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参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

同人誌即売会への参加決意から執筆、そしてイベント後にやるべきことまで【技術書典編】

同人誌即売会にサークル参加して新刊を出すのであれば、印刷所の入稿締切までに、本文と表紙のデータを完成させなければなりません。
イベントに参加するに当たり、執筆活動と入稿作業以外にもやるべきタスクはたくさんあります。
直前になってバタバタしないためにもなるべく前倒しで終わらせるのをおすすめします。

はじめに

2022年9月にIT技術書の同人誌即売会である技術書典13に参加しました。

イベント当日の様子、そして前後にやるべきことを次の記事に書きました。

しかしながら、やるべきタスクがぱっと見でわかりにくいため、今回ガントチャート形式でスケジュールを記載しました。

※今回の記事は技術書典13の実際の日付を用いています。

同人誌即売会におけるガントチャート【技術書典13編】

青い枠は期限に関するタスクであり、赤い枠はサークル参加者が力を入れるべきタスク(労力を要するタスク)です。どちらも最重要のタスクになります。

以下はガントチャートのVisioデータ(圧縮済み)になります。

このときは1.5ヶ月ほどしか執筆期間がなく、バタバタしています。
執筆開始は早ければ早いほど好ましいといえます。
内容を充実でき、さらに校正時間に余裕があるため品質を高められます。
そして、他にやるべきタスクに注力できます。
さらに、金銭的コストを抑えられます。印刷所には早く入稿すると10%ほど割引になる早割サービスが用意されています。早割の条件は一週間から10日間ほど通常入稿より早く入稿することです。
以上より、早く執筆に取り組めば、一石三鳥以上の効果を期待できます。

技術書典に向けてのサークル活動

申込

サークル参加の申し込みについての実作業はそれほど時間がかかりません。

ただし、サークル活動で本業がおろそかになっては本末転倒です。「新刊が間に合わない」「イベント会場に現地入りできない」とならないためにも、「絶対に新刊を完成させて頒布する」という決意をした上で申し込みましょう。

サークルメンバーが複数人いれば、相談の上でサークル参加するかを決定することになります。
「誰が新刊を出すのか」「オフラインイベントに参加するためにスケジュールを調整できるか」などを話し合います。

当落通知

当落通知が来て、サークル参加費をすぐに支払います。期限までに支払い忘れてしまうと当選が剥奪されます。

支払いはすぐに完結します。技術書典13ではAmazon Payでも支払えました。

支払うことで完全にサークル参加が確定するので、この時点でサークル参加する旨をツイート(宣伝)します。

サークルページ作成

技術書典に表示されるサークルページを作ります。

参加経験のあるサークルであれば、ページ内容が引き継がれているはずです。内容を簡単に確認する程度で済むはずです。

初参加のサークルであれば、サークルページのアイコンを設定したり、ページ内のサークル紹介文を書く必要があります。

値札プレート作成

当サークル独自のタスクになります。

値札プレートのデータを作った後に、コンビニで印刷します。うまくいけば1日で終わるタスクですが、不慣れだと数日かかるかもしれません。

ポスター作製

サークルブースでポスターを掲示するのであれば、そのポスターのデザインしなければなりません。

印刷所に注文することになりますので、同人誌の印刷注文時にオプションでポスター印刷を選びます。ポスターのデータの入稿は、同人誌の入稿と一緒です。ねこのしっぽの場合、表紙データと区別できるファイル名にしてアップロードすることになります。

新刊を作成するメンバーは本の執筆等で忙しいので、他のメンバーにお願いするか、外注するとよいかもしれません。ただし、外注するのであれば、早めに動く必要があります。

電子ファイル審査

技術書典では頒布する新刊について、事前に審査を受けて内容に問題ないことを確認してもらわなければなりません。

その期限が決まっており、オフラインイベントに間に合うように提出します。

運営側による審査は結構時間がかかるため、期限ぎりぎりではなく、余裕を持って電子ファイルを申請しておきましょう。印刷所に入稿したら即やるべきタスクといえます。

アイテム準備

オフラインイベントのサークルブースで使うアイテムを準備します。過去に参加経験があれば、そのときのアイテムを使いまわせます。

注意すべきなのは、新規に用意するアイテムです。他の大規模イベントとぶつかったりすると、ネットで注文しようと思っても品切れになっていることがあります。注文できたとしても、到着までに時間がかかるようで焦ってしまいます。

