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参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

小規模企業共済の特徴をまとめてみた【老後資産形成+相続税対策】

2022年2月11日

小規模企業共済とは

小規模企業共済は個人事業主向けの退職金制度です。小規模の個人事業主が事業を廃止した場合、または会社の役員が退職した場合などに、それまでに積み立てた掛け金に応じて共済金を受け取れます。

事業を継続している間は毎月掛け金を積み立てて、事業の廃業・退職時に一時金として受け取れます。積み立てているときは全額所得控除の対象です。受け取る際には全額課税対象ですが、一時金の場合は退職所得になるので、税金が安くなります。

よって、「税の繰り延べ+低い税金」の恩恵を受けられます。

過去の記事

加入シミュレーション

次のページでいくら受け取れるのかを計算できます。

例① 月5kの場合

40歳から開始して65歳[1]2022年以降は65歳まで加入できるようになりました。まで加入し続けたとします。

iDeCoの一時金60歳で受け取ることを考えると、小規模企業共済は5年を空けた65歳のときがもっともお得になります。この観点からも、小規模企業共済の一時金を65歳で受け取るというのは妥当なタイミングでしょう。

シミュレーションの条件は次の通りです。

  • 開始時期:45歳0ヶ月
  • 終了時期:65歳0ヶ月[2]本来は64歳11ヶ月とすべきかもしれませんが、誤差として考えてください。
  • 月々の掛金:5k
  • 課税所得:650万円(適当でよい)

シミュレーションの結果は次の通りです。

掛金合計は150万5千円、年間節税額は18,300円になります。

受け取れる共済金は約170~180万円です。加えて25年間分の節税効果もあります。

節税効果を考慮してどれだけの割合増えたのかを示すのが、実質返戻率です。これは次の式で計算できます。

実質返戻率=共済金額÷(掛金合計値-節税総額)

=共済金額÷(掛金合計値-(年間節税額÷12)×納付月数)

ここで65歳でも廃業せずに、共済金を請求したとします。これはB共済自由に該当します。

このときの実質返戻率は次のように計算できます。

実質返戻率

=1,714,100円÷(1,505,000円-(18,300÷12)×301ヶ月)

=1,714,100円÷(1,505,000円-1,525円×301ヶ月)

=1,714,100円÷(1,505,000円-459,025円)

=1,714,100円÷1,045,975円

≒1.63

=164%

例② 月に満額70kの場合

例①の条件で掛金だけを満額70kに変更してみます。

掛金合計は2,107万円、年間節税額は255,600円になります。

受け取れる共済金は約2,400万~2,550万円です。

共済金を一時金(一括)で受け取れば、基本的にお得になります。

ただし、先の例と比べて納付月数が変動していないので、実質返戻率は164%と変わりません。

小規模企業共済の特徴を改めて確認してみた

とてもよい点

  • 税負担が大幅に軽くなる。
    • 節税しながら貯蓄のようなイメージ。
    • 税の繰り延べの効果で、事前に支払う税金が少ないということは、それだけキャッシュが残り資産運用に回せる。
  • 節税の選択肢が増えたことになる。
    • 課税所得を調整することで、児童手当がもらえるかもしれない。
  • 相続税対策に使える。
    • 加入者が死亡して相続人が共済金を受け取る場合には、死亡退職金扱いとなって相続税の対象になる。
    • 小規模企業共済の死亡退職金として給付金を付け取った場合には、「500万円×法定相続人の数」の金額が非課税で受け取れる。
    • 生命保険にも同様の「500万円×法定相続人の数」の金額が非課税枠がある[3]No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
    • しかも、小規模企業共済の控除枠と、生命保険の控除枠は別の規定になっているので、両方の非課税枠を使える。つまり、両方に加入していれば強力な相続税対策になりうる。
  • 内縁関係者に財産を遺せる
    • ここでいう内縁関係者とは、戸籍上未婚の妻や夫、子孫や祖父母を含む人たちのこと。
    • 内縁関係者に遺産を残すのであれば本来民法に沿った手続きのもと作成された遺書が必要になるが、小規模企業共済では遺書なしで内縁関係者に財産を遺せる。
    • 小規模企業共済の死亡時共済金は、受取人を指定できない。「私の全遺産を○○に相続させる」という遺言書が残しても、共済金の請求権は遺産ではない。小規模企業共済法に基づく順位が優先される。

第9条第1項に規定する共済金の支給を受けるべき遺族は、次の各号に掲げる者とする。

一 配偶者(届出をしていないが、共済契約者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあったものを含む

二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で共済契約者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していたもの

