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  • ピタゴラス数 へ行く。

*目次 [#x1def58f]

#contents

*ピタゴラス数 [#b09b0a05]

#divid(s,thorem)
[定義]ピタゴラス数~
[[直角三角形]]の辺の長さになるような自然数の組は[[ピタゴラス数]]と呼ぶ。
#divid(e,thorem)

#divid(s,thorem)
[定義](x,y,z)の3つの数が素であるとき、(x,y,z)は原始的という。
#divid(e,thorem)

#divid(s,thorem)
[定義]具体的な数値が与えられて、それが原始的であるとき、その組を原始ピタゴラス数と呼ぶ。
#divid(e,thorem)

*ピタゴラス数の一般組 [#e44c1048]

**[[ピタゴラス]]によるピタゴラス数 [#od37d622]

 プロクロスによれば、ピタゴラスは次のピタゴラス数を得たという。

#divid(s,thorem)
[定理]ピタゴラスによるピタゴラス数~
n:奇数とする。このとき、ピタゴラス数は次の形になる。~
&mimetex("(n, \frac{n^2 - 1}{2}, \frac{n^2 + 1}{2})");
#divid(e,thorem)

#divid(s,notice)
[例]

-n=3のとき、(3,4,5)
-n=5のとき、(5,12,13)
-n=7のとき、(7,24,25)
-n=9のとき、(9,40,41)

◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講]ピタゴラスの結果では、次が成り立つ。

&mimetex("\frac{n^2+1}{2} - \frac{n^2-1}{2} = 1");

ただし、nは奇数である。

例えば、次の関係が成り立つ。

-n=3のとき、(3,4,5)
--5-4=1
-n=5のとき、(5,12,13)
--13-12=1
-n=7のとき、(7,24,25)
--25-24=1
-n=9のとき、(9,40,41)
--41-40=1

この性質により、ピタゴラスによる解は決まる。即ち、方程式xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2};を満たす自然数の解(x,y,z)で、z-y=1となるものを求めるには、次を解けばよい。

xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2};~
xSUP{2};+ySUP{2};=(y+1)SUP{2}; (∵z-y=1より、z=y+1)~
xSUP{2};+ySUP{2};=ySUP{2};+2y+1~
xSUP{2};=2y+1~

よって、xは奇数である(∵偶数の2乗は偶数、奇数の2乗は奇数だから)。

nは奇数なので、x=nとおける。

すると、&mimetex("y=\frac{n^2 -1}{2},z=\frac{n^2+1}{2}");を得る。 ◇
#divid(e,notice)


**プラトンによるピタゴラス数 [#b1b4e24c]

 後に[[プラトン]]は偶数2mから出発して、次のピタゴラス数を得た。

#divid(s,thorem)
[定理]プラトンによるピタゴラス数~
m:整数とする。このとき、ピタゴラス数は次の形になる。~
&mimetex("(2m, m^2 - 1, m^2 + 1)");
#divid(e,thorem)

#divid(s,notice)
[例]

-m=2のとき、(4,3,5)
-m=3のとき、(6,8,10)
-m=4のとき、(8,15,17)
-m=5のとき、(10,24,26)

◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講]プラトンによるピタゴラス数で本質的に新しい組は、mが偶数の場合だけである。

例えば、m=3のときのピタゴラス数(6,8,10)は、(3,4,5)を2倍したものである。 ◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講]プラトンの結果では、次が成り立つ。

&mimetex("(m^2+1)-(m^2-1)=2");

ただし、mは偶数である。

例えば、次の関係が成り立つ。

-m=2のとき、(4,3,5)
--5-3=2
-m=3のとき、(6,8,10)
--10-8=2
-m=4のとき、(8,15,17)
--17-15=2
-m=5のとき、(10,24,26)
--26-24=2

この性質により、プラトンによる解は決まる。即ち、方程式xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2};を満たす自然数の解(x,y,z)で、z-y=2となるものを求めるには、次を解けばよい。

xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2};~
xSUP{2};+ySUP{2};=(y+2)SUP{2}; (∵z-y=2より、z=y+2)~
xSUP{2};+ySUP{2};=ySUP{2};+4ySUP{2};+4~
xSUP{2};=4ySUP{2};+4~
xSUP{2};=4(ySUP{2};+1)