また、初参加であれば、そもそも何を揃えるべきかわかっていないかもしれません。次の記事を参考にして何を揃えると便利なのかを確認します。

用意すべきアイテムのうち、ポスタースタンド、あの布、スマート本棚などが比較的高い部類になります。その他のアイテムは100均で揃えられるものばかりです。
サークルメンバーが複数いる場合は、アイテムを分担して揃えられ、結果的に1人当たりのアイテムコストを抑えられます。例えば、
しかしながら、完全に費用を分割して購入した場合、アイテムを誰が管理するのか揉める可能性があります。
個人的には、各メンバーがアイテムを購入したら、購入者の所有として、必要があればメンバーからサークルに(無償で)貸し出すという方法がよいと思います。なぜならば、経費として計上する上でも、個人で買ってしまった方が帳簿上楽だからです。
ただし、メンバー内で不公平感が出そうであれば、高額アイテムを各メンバーでばらばらに買えばよいでしょう。

アイテム梱包・発送

会場にアイテムを手で持っていけるのであれば、発送する必要はありません。しかし遠方から参加したり、アイテムの量が持ちきれなかったりするのであれば、発送することになります。

このとき注意して欲しいことがあります。イベント当日までに間に合うように発送するのではなく、運営が指示する期限までに届くように発送しなければなりません。技術書典13の場合は、サンシャインシティ近くの営業所に数日前の時点で到着している必要があります。「指示する期限までに発送」ではなく、「指示する期限までに到着」であることに注意してください。

そのため、数日の余裕をもって発送手続きをすることをおすすめします。

売上計算

オフラインイベントの売上、オンラインイベントの売上があります。

1人サークルであれば、オフラインイベントの売上については、イベント当日の売り上げとして帳簿につければよいでしょう。

オンラインイベントの売り上げは、振込申請のタイミングで入金されます。9月末日で9月分の売り上げが確定するので、帳簿につけます。ただし、そのタイミングではまだお金は手にしていないため、帳簿上は「未決済」としておきます。実際に振込申請をしてお金が手にした時点で「決済完了」とします。

複数人のメンバーがいるサークルであれば、さらに複雑です。
売上をメンバーで分配しなければならないためです。ここでいう分配というのは、単純にメンバーの人数で分けるということではなく、本によって著者が異なるので頒布数・値段を考慮して分配するということです。
オフラインイベントの終了タイミングで分配はできません。なぜならオフラインイベントでファン(訪れたお客さん)たちは現金払いの人もいれば、かんたん後払いの人もいるためです。よって、最終的に「9月分のサークルページでの売上(かんたん後払いを含む)+オフラインイベントでの売上」を分配することになります。

同人誌の作成

執筆ネタ調査・選定

書きたいネタがありすぎて困るぐらいであれば、わざわざネタ探しに困ることはないでしょう。

しかし、多くの方はそうではないと思います。自分のスキル、今日ものある分野を加味した上で、ネタを探します。

そして、そのネタについて誰かがすでに同人誌を書いてしまっていないかを調べます。被っているのであれば、別のネタに切り替えるのか、被ることを承知した上で執筆するのかを決定します。

執筆環境構築

原稿を書き始める前に、雛形をPDFにビルドできるところまで持って行きましょう。

作業時間としては少なくとも1日は見積もり、初めてであれば余裕をもって3日間を取っておくと安心です。

私は昔からビルド環境にRe:VIEW、執筆環境にVisual Studio Codeを採用しています。
ただし、以前WindowsにRuby+TeXをインストールした上でRe:VIEW環境を構築し、ビルドしていました。
今はDockerのRe:VIEW導入済みのUbuntuでビルドしています。

