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*目次 [#u972acc1]

#contents


*発振回路 [#a20f2b3d]

-増幅回路やゲート回路は必ず入力と出力がある。しかし、発信回路は入力がなくても、自分自身で出力を出しつづける。''発振回路''とは、入力に何も信号を与えなくても、回路自身で決まった周波数を発生して、この振動を持続する回路のことである。
--発振回路はデジタル回路のエンジンのような役目を果たす。 
--[[CPU]]を[[脳]]に例えれば、クロックジェネレータは[[脳波]]発生器のようなものである。
---代表的な発振回路としてタイマICの[[555]]などがあるが、基本ゲートを組み合わせることでも発振回路は作ることができる。
-発振回路は発振周波数を決める回路と発振を継続するための回路から構成される。
--発振周波数は、抵抗とコンデンサ、コイルとコンデンサの組み合わせ、あるいは水晶振動子などにより決定する。
--発振を継続するためには、コンデンサの増幅回路などが利用される。
---固有振動信号をトランジスタのベースに与え、増幅されたコレクタ信号がもう一度ベース信号に戻す。この一連のループで増幅度が1より大きければ、振動は継続する。

*帰還利得とループ利得 [#k2b64110]

 回路が持っている''回路定数''で決まる周波数で、持続的に正弦波的な振動を発生させる回路を中心に扱う。このような回路を''自励発振回路''という。

 この場合、直流電源でエネルギーを与えることで、振動エネルギーを発生させる。 

 回路の例として、次の図のように帰還(フィードバック)回路を持った4端子発振器を考える。4端子発振器は出力の一部を入力に戻す帰還増幅器の形をしていて、そこに周波数選択回路があり、その定数で決まる周波数で発振する。 

#img(http://s-akademeia.sakura.ne.jp/main/image8/kikan.jpg)
#img(,clear)

 発振器には入力をG倍にする増幅器があり、その出力eSUB{0};のH倍が帰還されて、入力eiに追加される構造の電子回路である。

 このような帰還を''正帰還(Positive Feedback)''といい、Hを''帰還係数''という。

例:[[マイク]]([[マイクロホン]])を[[スピーカー]]に近付けたときに起こるハウリングは、この正帰還の結果起こる現象である。 ◇

 このとき入力電圧と帰還した電圧の位相が合っている必要がある。よって次が成り立つ。

発振器=増幅器+正帰還回路 

 この回路の入力と出力の関係を式で書くと、次のようになる。 

eSUB{0};=(eSUB{i};+HeSUB{0};)G

 この式を整理して、出力に対する入力の比をGfとすると、次の式で表される。

GSUB{f};=G/(1-GH)

 ここでGSUB{f};を''帰還利得''、GHを''ループ利得''という。 


*発振回路の仕組み [#lc2a4806]

 発振動作は増幅器の中に何らかの雑音成分が入り、増幅されることから始まる。増幅された出力が帰還回路Hを通って入力側に戻るが、そのとき基幹回路に周波数選択特性があればこの周波数成分だけが次第に成長し、平衡状態では持続振動になる。これが発振の原理となる。

 振動が成長するためには、次の3つの関係式が成り立つ必要がある。

HeSUB{0};>eSUB{i};、G=eSUB{0};/eSUB{i};>1/H、GH>1

 しかし増幅器は無限に大きい出力を出すことはできないので、振動が成長すると増幅制限効果が働いて、次が成り立つような状態で平衡する。この状態が持続発振である。

HeSUB{0};=eSUB{i};、G=eSUB{0};/ei=1/H、GH=1

 以上をまとめると、持続的な発振条件として、利得条件と周波数条件の2つについて次のようにまとめることができる。

+ループ利得GHが1に等しくならなければならない。
+発振周波数は、入力電圧に対して、帰還した電圧の位相が合うように決まる。


**タンク回路 [#ya84b1d1]

 普通このような帰還回路にはコイルとコンデンサからなる[[共振回路]]を置いて、出力の基本波に同調させて正弦波電圧を作り、その一部を帰還すると共に、出力として取り出すようにしている。この目的に使われる同調回路を''タンク回路''ともいう。


**負帰還 [#u1883c62]

 回路の機能を安定化させるために出力から入力に返す場合、''負帰還(negative feedback)''といい、入力信号と逆位相の信号を加える。一般に[[フィードバック回路]]といえば、負帰還を利用した回路を示す。


*発振回路の例 [#vbdd6ce9]

