目次 †
フリップフロップ †
フリップフロップ(FF)の回路はその出力がHとLを繰り返し変化することにより、入力のデジタル信号を数えたり、あるいは一時的に信号のH,Lの状態を維持する(記憶する)機能を持っている。フリップフロップとは、シーソーの働きを意味する言葉である。回路の働きが文字通りシーソーの働きに似ている。
フリップフロップには2つの出力があり、どちらかがHのときには必ずもう片方はLになる。そして入力によって状態が変わるときには、出力も入れ替わる。しかし何も起こらないとき、即ち入力がないときは、出力はそのときの状態をいつまでも保持している。この性質からフリップフロップは一種の小さなメモリというわけだ。このような回路を順序回路という。
デジタル論理素子を使うと次のように構成されている。
フリップフロップの特徴 †
・入力の度に状態が入れ替わる性質を利用すると、周波数を半分にすること(分周回路)ができる。
非同期式 vs. 同期式 †
非同期式 †
- 回路が簡単になる傾向がある。
- 消費電力が同期式と比べて少なくなる傾向がある。
- 設計は経験や勘になる。よって、完成した回路の品質に差が出やすい。
- 非同期カウンタの出力にはFFでの遅延があるため、出力タイミングがずれていく(ずれが重なる)。
- 入力周波数が速すぎるとFFが正常に動作しなくなる。
- 例えば、非同期バイナリカウンタの場合、正常な動作をする入力周波数、即ち動作周波数の上限は初段のFFに依存する。なぜならば、後段のFは初段の1/2,1/4,1/8,…の周波数になるからである。
同期式 †
- 実際のデジタル回路では同期式が多い。
- 回路の規格化が可能。
- レジスタが使える。
- すべてのFFの ̄CLR入力、CLK入力が同じ信号につながっているので、レジスタとして使うことができる。
- それに対して非同期式はCLK入力が同じ信号につながっていないので、このようにレジスタとして使えない。
- 設計はブール代数の計算に帰着される。
- 同期式回路設計の本質は状態遷移表から論理式を求めることである。よって、状態遷移表が完成してしまえば、コンピュータに自動化させることもできる。
- 遅延によりNOR出力にスパイク状の波形が現れることがある。例えば、そのため分周した信号のタイミングがずれたりしたときや、同じカウンタの出力を組み合わせて作ったときなどである。
- この現象をハザードという。これは回路の誤動作の原因になる。ハザードは非同期・同期のどちらでも起こるが、非同期の方が影響が拡大しやすい。
実験 †
ワンダーキット「点発珍GT LED-55GTB」利用によるFFの実験 †
点発珍GT LED-55GTBを参照せよ。
参考文献 †
- 『ゼロから学ぶディジタル論理回路』
- 『図解雑学 電子回路』
- 『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 電子』
- 『ELEKIT入門+実用キットではじめる電子工作キット活用術』
- 『DIGITAL TC TRAINER MODEL CT-312 デジタルIC実験セット・ガイドブック』
- 『汎用ロジックIC』
- 『イラスト・図解 デジタル回路のしくみがわかる本』