よって、xは偶数である(∵偶数の2乗は偶数、奇数の2乗は奇数だから)。

mは偶数なので、x=2mとおける。

すると、&mimetex("y=m^2-1,z=m^2+1");を得る。 ◇
#divid(e,notice)

**『原論』によるピタゴラス数 [#ge3249cc]

 ユークリッドの『原論』の第2巻の命題5は、次のようなものである。

#divid(s,thorem)
[定理]線分AB上に中心Cと、もう一点Dをとる。ADとBDを辺とする長方形と、CDを一辺とする正方形の面積を合わせると、ACを一辺とする正方形の面積に等しい。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/genron_2-5.png)
#img(,clear)

AD=a,BD=bとおけば、次の関係を意味する。

&mimetex("ab+ (\frac{a-b}{2})^2 = (\frac{a+b}{2})^2"); ←(*)
#divid(e,thorem)

#divid(s,notice)
[補講]『原論』ではこのような代数的な結果も幾何の定理として述べられ、幾何学的証明が与えられている。これがギリシャ数学の特徴の1つである。 ◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講](*)において、nを奇数の自然数とし、a=nSUP{2};,b=1とすると、次のようになる。

&mimetex("n^2 + (\frac{n^2-1}{2})^2 = (\frac{n^2+1}{2})^2");

よって、ピタゴラスの結果を得る。 ◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講](*)において、mを偶数の自然数とし、a=2mSUP{2};,b=2とすると、次のようになる。

&mimetex("(2m)^2 + (m^2 - 1)^2 = (m^2 + 1)^2");

よって、プラトンの結果を得る。 ◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講]自然数k,p,qをとり、(*)で&mimetex("a=kp^2,b=kq^2");とすれば、次のようになる。

&mimetex("(kpq)^2 + (\frac{kp^2 - kq^2}{2})^2 = (\frac{kp^2 + kq^2}{2})^2");

kpSUP{2};とkqSUP{2};が共に奇数か、共に偶数ならば、&mimetex("(kpq, \frac{kp^2 - kq^2}{2}, \frac{kp^2 + kq^2}{2})")はピタゴラス数である。 ◇
#divid(e,notice)

*ピタゴラス数に関連する定理 [#p70e6ea4]

#divid(s,thorem)
[定理]m,n,kを整数とする。~
[1]&mimetex("a=k(m^2 n^2), b=2kmn, c= k(m^2+n^2)");とおくと、&mimetex("a^2+b^2=c^2");である。~
[2]&mimetex("a^2+b^2=c^2");を満たす整数の組(a,b,c)が与えられたとき、その最大公約数をkとすると、&mimetex("a=k(m^2 n^2), b=2kmn, c= k(m^2+n^2)");のように書け、その際mとnは互いに素で、一方は偶数、他方は奇数である。
#divid(e,thorem)

#divid(s,proof)
[証明](a,b,c)を

xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2}; ←(*)

の整数解、kを整数とすると(ka,kb,kc)も(*)の解である。

もし、(ka,kb,kc)が解なら、(a,b,c)も解である。

したがって、最大公約数が1であるような整数解を決定すればよい。

以後は、(a,b,c)は(*)の整数解で、最大公約数が1と仮定する。

[A][1]を示す。

(i)a,bが共に偶数はありえないことを示す。

a,bが共に偶数と仮定すると、(*)より、cも偶数になり、最大公約数が1という仮定に反する。

(ii)a,bが共に奇数はあり得ないことを示す。

a,bが共に奇数と仮定すると、(*)より、cは偶数である(∵(*)より)。~
そこで、cは2cSUB{1};と書ける。~
よって、(右辺)=(cSUP{2};=4cSUP{1};SUP{2};は4で割り切れる。

一方、a=2aSUB{1};+1,b=2bSUB{1};+1と書ける。~
よって、(左辺)=aSUP{2};+bSUP{2};=4(aSUB{1};SUP{2};+aSUB{1};+bSUB{1};SUP{2};+bSUB{1};)+2~

