色するのは簡単だが、色素を核に包むように内部から着色するには技術が必要である。


*塩の精製 [#g532955f]

-海水の中には塩がわずか3%しか溶けていない。そのため、海水を煮詰めても少ししか塩が取れない。
--さらに海水の中の不純物やにがり成分も塩に混ざって出てくる。それにより塩が苦くなり、セメントのように固まってしまう。
-例えば、海水から97%の水分を取り除いて塩を取るためには、大量の薪を燃やさなければいけない。しかし、それだけの薪を手に入れるのは大変である。そこでできるだけ少ないエネルギーでたくさんの塩を取る方法を昔の人は考えた。
--海水をそのまま煮詰めるのではなく、海水の塩分濃度を濃くしてから煮詰める方法である。例えば、海水を6倍に濃くしてから煮詰めると、同じ量の薪で6倍の塩が取れることになる。
-海水1リットル中には約30gの塩が溶けている。つまり、3%の塩が溶けている。
-海水から塩を採るためには水を蒸発すればよいが、3%の塩を採るためには残り97%の水を取り除く必要がある。
--そこで、人々は海水中の塩を能率よく採るために、昔から色々な工夫をしてきた。
-さらに海水の中の不純物やにがり成分も塩に混ざって出てくる。それにより塩が苦くなり、セメントのように固まってしまう。
--例えば、海水から97%の水分を取り除いて塩を取るためには、大量の薪を燃やさなければいけない。しかし、それだけの薪を手に入れるのは大変である。そこでできるだけ少ないエネルギーでたくさんの塩を取る方法を昔の人は考えた。
---海水をそのまま煮詰めるのではなく、海水の塩分濃度を濃くしてから煮詰める方法である。例えば、海水を6倍に濃くしてから煮詰めると、同じ量の薪で6倍の塩が取れることになる。
---濃い塩水を作る作業を''採かん''、濃い塩水を煮詰める作業を''せんごう''という。塩作りは大きく分けると、この採かんとせんごうの2つの工程から成り立っている。
-昔は海水に含まれている97%の水を蒸発させることに工夫していたが、イオン交換膜法では3%の塩分を集める工夫をしたのである。
-海水を煮詰めると溶けている成分が結晶として出てくる順番がある。この性質を利用して、にがり成分を結晶になる前に、煮詰めるのをやめて、脱水によって取り除くことができる。
--イオン交換膜法で作るとにがりが含まれない塩ができると思っている人がいるが、これは間違いである。採かんの方法ではなく、せんごうや脱水の仕方によって塩のにがりがどのくらい含まれるのかが決まる。

**藻塩焼き [#l3ddd1de]

-海水の付いた海藻を天日に干して、表面に析出した塩を海水で溶かして濃い塩水を作る。その濃い塩水を煮詰めて塩を採る。
-また、焼いた海藻の灰(灰塩)から、濃い塩水を作るという方法もある。
-こうした採り方は『万葉集』にも「藻塩焼く」と表現されている。

**塩田 [#t025fce0]

-瀬戸内は日本で最も干満の差が大きく、しかも広い砂浜があるので、入浜式塩田が多く作られた。
--一方、干潮と満潮の差が小さく、広い砂浜が少ない場合は揚浜式塩田が作られる。
-揚浜式塩田の場合は手作業で塩水を運ぶ必要があるため、入浜式塩田より効率が悪い。

***揚浜式塩田 [#l2e140b2]

-人力で海水を汲み上げて、塩田の砂に塩をかける。その後、塩田の砂に太陽熱と風により水分を蒸発させて塩分が付着した砂を作る。その砂を集めて海水で洗って、濃い塩分を作る。
-日本では、中世で利用されていた方法である。


***入浜式塩田 [#v8142262]

-潮の干満差を利用して海水を塩田に引き入れる。
-揚浜式塩田と比べて効率的が10倍に上がった。
-毛細管現象で砂層の上部に海水が供給され、太陽熱と風により水分を蒸発させ、塩分が付着した砂を集めて海水で洗って、濃い塩水を作る。
-日本では、江戸時代から昭和30年代まで利用されていた方法である。


**流下式塩田 [#e645d469]

-ゆるやかに傾斜した粘土地盤の上に海水を流し、竹の小枝などを組み合わせた枝条架【しじょうか】という装置にかけることにより、太陽熱と風の力を利用して濃い塩水を作る。
-入浜式塩田よりも効率よく濃い塩水を作ることができる。
-日本では、昭和27年から昭和46年まで利用されていた方法である。

**天日塩田【てんぴえんでん】 [#ze8c9348]

-雨の余り降らない乾燥した海岸地方では、太陽の熱や風の力など、天然のエネルギーだけで海水を蒸発させて、塩を採ることができる。
-塩田に色がついているのは、そこに住む無数の[[プランクトン]]や[[藻類]]のためである。