三 前号に掲げる者のほか、共済契約者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していた親族

四 子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹で二号に該当しないもの

2 共済金の支給を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順位により、同項第二号及び第四号に掲げる者のうちにあっては当該各号に掲げる順位による。(以下略)

小規模企業共済法第10条1項、2項

まあまあの点

  • 解約時に掛金を納付した期間に応じて最大120%相当額が戻ってくる
  • コールセンターにつながりやすい
  • 貸付金、無担保・無保証、金額は掛金の7~8割程度、金利は年1.5%。
    • ただし、病気・怪我・災害といった緊急貸付には金利は年0.9%。
  • iDeCoや(マイクロ法人)退職金はすべて退職所得になる。
    • 退職控除を最大効果にしたければ、60歳でiDeCo受け取り、65歳で小規模企業共済受け取り、70歳で法人退職金受け取りにする。
    • 退職控除の枠を超えるとその分税金が発生するが、それでもよくて一回で受け取りたいのであればそれもよし。

普通

  • 掛金を調整できる。
    • ただし、掛金を減額したり掛止めしたりすると、減額された分の掛金はその後運用されないままになってしまう。
  • 若干ながら年1%程度の利回りがある。
    • 今の日本は2%のインフレを目指しているが、実態は0.5%程度しかない。現状は勝つが、目標のインフレ度に達成したら負ける。
    • 当然ながらiDeCoで資産運用するよりは利回りは低い(そもそも利回りを目的とするものではない)。

よくない点

  • 掛金納付月数が240ヶ月(=20年)未満で任意解約すると元本割れ
    • ただし、廃業、死亡等は除く(任意解約に該当しない)。
    • 20年以上加入することを想定すれば、早くやるべき。遅くても45歳までにはやるべきだろう。
    • 途中から毎月の支払いが負担になったら、月1,000円でいいから65歳まで続ける
    • 任意解約するぐらいなら引退して退職金として受け取った方が得。
      • 解約後、改めて加入をし直せる。これはセーフティ共済と同様(ただし、こちらは40ヶ月でロックが解除されるので引退せずに解約⇒再加入できる)。
  • かなりの例外ケースだが、12ヶ月未満の場合は共済金が受け取れず、すべて掛捨てになる。
  • 一種の固定費になる。キャッシュフローを圧迫する
  • 申し込みしてから、1~2ヶ月かかる。
  • 規模が大きいと加入できない。
    • その名の通り、小規模企業共済は小規模事業者を対象としているため。
    • ただし、要件を満たしている時に一度加入しておけば継続するのは可能。
  • 金額変更、引っ越し時の手続きが必要。
    • 引っ越しが多い人は要注意。
    • 書類に押印して出す。今のところネットで完結しない。
  • サラリーマンが副業で個人事業主の場合は、加入できない。
  • 小規模企業共済の掛金引き落とし口座は中小機構の業務委託先金融機関に限り、以下はNG。
    • 屋号付き口座や法人口座
    • ゆうちょ銀行
    • インターネット銀行
    • その他新生銀行など

小規模企業共済 vs. 民間の個人年金

小規模企業共済・掛金は全額控除。
・途中解約は「公的年金等の雑所得」なので公的年金控除[4]大体の人であれば、年間110万円以下なら無税。の対象。
・予定利率は1%。
民間の個人年金・控除額は年上限4万円(住民税は2.8万円)。
・途中解約は「その他の雑所得」[5]普通に利益に対しては税金がかかる。になる。
・外貨建て・変額もありバラエティーに富む。

比較すると、小規模企業共済が有利です。小規模企業共済に加入したうえで個人年金も入るという選択肢はあります。

結局のところ誰が小規模企業共済に向いているか

  • 老後資産の確保のために、すでにiDeCoを満額していて、もっと節税したい人。
  • 課税所得が大きい人。
    • 子持ちで児童手当金目当てであれば、650万、900万のラインを調整するために活用できる。
  • リスクのある運用をしたくない人。
    • つみたてNISAやNISA、iDeCoをしたくない人。

おわりに

老後資産が目的であれば、個人的にはiDeCoを満額やって、それでも余裕があれば小規模企業共済をやるとよいと思います。
執筆時点での毎月の積立等は、現状つみたてNISAを満額、iDeCo+個人年金基金をほぼ満額、小規模企業共済は数千円、特定口座で投資信託の積立を月140k程度(スポット購入を除く)にしています。
まだ小規模企業共済の枠は余っているので、事業所得が増えたら増やしていればと思っています。

References

References
1 2022年以降は65歳まで加入できるようになりました。
2 本来は64歳11ヶ月とすべきかもしれませんが、誤差として考えてください。
3 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
4 大体の人であれば、年間110万円以下なら無税。
5 普通に利益に対しては税金がかかる。