左辺は4で割り切れないので、矛盾が生じた。

(i)(ii)より、以後はaを奇数、bを偶数であるとする。~
また、(*)より、cは奇数になる。

&mimetex("a^2 + b^2 = c^2");~
&mimetex("b^2 = c^2 - a^2");~
&mimetex("b^2 = (c+a)(c-a)"); ←(**)

a,cが共に奇数なので、b,c+a,c-aはすべて偶数である。~
そこで、次のように書き直せる。

&mimetex("(\frac{b}{2})^2 = \frac{c+a}{2} \cdot \frac{c-a}{2}"); ←(***)

ここで、&mimetex("\frac{c+a}{2} , \frac{c-a}{2}");は互いに素である。~
なぜならば、両方が素数pで割れると、その和c、差aもpで割れ、(**)によりbもpで割れることになり矛盾するからである。

(***)の左辺は平方数であるから、右辺も平方数である。~
そのとき、&mimetex("\frac{c+a}{2} , \frac{c-a}{2}");はそれぞれ平方数になる。~
なぜならば、素因数分解の一意性により、b/2を割る素数で、&mimetex("\frac{c+a}{2} , \frac{c-a}{2}");を割るものが存在することになり矛盾が生じるからである。~
よって、&mimetex("\frac{c+a}{2}=m^2, \frac{c-a}{2}=n^2");と書ける。

そうすると、&mimetex("c=m^2+n^2,a=m^2-n^2,b=2mn");となる。~
よって、&mimetex("\frac{c+a}{2} , \frac{c-a}{2}");は互いに素なので、m,nも互いに素である。

[B][2]を示す。

b=2mnは偶数なので、aは奇数でなければならない。~
なぜならば、aが偶数だと、cも偶数になり、2がa,b,cの公約数になるからである。

a=mSUP{2};-nSUP{2};だから、aが奇数なら、mとnの一方が偶数、他方が奇数である。 □
#divid(e,proof)

#divid(s,thorem)
[定理]ピタゴラスの方程式xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2};の解において、x,y,zの少なくとも1つは3の倍数であり、少なくとも1つは4の倍数であり、少なくとも1つは5の倍数である。~
特に、x,yの一方は偶数である。
#divid(e,thorem)

#divid(s,proof)
[証明][1]x,y,zの少なくとも1つは3の倍数であることを示す。

x,y,zのいずれも3の倍数でないと仮定する。

それらはそれぞれ3k±1の形であり、その平方は次のように計算できる。

(3k±1)SUP{2};=9kSUP{2};±6k+1≡1 (mod 3)

そのため、合同式xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2}; (mod 3)において、左辺は2、右辺は1となり、矛盾する。

よって、x,y,zの少なくとも1つは3の倍数である。

[2]x,y,zの少なくとも1つは4の倍数であることを示す。

x,y,zのいずれも4の倍数でないと仮定する。

それらはそれぞれ4k±1 or 4k+2の形をしている。

このとき、xまたはyの少なくとも一方は偶数である。~
なぜならば、共に奇数ならば、合同式xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2}; (mod 4)において、左辺は2となり、これはzを偶数としても奇数としても成立しないからである。~
よって、yは4k+2の形をしていると仮定してよい。

このとき、次の計算結果を組み合わせる。

-(4k±1)SUP{2};=16kSUP{2};±8k+1≡1 (mod 8)
-(4k+2)SUP{2};=16kSUP{2};+16k+4≡4 (mod 8)

すると、xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2}; (mod 8)の左辺は5または0、右辺は1または4となり、矛盾する。

よって、x,y,zの少なくとも1つは4の倍数である。

[3]x,y,zの少なくとも1つは5の倍数であることを示す。

x,y,zのいずれも5の倍数でないと仮定する。

それらはそれぞれ5k±1 or 5k±2の形である。

これらの平方は次のように計算できる。

-(5k±1)SUP{2};=25kSUP{2};±10k+1≡1 (mod 5)
-(5k±2)SUP{2};=25kSUP{2};±20k+4≡4 (mod 5)