執筆

ネタが決まったら漠然としたタイトル案がいくつか湧いてくるはずです。タイトルはすぐに決定する必要はなく、執筆の過程でも変わってきます。

執筆がほぼ完了する時点までにタイトルを決定させます。印刷所に印刷注文するにはタイトルが確定していなければなりませんし、表紙を作成するにはタイトルを確定しておかなければなりません。

商業誌の場合、企画・依頼の時点では仮のタイトルですが、そのまま執筆を開始します。原稿を提出した後、すなわち編集・レイアウトの段階でタイトルが確定するようなケースが多々あります。

締切が近づいて来れば、このペースでいけば完成時にどのくらいのボリュームに落ち着くのかが推測できるはずです。この時点ではかなりざっくりでよいでしょう。何を気にしているのかというと、印刷所によってページ数があるしきい値を超えると入稿締切が変わるからです。

例えば、ねこのしっぽの場合、116ページを超えるかどうかが1つのポイントとなります。超える場合は、入稿締切が一週間ほど早くなるので注意してください。

校正

執筆初心者(?)だと「執筆が終わったら完成」と思っている人がいますが、まったく違います。校正作業という本当の地獄が待っています。

自己校正を何度かやって初めて、人に見せられるレベルで完成したことになります。

個人的には同人誌レベルであれば「少なくとも1回の自己校正+Word校正+Webツール」をやって初めて、外部の人(サークルメンバーを含む)に校正をお願いする段階だと思っています。
商業誌レベルであれば「3回の自己校正+Word校正+Webツール」をしてから、編集者に提出するようにしています。

校正作業をないがしろにすると品質が著しく低下し、後で後悔することになりがちなので、しっかり校正しましょう。

言い換えれば、執筆の締め切りは校正作業を考慮しなければならないのです。130ページの本であれば、2週間の校正時間を設けたいところです。時間に余裕がなくても、少なくとも1週間の校正作業を設けるべきです。

商業誌の『ハッキング・ラボのつくりかた』は680ページほどありますが、校正時間は1.5~2ヶ月です。
編集前に自己校正として「3回の目視校正+Word校正+Web校正」、編集後には3回のゲラチェック、1回の外部校正(手を動かして実験してもらった)をしています。つまり、著者本人による校正は少なくとも6回やったことになります。
ここまでやっても出版後に誤植が見つかるわけです。

校正はざっくりと自己校正と外部校正に分けられます。自己校正は著者本人が校正すること、外部校正は著者以外の人に校正してもらうことです。

基本は著者本人が責任をもって校正すべきです。外部の人に校正やレビューをお願いするのは、あくまで補助的なものに過ぎません。他人に完全に校正してもらうことを期待すべきものではありません。他人にミスや改善点を見つけてもらったらラッキー程度と考えるのです。

校正についてはいつか記事にまとめようと思いますので、ここでは簡単に方法を紹介します。

  • 校正でたくさんのミスが見つかるのは当然。むしろこの段階で修正すべき点が見つかるのは問題なし。
  • 目視で3回は校正する。
  • Wordには校正機能があり、スペルチェック、日本語チェック、表記ゆれをチェックできる。校正の序盤でやっておく。
  • Web上の校正ツールを活用する。校正の序盤でやっておく。
  • 紙に印刷する校正は必ず1回やる。
  • 校正時は本文ばかり注目してしまいがち。終りに近い校正(例えば3回目の自己校正)では、画像や表のキャプション、脚注、ステップ番号の順番、図番号・表番号などに注目する。
  • 校正時に目が滑るのを防ぐために、ペンを活用する。音声で校正するのもあり。
  • 日本語の校正と技術校正(技術レビュー)は別モノ。
  • 外部校正を一般から募集するのであれば、早めにスケジュールを組む。技術的な指摘、改善点の指摘が入る可能性があり、それを原稿に反映するには少々の時間がかかる。お礼としては本の進呈、謝辞に掲載あたりが一般的。
  • 外部校正で指摘された内容をすべて適用しなければならないわけではない。指摘を参考にして、実際に修正するかどうかは著者の判断による。

