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参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

リレーでNOT回路を構築する

2024年6月23日

リレー

メカニカルリレーとは、励磁コイルに直流電流を流して接点(内部スイッチ)をON/OFF制御する電子部品のことです。一般にリレーと略された場合は、メカニカルリレーを指すことが大半です。

なお、発光ダイオードで作られたリレーもあり、これを半導体リレーといいます。原理は、フォトカプラーと同様です。

リレーの基本構造

リレーは電磁石と鉄心からできています。

電磁石に電気が流れると鉄心が吸い寄せられて、内部スイッチが切り替わります。

  • COM(Common)端子:共通端子。
  • NO(Normal Open、Normally Open)端子:リレーに電流が流れるとつながる端子。
  • NC(Normal Close、Normally Contact)端子:リレーに電流が流れていないとつながる端子。

コイルが通電すると、内部スイッチが切り替わります。

このリレーにはC接点スイッチが1個しかありませんが、この種のリレーを1回路1接点リレーといいます。

また、内部に2つのC接点スイッチが内蔵されているタイプのものを、2回路2接点リレーといいます。

1回路1接点リレーは小さくて、ブレッドボードの中央の溝をまたげません。そのため、2回路2接点リレーを使います。

リレーの特徴

メリット

  • 数Vで、数百Vの電気のON/OFFを制御できる。

デメリット

  • (半導体スイッチと比べて)切り替え動作が遅い。
    • 機械的な機構であるため。
    • 高速なタイプでも数ミリ秒かかる。
  • コイルに逆起電力が発生する。
    • 励磁コイルは電流をOFFにした瞬間に大きな逆起電力を発生する。
  • ノイズが出る。
    • 接点でAC100VなどをON/FFするとき、電気火花が飛ぶことがある。
    • この火花によるノイズは結構強力で、電子回路の誤動作を簡単に引き起こしてしまう。
    • スパークキラーとしてバリスタなどが使われる。使用する電圧の最高電圧に合わせてバリスタを選択する。
      • AC100VのON/OFFなら、ピーク電圧を考慮して、160V以上の電圧規格のバリスタを選択する。
  • ランプを点灯制御する場合、ONにする瞬間はランプの抵抗が非常に小さいため点灯時の数十倍の大電流が流れる。その電流が接点の許容電流値を超えると、何回かON/OFF繰り返すうちに故障することがある。

リレーで注目すべき基本スペック

コイルの定格電圧

  • リレーの動作時に加えるべき電圧。

セット電圧(感動電圧)

  • リレーがスイッチを閉じるのに必要な最低電圧。
  • コイル電圧より少し低い値。

消費電力、コイル電力

  • リレーの動作時の消費電力。
  • 単位は通常はミリワット。ミリアンペアのこともある。

開閉容量

  • リレーの接点がスイッチできる最大の電流。
  • 通常、これは抵抗負荷(例:電球)に対する値。
  • リレーをモーターのスイッチに使う場合、モーターは回転が上がる前に突入電流が流れる。このようなときは、動作中のモーターが取る電流の2倍の定格を持つリレーを選ぶとよい。

NOT回路

真理値表

NOT回路の真理値表は次のとおりです。

AZ
LH
HL
NOT回路の真理値表

リレーでNOT回路を実現する

コイル側と接点側は独立しているので、別々の電源とGNDを取ることができます。
同じ電源を兼ねる場合は、出力側に電流が回ることを考慮してください。
※回っても問題ないように設計していれば、それでも構いません。