すると、xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2}; (mod 5)において、左辺の可能性として2,0,3があり、右辺の可能性として1,4となる。これは矛盾である。

よって、x,y,zの少なくとも1つは5の倍数である。 四角
#divid(e,proof)

#divid(s,thorem)
[系]ピタゴラスの3角形において、次が成り立つ。~
(1)xyは偶数である。~
よって、3角形の面積は整数である。~
(2)xyzは60の倍数である。
#divid(e,thorem)

 ピタゴラスの方程式において、xとyの最大公約数がgならば、あらかじめ方程式の両辺をgSUP{2};で割っておくことができる。そのため、最初からxとyは互いに素であると仮定しても一般性を失われない。~
 この条件を付けた場合のピタゴラスの3角形を次のように定義する。

#divid(s,thorem)
[定義](x,y)=1の場合のピタゴラスの3角形を''原始的''であるという。
#divid(e,thorem)

 原始的なピタゴラスの3角形を考えることで、相似拡大を除外することができる。

#divid(s,thorem)
[定理]ブラーマグプタの公式~
ピタゴラスの方程式xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2};,(x,y)=1の解は、任意の2つの正整数m,n(ただし、m>nかつ互いに素とする)で、一方が偶数、他方が奇数であるものに対して、次のようにおけば、無数に作ることができる。

-x=mSUP{2};-nSUP{2};
-y=2mn
-z=mSUP{2};+nSUP{2};
#divid(e,thorem)

#divid(s,proof)
[証明]

[1]⇒を示す。

xとyの一方は偶数、他方は奇数であるから、一般性を失うことなく、xは奇数、yは偶数と仮定してよい。~
このとき、zは奇数である。

このとき、以下の式において、右辺の2つの因数は互いに素である。

&mimetex("x^2 = z^2 - y^2 = (z+y)(z-y)");

なぜならば、もしz+yとz-yの最大公約数をgとすれば、gは奇数である。しかも、z+yとz-yの和2zと差2yの公約数になる。すると、gはz,y,zの公約数になる。これは原始的という仮定に反するため、z+yとz-yは互いに素である。

よって、&mimetex("z^2 - y^2 = (z+y)(z-y)");において、左辺は完全平方数であるから、右辺の因数z+yとz-yのそれぞれが完全平方数でなければならない。

そこで、&mimetex("z+y=u^2, z-y=v^2 \, (u>v)");とおくことができる。

u,vは奇数なので、整数m,n(m>n)で次のように書ける。

&mimetex("m=\frac{u+v}{2}, n=\frac{u-v}{2}");

これをu,vについて解くと次のようになる。

&mimetex("u=m+n, v=m-n");

このとき、x,y,zは次のように計算できる。

-&mimetex("x=uv=(m+n)(m-n)=m^2 - n^2");
-&mimetex("y=\frac{u^2 - v^2}{2} = 2mn");
-&mimetex("z=\frac{u^2 + v^2}{2} = m^2 + n^2");

ここで、u,vは共に奇数なので、mとnの一方は偶数、他方は奇数である。

また、(u,v)=1より、(m,n)=1となる。

[2]←を示す。

&mimetex("x=m^2-n^2,y=2mn,z=m^2+n^2");がピタゴラスの方程式を満たすことは明らかである。 □
#divid(e,proof)

#divid(s,proof)
[別証]

[1]⇒を示す。

ピタゴラスの方程式xSUP{2};+ySUP{2};=1,(x,y)=1において、xを奇数、yを偶数とする。

底辺xに対して、斜辺zのなす角をθ(ラジアン)とし、&mimetex("\tan \frac{\theta}{2} = t");とおく。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/xyz.png)
#img(,clear)

すると、conθ、sinθは次のようにtで媒介変数で表示できる。

&mimetex("\cos \theta");~
&mimetex("=2 \cos^2 \frac{\theta}{2} -1"); (∵2倍角の公式)~
&mimetex("=\frac{2}{1+t^2} -1"); (∵&mimetex("\tan \frac{\theta}{2} = t");)~
&mimetex("=\frac{1-t^2}{1+t^2}");

