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消費者庁が、2023年10月1日から施行する景品表示法の規制対象(通称:ステマ規制)にならないよう、配慮して記事を作成しています。もし問題のある表現がありましたら、問い合わせページよりご連絡ください。

参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

Add signed magnitude【NandGame編】

2023年12月25日

はじめに

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NandGameの符号つき整数

当該レベルにおいての符号つき整数は、sgとMで構成されるものとします。sgは符号、Mは符号なしの数を示します。

sg=0なら正、sg=1なら負と定義します。

例えば、「-2」という数は、sg=1、M=2となります。

Add signed magnitudeレベル

Add signed magnitudeレベルのゴールは、2つの符号つき整数を加算または減算する回路を実装することです。

入力opop(operation)フラグ。1ビット。
0なら加算(A+B)、1なら減算(A-B)。
A1つ目の整数。
・sg(sign):符号。0なら正、1なら負。例えば「-2」という数は、
・M(magnitude):符号なしの数。
B2つ目の整数。
・sg
・M
出力sg演算結果の符号。
M演算結果の符号なしの数。
回路の入出力

Add signed magnitudeレベルを解く

1:設計方針を検討する

正の数同士の加算・減算であれば簡単ですが、今回は正負が混在しています。2つの入力値があるので、次の4パターンに場合分けできます。

[1]Aが正の数、Bが正の数の場合

[2]Aが正の数、Bが負の数の場合

[3]Aが負の数、Bが正の数の場合

[4]Aが負の数、Bが負の数の場合

2:[1]のケースの加算回路を実装する

まずは加算回路から組んでいきます。

[1]のケースの加算については簡単です。入力のsgを無視して加算してしまいます。出力のsgに何もつなげなければ、0が出力され、結果も矛盾しません。

入力のopが0のときに加算結果を出力するので、select 16コンポーネントを配置しておきます。

3:[4]のケースの加算回路を組み込む

既存の回路に追加する形で考えていきます。

Mの加算についてはそのままで問題ありません。

出力のsgは入力のsgになります。[1][4]のケースではAとBのどちらのsgも同一であるため、select 16コンポーネントのsピンは未入力でも問題ありません。これなら常にD0が選択され、Aのsgの値が出力されます。

4:[2]のケースの加算回路を組み込む

正の数と負の数の加算なので、符号なしの数からすれば実質的に減算になります。引かれる値と引く値の大小によって、計算回路が逆転するので、次の3パターンに場合分けします。

※[3]のケースは、単純に[2]の処理を対称にすればよいと想像できます。

(i)(AのM)>(BのM)の場合

演算結果は正になるので、出力sg=0にならなければなりません。

出力Mは、(出力M)=(AのM)-(BのM)と計算します。

(ii)(AのM)=(BのM)の場合

演算結果はゼロになるので、出力sg=0でなければなりません(正に含めている)。

出力Mを計算するには、(出力M)=(AのM)-(BのM)でも、(出力M)=(BのM)-(AのM)でもどちらでも構いません。

(iii)(AのM)<(BのM)の場合

演算結果は負になるので、sg=1にならなければなりません。

出力Mは、(出力M)=(BのM)-(AのM)と計算します。

※入力の2つのMのうち大きい方を、減算の先に持ってきます。

ところで、各パターンの条件を「(AのM)-(BのM)」の形で言い換えると、次の2パターンに集約されます。

(a)(AのM)-(BのM)が負以外の場合・・・(i)と(ii)が該当する。

(b)(AのM)-(BのM)が負の場合・・・(iii)が該当する。

以上を踏まえて回路を組み込むと次のようになります。

ところで、出力Mに連なるセレクター(select 16コンポーネント)が3段になっています。

・最上位(最終段)はopフラグでデータを振り分けるもの。

・中段はMの計算において加算([1][4])と減算([2][3])のどちらを使うのかを決めるためのもの。

・最下位(初段)は「(AのM)-(BのM)」と「(BのM)-(AのM)」のどちらの計算結果を決めるためのもの。

現時点でどこまでうまくいっているのか確認するために、用意されているテストパターンを試してみましょう。

op=1のときに失敗するのは自明です。まだ回路を組んでいないためです。

なんとop=0のときはすべてのテストにパスしています。[1][2][4]に対応するテストはパスすることを期待していましたが、[3]に対応するテスト(表の5行目)もパスしてしまっています。