**イオン交換膜製塩法 [#pde62b2b]

-日本で発明された方法。
-イオン交換膜と電気の力で、海水から濃い塩水を作る。
-日本では、昭和47年から利用されていた方法である。


**溶解再製法 [#d7e79006]

-海外から輸入した天日塩を、水に溶かして土砂などを取り除いて、製塩する方法。


**塩の池 [#c2aa0fdc]

-ニジェール共和国の砂漠にあるビルマ村では、ニジェール川流域の農村から運ばれてくる穀物などと交換する。
-この地方は大昔海であったが、地殻変動で陸になり、そのとき海水も一緒に閉じ込められてしまった。そして、その海水が蒸発した後に、塩分をたくさん含んだ土地ができた。
--穴を掘って水を注ぐだけで濃い塩水ができる。これを''塩の池''という。
--塩水が赤いのは土に含まれている鉄分も一緒に溶けるからである。
--水の色は水分が蒸発するにつれて薄くなる。これは底の塩の結晶が見えてくるからである。
--約3ヵ月すると池の水はほとんど蒸発して、底の方に塩の結晶が溜まる。
---つまり、塩の池は揚げ浜塩田で使っている窯や、天日塩田の蒸発地の役目をしている。
--池から採れる塩はいったん集めて乾かし、再び水で湿らせ、型に詰めて塩の塊にする。

**塩の川 [#gca8a00a]

-アフリカのオクシデンタル砂丘には塩の川がある。
--大昔海だったところが盛り上がってできた塩分を含んだ土地である。
--地中の塩分は、地下水に溶かされて川に流れ込み、やがて砂漠の乾燥した気候により、結晶になって川底に堆積したのである。

**塩の湖 [#ia20e27a]

-南アメリカのボリビアにあるウニエ塩湖【えんこ】。
--この地方一帯は大昔海だったところが、地殻変動で盛り上がってできた塩分をたくさん含んだ土地である。その後、氷河期が訪れた。その後、今から約2万年前に地球は再び暖かくなって、氷河が溶け始めた。雪解け水は地中の塩分を溶かしながら流れ、麓には大きな湖ができた。
---ところが、この地方は周りを高い山脈に囲まれているので、ほとんど雨が降らない、とても乾燥した気候である。
---またこの湖には流れ込む川はあっても、流れ出す川がない。そのため、塩分を溶かしこんだ水が絶えず補われる一方、水分がどんどん蒸発していった。
---その結果、湖の塩分は年月が経つにつれて、次第に濃くなっていった。そして、現在では湖の底に塩の結晶が哀惜するまでになった。
--ウニエ塩湖の面積は四国の半分もある。



*海水を煮詰めたときに結晶が出てくる順番 [#rdf63d71]

 100mlの海水を直接煮詰めた場合、以下の順番で結晶が出てくる。

|1|[[酸化鉄]]|0.00012g|
|2|[[炭酸カルシウム]]|0.01143g|
|3|[[硫酸カルシウム]]|0.13196g|
|4|[[塩化ナトリウム]]|2.58120g|
|5|[[硫酸マグネシウム]]|0.20826g|
|6|[[塩化マグネシウム]]|0.34462g|
|7|[[塩化カリウム]]|0.07121g|
|8|[[臭化ナトリウム]]|0.01028g|

-にがりの成分である塩化マグネシウムは結晶になりにくい性質があり、水分を最後まで蒸発してしまうと、高温のために酸化マグネシウムとなり、煮詰めた容器の底にこびりついてしまう。そのため塩もセメント状になってしまう。
-硫酸マグネシウムが結晶になる前に煮詰めるのを止める。すると、この時点で塩化ナトリウムの85%が結晶化している。そこで、残った水分を脱水によって取り除けば、塩化ナトリウム(と酸化鉄・炭酸カルシウム・硫酸カルシウム)結晶が残る。


*塩と味覚 [#q017d86b]

 人間の舌には味蕾【みらい】という部分があり、この部分では甘味・酸味・苦味・辛味・塩見を感じることができる。


*塩の応用 [#x67b40bc]