&mimetex("\sin \theta");~
&mimetex("=2\sin \frac{\theta}{2} \cos \frac{\theta}{2}");~
&mimetex("=\frac{2t}{1+t^2}"); (∵&mimetex("\tan \frac{\theta}{2} = t");)

また、conθ、sinθの定義より、次が成り立つ。

&mimetex("\cos \theta = \frac{x}{z}");

&mimetex("\sin \theta = \frac{y}{z}");

よって、連比&mimetex("x:y:z");を考えると、次のように計算できる。

&mimetex("x:y:z");~
&mimetex("=\frac{x}{z} : \frac{y}{z} : 1"); (∵1/zをかける)~
&mimetex("=1-t^2 : 2t : 1+t^2");~
&mimetex("=1-\frac{n^2}{m^2} : \frac{2n}{m} : 1 + \frac{n^2}{m^2}"); (∵x,y,zは互いに素な整数なので、&mimetex("t=\frac{n}{m}");(既約分数、m>n)とおくこと)~
&mimetex("= \frac{m^2-n^2}{m^2} : \frac{2n}{m} : \frac{m^2 + n^2}{m^2}");~
&mimetex("= m^2-n^2: 2nm : m^2 + n^2"); (∵mSUP{2};をかけて、分母を払う)

ゆえに、次が成り立つ。

-x=mSUP{2};-nSUP{2};
-y=2mn
-z=mSUP{2};+nSUP{2};
-m>n
-(m,n)=1
-&mimetex("m \not{\equiv} n \, \pmod{2}");

[2]←を示す。

明らかに成り立つ。 □
#divid(e,proof)

#divid(s,notice)
[補講]ブラーマグプタの公式のおいて、(x,y)=1という条件がない場合の一般解は、gを任意の正整数として、次のようにすればよい。

-x=g(mSUP{2};-nSUP{2};)
-y=2gmn
-z=g(mSUP{2};+nSUP{2};)

◇
#divid(e,notice)

#divid(s,thorem)
[定理]ブラーマグプタ~
原始的なピタゴラスの3角形は無数に存在する。
#divid(e,thorem)

*ピタゴラスの3角形の内接円 [#g8651656]

 3辺が3,4,5の直角三角形には半径1の円が内接する。また、3辺が5,12,13の直角三角形には半径2の円が内接する。~
 このように、一般にピタゴラスの3角形に内接する円の半径は整数である。

#divid(s,thorem)
[定理]直角3角形に内接する円の半径は、次の式で得られる(ただし、xSUP{2};+ySUP{2};=zSUP{2};)。~
&mimetex("r = \frac{xy}{x+y+z}");~
とくに、ピタゴラスの3角形においては、内接円の半径rは整数になる。
即ち、x+y+zはxyの約数になる。
#divid(e,thorem)

#divid(s,proof)
[証明]

[1]前半を示す。

直角三角形ABCの内接円の中心をOとすれば、次が成り立つ。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/xyz2.png)
#img(,clear)

&mimetex("\bigtriangleup ABC = \bigtriangleup OBC + \bigtriangleup OCA + \bigtriangleup OAB");~
&mimetex("\frac{1}{2}xy = \frac{1}{2} r (x+y+z)");~
∴&mimetex("r=\frac{xy}{x+y+z}");

[2]後半を示す。

もし(x,y)=gのときは、rもg倍すればよいので、原始的なピタゴラスの三角形について証明すれば十分である。

原始的なピタゴラスの三角形なので、ブラーマグプタの公式のx,y,zを、上記式に代入すると、次のように計算できる。

&mimetex("r");~
&mimetex("=\frac{xy}{x+y+z}");~
&mimetex("=\frac{(m^2 - n^2) \cdot mn}{2m^2+2mn}"); (∵[[ブラーマグプタの公式]]より、x=mSUP{2};-nSUP{2};,y=2mn,z=mSUP{2};+nSUP{2};)~
&mimetex("=\frac{2mn(m+n)(m-n)}{2m(m+n)}");~
&mimetex("=n(m-n)");