**NOTゲート利用による発振回路 [#vc27217f]

#img(http://s-akademeia.sakura.ne.jp/main/image6/not.jpg)
#img(,clear)

例1:RSUB{1};=RSUB{2};=1[kΩ]、C=100[μF]、[[NOTゲート]]のためにICの[[74LS04]]をひとつ使う。

#img(http://s-akademeia.sakura.ne.jp/main/image6/not2.jpg)
#img(,clear)

 周波数が約2[Hz]なので、[[LED]]が1秒間に2回点滅する。周波数を正確に知るには、[[オシロスコープ]]という測定器を用いればよい。 ◇


**NANDゲート利用による発振回路 [#q93f0d33]

#img(http://s-akademeia.sakura.ne.jp/main/image6/not4.jpg)
#img(,clear)

例1:RSUB{1};=RSUB{2};=1[kΩ]、CSUB{1};=CSUB{2};=100[μF]、[[NANDゲート]]のためにICの[[74LS00]]をひとつ使う。[[コンデンサ]]は+、-の極性があるので注意。

 [[電源スイッチ]]を入れると、LEDが点灯する。次にスイッチSW2をHにすると、発振が始まり、LEDが点滅する。この場合、周波数は10[Hz]なので、1秒間に10回点滅する。 ◇


*発振周波数を変える [#d7353140]

 NANDゲートによる発振回路で、発振周波数を変えるには、RSUB{1};,RSUB{2};,CSUB{1};,CSUB{2};のいずれかを変えればよい。抵抗器と組み合わせて、充電・放電の繰り返し時間を調節できる。つまり、コンデンサの容量か[[抵抗器]]の抵抗値を大きくすると、充電するのに時間がかかり、また充電したものを放電するのに時間がかかる。そのため、発振の波形の繰り返しに時間がかかることになり、発振周波数は低くなる。逆に、コンデンサの容量や抵抗器の抵抗値を小さくすると、充放電は早くなり、発振周波数は高くなる。


*可変周波数発振機 [#c3d7476a]

 ''可変周波数発振機(VFO)''はコンデンサとコイルを使った回路である。
 このように[[コイル]](L)と[[コンデンサ]](C)を使った発振機は、どちらか一方の値を変えることで、発振周波数を自由に変えることができる。よって、VFOはコイルもしくはコンデンサのどちらか一方を連続的に変化させることで、発振周波数を広範囲に渡って変えることができる。

[補講]発振機には、水晶発振子を使った水晶発振機もある。水晶発振機は、使用する水晶発振子の固有周波数によって発振周波数が決まる。よって、VFOのように、発振周波数を自由に変えることはできない。しかし、水晶発振機はとても正確で安定した発振周波数を得ることができる。◇

*アンテナコイル利用による発振回路 [#lea5b5b1]

**電子ブロックminiによる断線警報機(スピーカー式) [#ha6cb0e6]

-電子ブロックminiの本体内蔵のアンテナコイルを利用した発振回路である。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini35.png)
ブロック配置図
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-チューニングノブを右端に移動する。
-リード線の端子をクリップで繋いでおき、メインスイッチをONにする。このときはスピーカーから音は出ない。
-リード線の端子が切断されると、スピーカーから音(発振音)が出る。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini36.png)
回路図
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-コンデンサを0.01μFから0.1μFや0.05μFに変更すると、発振音の高さが変わる。


*T型発振回路 [#a9d2c0d4]

**電子ブロックminiによるツインT型発振回路 [#e525629c]

-T型発振回路により、正弦波を出力する。
--この回路は音を出力するが、[[オシロスコープ]]で確認すれば正弦波を見ることができる。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini29.png)
ブロック配置図
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-赤色の抵抗ブロックを4.7KΩあるいは80KΩの抵抗ブロックに変更すると、周波数が変わるため、音が変化する。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini30.png)
回路図
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-メインスイッチをONにしたときに回路内に生じたノイズが「0.05μF、0.01μF、1KΩ」と「10KΩ、10KΩ、0.1μF」で2つのT字のフィルターで合成された、特性のよいフィルターを通る。
--発振周波数はこれらの抵抗とコンデンサの値で決まる。
-トランジスタのコレクタ信号が、このフィルターを通してベースに伝わり、フィルターを通り抜けた周波数のみが増幅され、またベースに戻され発振する。
-フィルター性能がよいので、きれいな正弦波が得られる。
-アンプに繋がっている1MΩは音量調整用の抵抗である。