-タンパク質の溶解
--魚肉のタンパク質を水に溶けやすくさせて、粘り気や弾力を持たせることができる。
---ソーセージやかまぼこなどがそうである。
-発酵作用
--潮によって不要な雑菌の繁殖を防ぐことができる。つまり、繁殖を防ぎ、発酵に必要な微生物の繁殖を調整する。
---醤油、チーズ、味噌
-紫外線分光器
--純粋で透明な塩の結晶は、紫外線をほとんど吸収せずに通す。
-塩のプリズム
--製作が難しく、保存に手間がかかるので、現在はほとんど使われていない。
-グルテンの形成
--塩水を加えてこねることで、小麦に含まれるタンパク質が絡み合い、粘り気のあるグルテンができる。
-脱水作用・防腐作用
--塩漬けにすることで、水分が吸い出され、雑菌の繁殖が抑えられて腐りにくくなる。
--漬け物、塩辛
--皮を塩漬けにすることで腐敗を防げる。また、なめし剤の調整にも使われる。
---皮製品
-調味料
--食卓塩
-医療用
--[[生理食塩水]]や[[リンゲル液]]などの医薬品原料として使われる。
-塩析作用
--原料の液体に混ぜると、溶解度が低下して、[[石鹸]]の成分が分けられ、不純物を分離することができる。
-生体維持
--[[牛]]などの餌に混ぜたり、自由に舐められるように塩を固めて使われる。
-イオン交換樹脂の再生
--硬水を軟水化するイオン交換樹脂を再生するために使われる。
-ソード工業用
-ソーダ工業用
--苛性ソーダ
---紙やレーヨンの原料であるパルプを作るために、木材と溶かすときに塩が使われる。
---アルミホイルの素を作るために、原料のボーキサイトを溶かすときに塩が使われる。
--[[塩素]]
---塩素を[[次亜塩素酸]]にして、水道の消毒などに使われる。
---[[石油]]からできる[[エチレン]]と塩素で[[塩化ビニル]]が作られる。
--ソーダ灰
---[[ケイ砂]]や[[石灰石]]と一緒に塩を熱することで、ガラス製品を作れる。
---高温で鉄にガラスを焼き付けるホーロー製品作りに使われる。


*塩と人体 [#ye5aa184]

-食べ物を消化する消化液は塩から作られる。
--塩化物イオンは胃酸の主成分となり、消化を助けたりばい菌を殺す。
--ナトリウムイオンは[[小腸]]で栄養素の吸収を助ける。
-[[細胞]]を保つ。
--塩は細胞外液の中に含まれていて、細胞が縮みすぎたり、ふくらみすぎないように調整する役割を持つ。
-神経細胞での電気信号の伝達ではナトリウムイオンが働いている。


*一日に採る塩の量 [#a439bc2a]

|ヒト|10g|
|[[鶏]]|0.8〜1g|
|[[カバ]]|500g|
|[[牛]]|80g|
|[[馬]]|30〜40g|
|[[山羊]]|20g|


*塩と調理 [#t15800f5]

**酵素の抑制作用 [#q0132c3d]

 リンゴ・桃・レンコン・ジャガイモ・ゴボウなどは酸化しやすいポリフェノール系物質が含まれているので、空気に触れると褐色に変色しやすい。塩はこの酸化を抑える働きがあり、0.3〜0.6%の塩を加えると変色を抑えることができる。

**浸透圧による脱水作用 [#nf9f1956]

 [[トマト]]や[[キュウリ]]をパンに挟むとき、あらかじめ塩を振って脱水させておく。そのためには野菜に塩を振って15〜20分放置しておくと、水分が外に出る。

**味の抑制効果 [#u9e2516b]

 酸味と塩味が出会うと、塩味は酸味を弱める働きが生まれる。寿司ご飯に少量の塩を加えるのはそのためである。

**味の対比効果 [#i3062798]

 甘味と塩味が出会うと、甘味を強める働きが生まれる。スイカに少量の塩をかけると、スイカの甘味が強められるのはそのためである。

**クロロフィルの退色効果 [#d162c47f]

 青菜を炒めるときに、熱した油に塩をひとつまみ入れてから炒めると、色鮮やかに仕上がる。これは[[ナトリウム]]が組織内に浸透し、[[クロロフィル]]が安定するからである。

**茶渋落とし [#ba86bba0]

 塩を少量振りかけてこすると、湯のみ茶碗についた茶渋を落とすことができる。これは[[陶磁器]]や[[ガラス]]よりも塩の粒の方が軟らかいという性質を利用している。塩の[[モース硬度]]は2〜2.5である。つまり、[[石膏]]と[[方解石]]の中間の強さである。

*お梶【かじ】の塩の逸話 [#ha7c9f9c]

-家康が伏見屋敷の縁側に座り、本田正信、平岩親吉、大久保忠常らの近臣【きんしん】に焚き火をさせて雑談をしていた。話題が尽きた頃、ふと家康が「世の中で一番うまいものはなんだろう」と言い、一同はこれはと思う食い物を挙げてみよといった。皆様々なことを言った。その場にお梶もいて、家康の背後に座ってなにやらさかしらげに微笑していた。家康は「笑うているところをみると、なんぞ仔細【しさい】があるか、言うてみやれ」とお梶にいった。お梶は「塩だと存じまする」といった。世の中で塩ほどうまいものはないというのである。塩がなければ肉や魚、野菜も味がととのわない。吸い物もただの湯と同じになる。
「逆に世の中で一番まずいものはなにか」と問い重ねるとお梶はすかさず「塩でございます」といった。どのような食べ物でも塩を入れすぎるとからくて食えないから。


*参考文献 [#h8a8e2fb]

-『塩のミニ知識』
-『人間の知恵24 塩のはなし』
-『福島県謎解き散歩』
-『学研まんがでよくわかるシリーズ16 塩のひみつ』
-『徳川将軍家 十五代のカルテ』
-『科学のアルバム 塩 海からきた宝石』