英語のIT技術書のすすめ

洋書をターゲットにする

日本では翻訳文化が発達しています。これはIT技術書の世界でも同様で、英語圏以外の他国に比べて非常に幸運なことといえます。

それとは別に、ITエンジニアであれば、日本語以外(特に英語)に触れる機会も多いことでしょう。例えば、サーバー運用中にエラーが発生し、そのエラーメッセージで検索したら英語サイトにしか情報がないという状況もあります。また、Linuxのコマンドのヘルプを見ると、オプションの説明が英語で書いてあります。英語が苦手な方は「英語が母国語だったら苦労しなくても済んだのに」と思うかもしれません。確かにそうかもしれませんが、それを嘆いてもどうしようもありません。逆にそれを逆手に取るしかありません。「周囲が見つけられない情報を発見できる」「技術文書・特許文書の翻訳という仕事がある」などとプラスに捉えましょう。

洋書の利点

ここではIT技術書を選ぶうえで邦書だけでなく洋書を含めると、次の利点が得られます。

  • 翻訳される前にIT技術書を読める
  • 翻訳本より安く入手できる

翻訳される前にIT技術書を読める

結論からいえば、翻訳本が出たと仮定しても、その原作(洋書)が発売されてから一般に1年以上先になります。

「ハリーポッター」のようなビッグタイトルであれば、最初から翻訳が確定しており、比較的早めに翻訳本が発売されます。しかし、こうしたケースは例外であり、IT技術書の場合はそうなりません。

その理由は次の通りです。洋書のIT技術書が発売され、その売り上げや評価といった結果が出るのは数ヶ月後です。

日本の出版社の編集者は、海外での売り上げや評価を考慮し、日本でも売れるかどうかを企画会議で検討します。検討してGOサインが出たら、日本の出版社はエージェント(翻訳権の契約を行う代理人)を通じて海外の出版社から(日本語)翻訳出版権を得ます。そして翻訳者や監訳者を探します。これらの工程は並行で行われることもありますが、いずれにせよ翻訳の執筆を開始するまでの準備時間が必要になります。

その後、ようやく翻訳が開始します。翻訳した原稿を提出し終えたら、出版社側は編集・校正します。完成版のデータができたら、印刷という工程に入り、最後に書店に並びます。

例えば、海外での評価が出る期間に6ヶ月、翻訳の企画の準備に3ヶ月、翻訳期間に3ヶ月、編集作業に2ヶ月、印刷時間に0.5ヶ月かかったとします(数値は単純な目安)。すると合計で14.5ヶ月になります。要するに、洋書が発売されて、1年以上後にならないと翻訳本が出ないということになります。

もし洋書を読めば、読まない人よりも1年早く最新情報を読めるわけです。ITエンジニアであれば、これがどれほど大きな影響であるかわかることでしょう。

ここまでの話は翻訳本が出たケースです。しかし、翻訳本が出ないケースもあります。日本で売れないと判断される本、マイナーすぎる本、古い本などです。そういった本の情報を吸収するには、洋書を読むという選択肢を取らざるを得ません。

翻訳本より安く入手できる

翻訳本を出版するには様々な工程がありました。ざっくりいえば、日本の出版社、翻訳者、エージェントなどです。翻訳書のカバーデザインが変更になるのであればデザイナーもいます。監訳、テクニカルレビュワー、校正者が付くこともよくあります。とにかく関係する人たちが増大するのです。つまり、コストが増大するのです。

さらに、IT技術書は分厚く、それを翻訳するとさらに分厚くなります。英語を構成するアルファベットは半角ですが、日本語の文字は全角です。単純に考えれば、訳すると長い文になると想像できます。実際のところ単純に2倍にはなりませんが、一般には翻訳本の文字数は多くなります。原書の時点で分厚かったものが、翻訳でさらに分厚くなるということです[1]日本の出版社側は分厚くならないように、文字フォントを小さくしたり、薄い紙を使ったりと色々な工夫を施します。

以上の「かかわる人が多い」「ページ数が増える」という影響は、翻訳本の値段に直結します。そのため、翻訳本は原書と比べて割高になるのです。

逆に考えれば、洋書であれば割安で入手できることになります。後述しますが、洋書のサービス(セール、サブスク、バンドル)を活用するとさらにお得になります。

まとめ

以上により、ITエンジニアであれば読書ターゲットとして洋書を視野に入れて損はありません。

これからも私が実践している読書法を紹介していく予定です😀

References

1 日本の出版社側は分厚くならないように、文字フォントを小さくしたり、薄い紙を使ったりと色々な工夫を施します。