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*目次 [#a470e342]

#contents


*天体望遠鏡 [#j2f62c31]

 天体望遠鏡は遠くの暗い天体を、明るく、大きく、詳しく見るための道具である。

**天体望遠鏡の能力 [#e41f2087]

***倍率 [#g31ca252]

 天体望遠鏡の倍率は、対物レンズや主鏡の焦点距離と、使うアイピースの焦点距離によって計算できる。

(倍率)=(対物レンズの焦点距離)÷(アイピースの焦点距離)

 反射望遠鏡の場合は、対物レンズの焦点距離を反射鏡の焦点距離に置き換えて、同じ式で計算できる。

(倍率)=(反射鏡の焦点距離)÷(アイピースの焦点距離)

例:対物レンズの焦点距離が1,000mm、アイピースの焦点距離が12.5mmを使ったときの倍率は、次のように計算できる。

(倍率)~
=1,000 [mm]/12.5 [mm]~
=80 [倍]

 よって同じ望遠鏡を使っても、違う焦点距離のアイピースと交換すれば倍率を変えることができる。焦点距離の短いアイピースを使えば高倍率が得られ、焦点距離の長いアイピースを使えば低倍率が得られるわけである。


***視界 [#i2e3beeb]

 天体望遠鏡を夜空に向けて覗いたとき、アイピースの中に一度に見える天球上の範囲を''実視界(実視野)''という。これに対して、望遠鏡の視野の中に丸く見えるような視野の広さを''見かけ視界(見かけ視野)''という。これらの視界の大きさは、それを見込む角度で表す。

 実視界と見かけ視界の間には、密接な関係がある。天体望遠鏡の倍率をm、実視界の大きさを2θ、見かけ視界の大きさを2θ'とする。このとき次のような関係式を満たす。

&mimetex("\tan \theta = \frac{\tan \theta '}{m}");

 見かけ視界の大きさはアイピースごとに決まっている。カタログや取説に必ず書いてある。


***分解能 [#a8443b1a]

 倍率をどんどん高くしても、細かく分解して見えるのには限度がある。この分解できる限界の能力を''分解能''という。分解能はその望遠鏡の口径によって自然と決まる。なるべく詳しく天体を観察したいなら、口径の大きい望遠鏡をら選ぶべきである。

(分解能)=116 ['']/口径 [mm]

 望遠鏡の倍率を高めていくと、やがて分解能の限界に達する。このときの倍率を''有効最高倍率''と呼ぶ。分解能が口径によって決まるから、有効最高倍率も口径によって決まることになる。

(有効最高倍率)=60/{(分解能) ['']×視力}

 例えば有効最高倍率で月面を観察すると、その望遠鏡で見えるはずのクレーターはすべて見える。これ以上倍率を上げても(このような倍率を''過剰倍率''という)、さらに細かいクレーターは見えない。ただ大きく見えるだけで視野は暗くなってしまう。

 ただ過剰倍率が無意味とはいえない。[[火星]]や[[木星]]のような明るい天体は、過剰倍率ぎみで観察したほうが視野が暗くなってまぶしさが減り、表面の模様などが見やすくなることもあるからである。

***集光力 [#pda97b0b]

 肉眼で夜空の星を見るとき、星の光は瞳孔を通過して網膜に達する。光の入口となる人間の眼の瞳孔の大きさは、一番開いたときで直径が7mm程度である。天体望遠鏡を使って星を見るときは望遠鏡の口径いっぱいに入ってくる恒星の光を集めて網膜まで到達させるので、肉眼よりも暗い星が見える。このように肉眼の何倍の光を集められるかという能力を、''集光力''という。つまりどのくらいくらい星が見えるのかということを表す値である。

 光を集める能力は対物レンズや主鏡の面積に比例するから、次のように計算される。ただし瞳孔の直径は7mmとしている。

(集光力)=(口径)SUP{2};÷7SUP{2};

 この式を使うときは口径の単位はmmで表す。集光力は倍率に依存しないことがわかる。

例1:口径100mmの望遠鏡の集光力は次のように計算される。

(集光力)~
=100SUP{2};÷7SUP{2};~
≒204

 つまり肉眼で見たときの約204倍の明るさで見えるということである。

例2:口径70mmの望遠鏡なら、100倍の明るさに見えるということになる。恒星の等級は光の量が100倍違うときに5等級の差になるように定められているから、集光力100倍の口径70mmの天体望遠鏡を使って6等星を観察すると、肉眼で見る1等星と同じように明るく見えることになる。