[2]の回路を組み込んだ時点で、[3]も解決していたことを示唆します。

実際に[3]のケースをトレースしてみましょう。[3]はAの負(Aのsgが1)、Bが正(Bのsgが0)のケースです。さらに、[2]のときと同様に次の3パターンに場合分けします。

(i)(AのM)>(BのM)の場合

sg=1、M=(AのM)-(BのM)になります。

(ii)(AのM)=(BのM)の場合

sg=0、M=(AのM)-(BのM)=(BのM)-(AのM)になります。

(iii)(AのM)<(BのM)の場合

sg=0、M=(BのM)-(AのM)になります。

Mの計算式については[2]とまったく同じであり、(i)と(iii)のsgだけが[2]と逆になっているだけです。

よって、Mの計算回路は[2]と[3]で共用できるということです。

(ii)のsgについてが気になるかもしれませんが、中段セレクターの制御フラグはXORゲートを通すので問題ありません。下段セレクター(Mの計算の振り分け処理)の制御フラグが逆になっとしても2つの入力はどちらも0(=M)になっているはずなので問題となりません。

5:減算処理を組み込む

場合分けについてはこれまでの議論どおりです。

[1′]Aが正かつBが正の場合、すなわち(Aのsg)=(Bのsg)=0の場合

[2′]Aが正かつBが負の場合、すなわち(Aのsg)=0かつ(Bのsg)=1の場合

[3′]Aが負かつBが正の場合、すなわち(Aのsg)=1かつ(Bのsg)=0の場合

[4′]Aが負かつBが負の場合、すなわち(Aのsg)=(Bのsg)=1の場合

一番簡単なのは、[2′]のパターンです。

(AのM)-(BのM)=正-負=正+正

よって、入力AとBのMは加算すればよいだけです。このとき、出力sg=0になります。

次に簡単なのは、[3′]のパターンです。

(AのM)-(AのB)=負-正=負+負

よって、入力AとBのMは加算したうえで、出力sg=1にすればよいのです。

続けて[1′]のパターンを見ます。

(AのM)-(BのM)=正-正

これはこのまま単純に考えられません。さらに大小関係で場合分けします。

(i)(AのM)>(BのM)のときは、出力sg=0、出力M=(AのM)-(BのM)

(ii)(AのM)=(BのM)のときは、出力sg=0、出力M=(AのM)-(BのM)=(BのM)-(AのM)=0

(iii)(AのM)<(BのM)のときは、出力sg=0、出力M=(BのM)-(AのM)

最後に[4′]のパターンを見ます。

(AのM)-(AのB)=負-負=負+正

同様に場合分けします。

(i)(AのM)>(BのM)のときは、出力sg=1、出力M=(AのM)-(BのM)

(ii)(AのM)=(BのM)のときは、出力sg=0、出力M=(AのM)-(BのM)=(BのM)-(AのM)=0

(iii)(AのM)<(BのM)のときは、出力sg=0、出力M=(BのM)-(AのM)

出力sgが[3′]と逆になっているだけで、出力Mは同じ計算で得られます。

今回(op=1)では、sgに注目すると次のようなパターン分けになります。

※このパターン分けでは、[1′][4′]は「2入力sgのXORの結果が1」のとき、[2′][3′]は「XORの結果が0」のときに対応することを考慮しています。

※AはAのM、BはBのMを示すものとします。

ケース条件(XORの結果だけではsg=1を識別できない場合に用いる)
追加の条件
出力sg
a’XOR=1 かつ A-B<00
b’XOR=1 かつ A-B>0
※完全に識別OK
1
c’XOR=0 かつ A-B>00
d’XOR=0 かつ A-B<0Aのsg=11
e’XOR=0 かつ A-B>0Aのsg=11
f’XOR=0 かつ A-B<00

sg=1になる条件をすべてANDで束ね、最終的にsg=1になる3パターンをORで束ねてしまえばよいのです。

加算のときのように単純にはいかないので、愚直に実装します。

得られた回路は次のとおりです。無事テストをパスします。

6:回路を最適化する

最終的にテストをパスする状態を維持しながら、重複するコンポーネントをカットしていきます。

最適化したらテストにパスすることを再度確認してください。