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3次の対称群

[定理]3次の対称群S3はアーベル群ではない。

[証明]S3の群表を参考にする。

例えば、ab=d、ba=fより、ab≠baなので、この群表は対称ではない。

ゆえに、S3はアーベル群ではない。　□

[定理]3次の対称群S3の巡回部分群は5個ある。

[証明]巡回部分群は<a>という形の部分群であるから（aはS3の元）、S3の巡回部分群は、以下ですべて尽される。

• <(1)>={(1)}
• <(1 2)>={(1), (1 2)}　（∵(1 2)2=(1 2)(1 2)==(1 2)
• <(1 3)>={(1), (1 3)}　（∵(1 2 3)2===(1 3 2)
• <(2 3)>={(1), (2 3)}
• <(1 2 3)>={(1), (1 2 3), (1 3 2)}　←(*)
• <(1 3 2)>={(1), (1 3 2), (1 2 3)}　←(**)

(*)と(**)は集合として一致するため、S3の巡回部分群は全部で5個である。　□

[定理]3次の対称群S3の部分群H=<(1 2)>による左剰余類・右剰余類は次の通りである。

• 左剰余類
  • {(1), (1 2)}
  • {(2 3), (1 2 3)}
  • {(1 3), (1 3 2)}
• 右剰余類
  • {(1), (1 2)}
  • {(2 3), (1 3 2)}
  • {(1 3), (1 2 3)}

[証明](1 2)は互換であるから、2乗すると単位元(1)になるので、H=<(1 2)>={(1), (1 2)}={e, b}となる。

左剰余類を全部計算すると、次のようになる。

• eH={e,b}
• aH={a,ab}={a,d}
• bH={b,b2}={b,e}={e,b}
• cH={c,cb}={c,f}
• dH={d,db}={d,a}={a,d}
• fH={f,fb}={f,c}={c,f}

よって、左剰余類は{e,b},{a,d},{c,f}の3個である。

一方、右剰余類を全部計算すると、次のようになる。

• He={e, b}
• Ha={a,ba}={a,f}
• Hb={b,b2}={b,e}={e,b}
• Hc={c,bc}={c,d}
• Hd={d,bd}={d,c}={c,d}
• Hf={f,bf}={f,a}={a,f}

よって、右剰余類は{e,b},{a,f},{c,d}の3個である。

[補講]S3はBによって、元の個数が同じ3つの集合に類別された。
つまり、次が成り立つ。

S3=B+σB+βB={e,b}+{a,d}+{c,f}

Bは部分群であるが、αB、βBは部分群ではない。

このB、αB、βBなどをBのコセットという。日本語では剰余類という。