校正の反映作業にもそれなりの時間が取られるので、甘く見積もらないようにしてください。

表紙作成

表紙は本の顔に相当し、売れ行きを左右する2番目の要素といえます。なお、1番目はタイトル、3番目は内容です。

自分で作る場合は2日ぐらいあれば完成させられるでしょう。

しかし、外部に発注する場合は早めに動くべきです。

印刷所に申込

申し込み時にページ数を指定する必要があります。よって、印刷所に申し込むのは、ほぼページが確定しているタイミングになります。つまり、校正反映を何度か適用した時点、すなわちほぼ完成直前のタイミングになります。

印刷所に入稿

入稿した後に何らかのミスが指摘される可能性があるので、入稿締切の前日に入稿することを強くおすすめします。

データ的に問題がなくても、画像について問い合わせのTELがかかってくることはよくあります。
一般に印刷すると黒が強く出て、画像の中にはっきりしないものがあるとその黒に負けて見えにくくなることがあるのです。
例えば、KaliのTerminalは半透明が、その下にデスクトップ画像のドラゴンが薄く見えます。しかしながら、印刷するとこのドラゴンは周囲の色と一体化しほとんど見えなくなります。

具体的な入稿法は、印刷所のアップローダーで本文データと表紙データをアップロードします。

その際、フルカラーの同人誌でない限り、本文データは白黒(グレースケール化)にしなければなりません。その作業時間も考慮しなければなりません。慣れていれば1日でよいですが、不慣れであれば時間がかかるものと想定しておくべきです。

宣伝・その他

ガントチャートには載っていませんが、遠方から参加する際には、ホテルや切符の予約、現地への移動なども計算に入れる必要があります。オフラインイベント日は確定しているわけで、ホテルや切符の予約を後回しにすべきではありません。早めに予約すれば、その分だけ割安のプランが見つかるはずです。

当選告知(サークル参加告知)

当選通知が来て、サークル参加費を入金した時点で、サークル参加が確定となります。

その時点でサークル参加することをツイートします。

サークル配置図告知

サークル配置図がメールで通知されると、多くのサークルがほぼ同じタイミングでツイートするはずです。それに乗じてツイートして、サークル参加することを再アピールします。

新刊のおしながき作成

Twitterで新刊のお知らせをすることになりますが、その際新刊の紹介用の画像(おしながきと呼んでいる)を用意するととても効果的です。

画像をパッと見ただけで、表紙・内容・値段・サークル名・サークル配置番号がわかるようにレイアウトします。

新刊告知

新刊の宣伝をどのタイミングでツイートするかは著者次第です。

「入稿に間に合うことがわかってからツイートする」「表紙ができた時点でツイートする」「執筆・校正過程をこまめにツイートする」など、ツイートの方法に決まりはありません。試行錯誤してよりよい方法を模索することになるはずです。一般にはこまめにツイートしたほうが宣伝効果は大きくなりますが、ある程度本を出しているとこの辺りを戦略的に動くようになるはずです。

入稿を完了したら、おしながきとセットで新刊の宣伝ツイートをしましょう。このツイートは固定ツイートして設定し、常に目立つようにします。

※オフラインイベント終了後まで固定ツイートにしておきます。

設営告知

オフラインイベントの当日、会場での様子をツイートします。

設営を完了したら、設営完了ツイートをします。

設営後のサークルブースを何枚か写真に記録しておきます。後でどのようにアイテムや本を配置したのかを振り返る際にも活用できます。

BOOTHページの公開・告知

BOOTHページはオフラインイベントまでに完成させておき、当日までは非公開にしておき、当日の朝に公開します。

公開になっていないとダウンロードカードやダウンロードページを見たユーザーがアクセスできません。

オフラインイベントの会場に来られない人も大勢いるため、BOOTHページや技術書典の書籍ページから購入できることを告知します。

本の宣伝

オフラインイベントが終わってからも随時本を宣伝しましょう。

イベント当日、そしてその直後1,2週間が勝負になります。

アワード応募

「刺され!技術書アワード」に応募すれば、技術書典運営のYouTubeチャンネルで紹介される可能性があります。