 望遠鏡を通して通して見える一番暗い星を、その望遠鏡の''極限等級(限界等級)''と呼ぶ。

 集光力が適用できるのは、ターゲットとなる天体が点である恒星に限る。星雲のような拡がった天体の明るさには適用できない。


***アイポイント [#o97a2352]

 星雲などから出た光も、やはり対物レンズで集められて眼の瞳孔を通り、網膜に達する。このとき望遠鏡から出てきたすべての光は、アイピースのすぐ後ろの決まった円の中を通過してから眼に届くようになっている。この円を''アイポイント(射出ひとみ)''と呼ぶ。射出ひとみの直径は''ひとみ径''という。瞳孔がひとみ径よりも大きく開いていれば、望遠鏡を出た光はすべて眼に届くことになる。逆に瞳孔よりもひとみ径が大きいと、望遠鏡で集めた光の一部が無駄になる。

 ひとみ径は、次の式で計算される。

(ひとみ径)=(口径)÷(倍率)

 ひとみ径を2乗した値は''光明度(明るさ)''と呼ばれ、望遠鏡や双眼鏡の視野の明るさを表すのに用いられる。


*鏡筒 [#n870307f]

 望遠鏡の能力は口径で決まる。少ない予算でなるべく口径の大きい望遠鏡が欲しくなるだろいう。そういう観点で鏡筒を選ぶと、反射望遠鏡かシュミットカセグレンに落ち着くだろう。同口径で比べると屈折望遠鏡は高価だからである。

 しかし口径の大きさだけを優先するのはまだ早い。他の要素もかかわってくるので、各鏡筒の特徴を次に示す。

-屈折望遠鏡
--保守・手入れが簡単。
--ED、フローライトと名の付く高級対物レンズ付きは高価。
--眼視観察、写真撮影(F8より明るいと好都合)ともに好適。
-ニュートン式反射望遠鏡
--屈折に比べて大口径が安価。
--保守・手入れが難しい。
--眼視、写真撮影ともに適している。
-シュミットカセグレン望遠鏡
--大口径でも非常に安価。
--コンパクト。
--手入れが少し難しい。
--暗いF数なので星雲・星団の撮影には長時間露出が必要。



*アイピース [#p039c317]

 天体望遠鏡は鏡筒だけでは天体を見ることはできず、''アイピース(接眼鏡)''が必要である。アイピースはフィルムケースほどの大きさである。小さなレンズが吸うまい組み合わさって、金属製の円筒の中に入っている。

 アイピースには型式名と焦点距離(○○mmという長さ)が書かれている。焦点距離は各型式ごとに、色々取り揃えられている。この焦点距離は天体望遠鏡の倍率に大きく係わる。

**アイピースの分類 [#u74fbb62]

***レンズの構成の違いによる分類 [#a37ff388]

-ケルナー(K)
--安価でよく使われる。
-アッベ式オルソスピック(Or)
--覗きやすく、高倍率に適している。
-エルエフ(Er)
--視界が広く見える。
-プレスル式オルソスピック(OrまたはPL)
--アッベ式と同じく、像がゆがみにくい。

***直径の違いによる分類 [#gb08e565]

 アイピースの望遠鏡に差し込む部分(この部分を''スリーブ''という)の直径は規格で決まっているから、どこのメーカーの製品でも使うことができる。全部の規格のアイピースをそのまま取り付けられる天体望遠鏡はない。そこでオプションで販売されているアダプタを使う。

-24.5mmサイズ
--直径24.5mmのアイピース。
--国産の焦点距離が25mm以下の大部分のアイピースがこのサイズである。
-アメリカンサイズ
--スリーブの直径が31.75mm(5/4インチ)のアイピース。
--アメリカ製の大部分のアイピースがこの規格でできている。国産品のものも一部このサイズがある。
-2インチサイズ
--スリーブ径が2インチ(50.8mm)もある。
--大きさは一眼レフの交換レンズほどある。
-36mmネジこみ式
--焦点距離の長いアイピースによく見られるか型式。
--差し込み式ではなく、望遠鏡にねじ込んで取り付ける。
-インチ42山ネジこみ式
--このタイプは少ないので、あまり見かけない。
--差し込み式ではなく、望遠鏡にねじ込んで取り付ける。


*架台 [#tc6b6ab3]

 架台は鏡筒がブレないようにしっかりと支えて、目的の天体に向けたり、キャッチした天体を視野から逃さないように追いかけたり、その位置を測ったりすることにある。天体を追いかける必要があるのは、天体が日周運動によって動いていくからである。この追いかけることを''追尾(トラッキング)''と呼ぶ。

**架台の分類 [#hae80f77]

-経緯儀式架台
--初心者向け。
--鏡台を上下方向・水平方向に自由に動かせる。
-赤道儀式架台
--仕組みはちょっと複雑だが、使い方さえ理解できれば難しくもない。
--天体を楽に追尾できるので快適に観測できる。
--極軸に電動モーターがあれば、モータードライブ自動追尾してくれるので、手放しでも天体はいつでも視界の中でピッタリ静止して見える。
--多目的使用なら、こちらを選ぶべき。


*参考文献 [#b30f8323]

-『新版 天体望遠鏡ガイドブック』