*ブロッキング発振(弛張発振) [#g2e6da8e]

-ベース電流が流れてトランジスタがONになると、コレクタ側の一次コイルにコレクタ電流が流れる。
-すると急に大きな電流が流れたため、生じた誘導電流が二次コイル側でベース電流を止める。
-しばらくすると、またベース電流が流れ出し、上記が繰り返される。
--つまり、矩形波が発生する。
-このように発振することを''ブロッキング発振(弛張発振)''という。


**アンテナコイルによるブロッキング発振 [#c345f0e1]

-通常はトランス、トランジスタ、コンデンサでブロッキング発振回路を構成するが、ここでは[[アンテナコイル]]で代用する。
-アンテナコイルには鉄芯がないため、誘導が弱めである。
--強力なブロッキング発振は望めないが、装置によってはそれで十分であることもある。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini39.png)
#img(,clear)

-アンテナコイルは高周波コイルだが、低周波が発生する理由は次の通りである。
--トランジスタのベースには1KΩという小さい抵抗を使った電流が流れ込み、コレクタに最大許容量に近い大きな電流が流れる。このため、このコイルとコンデンサによる高周波発振よりも、10μFのコンデンサの充電によって引き起こされるブロッキング発振の方が強く現れる。
-10μFという容量の大きなコンデンサを使用すると、メインスイッチをONにすると、ベース電流が流れて充電していく。
--このとき、ベースには大きな電流が流れる。
--逆にコイル側からの誘導による逆電流は大変弱く、コンデンサの充電は影響を受けることなく進む。
--充電が完了すると、1MΩとKΩの抵抗で放電が始まる。
--これを繰り返して、ブロッキング発振が起こる。

***電子ブロックminiによるうそ発見機(イヤホン式) [#jf67254b]

-[[コンデンサ]]と[[コイル]]を用いてブロッキング発振を発生させ、その発振音によって嘘を付いているかどうかを識別する実験である。
--リード線を持つ人の抵抗値が汗などで変わると、ベース電流の大きさが変化して、発振周波数が変化する。この変化によって嘘かどうかを識別する。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini34.png)
ブロック配置図
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-上記のブロック配置図のようにブロックを並べて、リード線とイヤホンを差す。
-リード線の端子を両方の手に片方ずつ、相手に軽く持ってもらう。
-その状態でメインスイッチをONにする。
-実験前に調整する。
--人にリード線の端子を軽く持ってもらったら、チューニングノブを右いっぱいに動かす。右いっぱいにするときはイヤホンから大きな音がするので耳から離しておく。
--スピーカーからも音が聞こえてしまう場合は、音が消えるまでボリュームつまみを左に回す。
--ゆっくりチューニングノブを左に動かして音が安定して聞こえる場所を探して、その場所でチューニングノブを止める。
-調整後、[[イヤホン]]を耳に当てて、YESかNOで答えられる質問にすべてYES(またはすべてNO)と答えてもらう。
--音量や音の高低が変わったら、嘘を付いていると判断できる。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini33.png)
回路図
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-音が出にくい場合は、0.05μFのコンデンサを0.1μFあるいは0.01μFに変更すると、音の出始めのところの変化量を大きく取れる。

***電子ブロックminiによるエレクトロニックすいみん機 [#m50bf002]

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini37.png)
ブロック配置図
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-チューニングノブを中間にして、メインスイッチをONにすると、イヤホンからポツリと一定の間隔で音が聞こえる。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini38.png)
回路図
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-赤色のコンデンサブロックを10μFから47μFに変更すると、発振音の間隔が約5倍(約20秒)になる。


***電子ブロックminiによるシンセサイザーの原理回路 [#jb3c08b6]

-[[アンテナコイル]]を使ったブロッキング発振回路の応用である。
-原理はエレクトロニックすいみん機と同じだが、コンデンサの値が1000分の1なので、充放電時間が短く、約1000倍の周波数になる。
-アンテナコイルのコア(チューニングノブ)の移動で[[インダクタンス]]が変化し、音程が変わる。
-[[シンセサイザー]]は様々な音色が作れるが、この回路では周波数を変化させて音程を変えている。

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini40.png)
ブロック配置図
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#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image4/mini41.png)
回路図
#img(,clear)

-コンデンサブロックの0.01μFを0.1μFや0.05μFに変更すると、発振音が変わる。

*参考文献 [#b1b92997]

-『大人の科学magazine Vol.32』