よって、m,nは整数なので、rは整数である。 □
#divid(e,proof)

#divid(s,thorem)
[定理]直角三角形の面積をS、周をsとすれば、次が成り立つ。~
&mimetex("S=\frac{1}{2} rs");
#divid(e,thorem)

#divid(s,notice)
[補講]これらをm,nで表すと、次が成り立つ。

-S=mn(m+n)(m-n)
-r=n(m-n)
-s=2m(m+n)

ここで、Sの右辺の因数のうち、mまたはnのどちらかが偶数で、他の3つは奇数である。

これらの4つの因数は対ごとに互いに素になる。 ◇
#divid(e,notice)

*ピタゴラス数と[[合同式]] [#k8e10219]

#divid(s,thorem)
[定理]原始的なピタゴラス数においては、次が成り立つ。~
z≡1 (mod 4)
#divid(e,thorem)

#divid(s,proof)
[証明]z=mSUP{2};+nSUP{2};において、mとnは偶奇性が異なるから、m=2k,n=2k'+1(k,k'は整数)とおける。

&mimetex("z");~
&mimetex("=m^2 + n^2");~
&mimetex("=(2k)^2 + (2k'+1)^2");~
&mimetex("=4k^2 + 4k'^2 + 4k' + 1");~
&mimetex("\equiv 1 \, \pmod{4}"); □
#divid(e,proof)

#divid(s,notice)
[補講]この主張の逆は成り立たない。

例えば、9や21(4で割って1余る整数)を斜辺とするピタゴラスの3角形は存在しない。 ◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講]この定理において、原始的という条件は必須である。

そうでなければ、両辺がg倍されてしまうからである。 ◇
#divid(e,notice)

#divid(s,thorem)
[定理]zは1でない正の整数とする。~
このとき、zが原始的なピタゴラスの3角形の斜辺であるための必要十分条件は、zのすべての訴因数がp≡1 (mod 4)を満たすことである。
#divid(e,thorem)

#divid(s,proof)
[証明]

[1]⇒を示す。

まず、zが原始的なピタゴラスの3角形の斜辺であるとする。

zは奇数であるため、素因数pはすべて奇数である。

&mimetex("z \equiv 0 \, \pmod{p}"); (pはzの素因数であるから)~
&mimetex("m^2+n^2 \equiv 0 \, \pmod{p}"); (∵[[ブラーマグプタの公式]]より、z=mSUP{2};+nSUP{2};が成り立つから)~
&mimetex("(mn')^2 + 1 \equiv 0  \, \pmod{p}"); (∵mとnは互いに素であるから、mとnの一方はpの倍数ではなく、法pに関して[[正則]]である。そこで、例えば、nは法pに関する逆元n'を持つと仮定できる。)

この合同式に解があるためには、[[第1補充法則]]より、&mimetex("p \equiv 1 \, \pmod{4}");でなければならない。

[2]←を示す。

zの素因数pが&mimetex("p \equiv 1 \, \pmod{4}");を満たすならば、[[2平方和定理]]よりp=aSUP{2};+bSUP{2};と表される。

[[フィボナッチの等式]]より、この形の素因数の積は、z=mSUP{2};+nSUP{2};と表される。

素因数の取り方より、mとnの偶奇性の異なる互いに素な整数として、[[ブラーマグプタの公式]]を満たす。 □
#divid(e,proof)

#divid(s,thorem)
[定理]奇素数pに対して、次の3つの条件は同値である。~
(1)p=aSUP{2};+bSUP{2};と分解できる。~
(2)xSUP{2};+ySUP{2};=pSUP{2};,(x,y)=1が解を持つ。~
(3)p≡1 (mod 4)~
なお、(2)の解は(1)のa,bによって、x,yを次のようにすればよい。~
x=aSUP{2};-bSUP{2};,y=2ab (a>b>0)
#divid(e,thorem)


*参考文献 [#rb215111]

-『なっとくするオイラーとフェルマー』
-『ガウス 整数論への道』