パターン1で真理値表を満たすことを確認してみます。

[1]A=Lのとき

⇒コイルに電流が流れない

⇒内部SWはそのまま

⇒Z=H

[2]A=Hのとき

⇒コイルに電流が流れる

⇒内部SWが切り替わる

⇒Z=L

ブレッドボード上にリレーでNOT回路を組む

ブレッドボード上に上記のNOT回路を組んでみます。

Aを制御するために、外部にスイッチを用意します。

また、Zの状態を確認するために、LEDを接続します。

リレーでNOT回路を実現する実験用回路

使用する部品

パーツの種類型番・仕様数量備考
ブレッドボードBB-6011個何でもよい。
リレーMATSUSHITAのDS2-S AG23291個DC5V
2回路2接点リレー
※他のリレーでもよい。
ただし、ピンと内部構造が本実験と一致していないは、調整すること。
また、コイルに発生する磁界の向きを気にしないなら、コイル端子に極性はない。
実際に電源をつなげてみて、確認してもよい。
逆にしたときに反応しなければ極性がある。
このリレーは、1に電圧を掛けると、内部スイッチが切り替わった。
刻印を見ても、極性があることがわかる。
赤色LED不明1個手元にあったものを適当に使った。
LEDチェッカーで動作確認済み。
足が長いほうがアノード。
タクトスイッチTVDT18-050CB-T1個秋月電子通販コード:P-08078
カーボン抵抗270Ω1本LEDの電流制限用。
使用する赤色LEDの仕様はわからないので、ざっくり順方向電圧VF=2Vとする。そして、流したい順方向電流を10mAとする。
R=(V-VF)×100=(4.5-2)×100=250Ω⇒270Ω
電池ボックスSBH-331AS1個単3電池3本用。
スイッチ、リード線つき。
単3電池3本計4.5V
今回はコイル側と接点側の電源を共有する。
ジャンパーワイヤー数本
NOT回路に使用する部品

使用するリレーDS2-Sのピン配列

リレーの上部にボトムビューが印字されています。

※このリレーには、コイルに極性があることがわかります。

ひっくり返すとピンに番号が割り振られています。

ブレッドボードにワイヤリングする際には上から見ることになるので、次のピン番号を参考にしてください。

ブレッドボード上に組んで実験する

実験結果は次のとおりです。

確かにスイッチを押さないとLEDが点灯し、押すと消灯します。

※リレー内のスイッチが切り替わる音が聞こえることも確認できます。

実験回路に保護回路を追加する【改良版】

スイッチをOFFして、コイルに流れる電流を遮断すると、逆起電力により大きなサージ電圧が発生します。

これによって、接点がコイルの場合は誤作動や寿命の低下につながります。トランジスタの場合はまれに故障することがあります。

これを防ぐためには、保護回路を追加します。

DCコイルのリレーの駆動する際に、ダイオード方式の保護回路が簡単です。

ダイオード1本だけで実現できます。

リレーでNOT回路を実現する実験用回路

使用する部品

パーツの種類型番数量備考
実験用回路(前述)1個
ダイオード1N41481本コイルサージ吸収回路のため。
極性あり。
帯(カソードマーク)があるほうがカソード(K)、ないほうがアノード(A)。
「A⇒K」(辞書順)に流れると覚えればよい。

初回テスト時は注意してください。
外部スイッチを断続的に押してください。ダイオードが極度に熱くなっていれば止めてください。
異常を感じた場合は、配線を見直す、ダイオードを交換するなどしてください。
私の実験では、ダイオードでやけどをするぐらい発熱し、最終的に煙が出ました。
ダイオードを交換したら問題なく動作しました。

入力状態を確認する回路を追加する

これまでは1個のスイッチを手動で操作するだけだったので、入力側の状態を確認するLEDは用意しませんでした。

今後の拡張を考えると、複数のスイッチが登場したり、トランジスタで駆動したりという場面を想定できます。

そのため、現段階で入力側の状態を確認する回路を追加しておきます。

入力状態を確認できるようにした実験用回路

使用する部品

パーツの種類型番数量備考
実験用回路(前述)1個保護回路を搭載済み。
赤色LED1本入出力を識別しやすいように色や大きさを変えるのもあり。
今回は入力側状態のLEDはタクトスイッチの近くに配置したり、高さを変えてわかりやすくするとよいだろう。
カーボン抵抗270Ω1本電流制限用抵抗。

実験の様子