ミジンコでもわかる医療費控除
目次
はじめに
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
コーストFIRE中のIPUSIRONです😀
2021年7月の時点で、私はCPAPのレンタル、血圧の薬で毎月約6kぐらい医療費がかかっています。つまり、年に72kの医療費がかかります(一種の固定費といえる)。たまに歯医者にかかっても、年に10万円の医療費がかかっていませんでした。
ところが、父が亡くなって以降は、世帯分離を辞めて、祖母と同一世帯になりました。つまり、祖母の医療費が合算して考えると、今年からは医療費が10万円を超えるのが確定します。そこで次回の確定申告に備えて、医療費控除について調べたので、ついでにブログのネタにした次第です。
CPAPについては次の記事を参考にしてください。
独断と偏見によるセミリタイアへの必須度
項目 | 概要 |
---|---|
シーン | 守る力。 |
金銭的リターン | 課税所得が減る。よって所得税が安くなる。 |
金銭的コスト | 特になし。 |
時間的リターン | 特になし。 |
時間的コスト | 日頃から保険が適用された支払いの領収書をまとめておく。 確定申告書を作る際に、その領収書を集計する。 昔のように領収書を提出する必要はなく[1]、保存しておけばよい(これでかなりハードルが低くなった)。 |
総合ランク(S>A>B>C>D) | セミリタイアへの必須度はSランク。 確定申告の中でも比較的簡単なものなので、しっかりと内容を把握したうえで、控除をしっかりと使い切りましょう。 |
医療費控除の特徴
- 所得控除のひとつ。
- 様々な節税方法があるが、その中でもっともポピュラーな控除方法。
- 確定申告をする必要がないサラリーマンであっても、医療費がかさんでいれば医療費控除を受けるだけのために確定申告をすることもあるだろう。
- 世帯全員[1]自分+同一生計の親族。の医療費が年間10万円を超えた場合が対象。その超えた金額を所得から控除できる。
- 世帯全員なので、医療費を家族で合算できる。そのため簡単に10万円を超えるのではないだろうか。
- 補填された金額(保険金など)を除く。
- 医療保険の支払いがあったときはこれに該当する。
- その年に申告を忘れたとしても、5年前まで遡って医療費控除を申告できる。
税務署でバイトをしていた頃の体験談です。
申告会場に相談を受けに来た人であれば、領収書を見せるだけでその場で集計が終わったら、その束は提出せずに持ち帰ればよいという指導されていました。
一方、確定申告は郵送されたり、回収ボックスに投函されたりするケースもあります。そういった場合は医療費の領収書の束を一緒に入っているというケースがありました。
提出された確定申告書一式は税務署に集められて、最終的にバインダーにファイリングして保管室に保存しておきます。そのファイルを作る際に、医療費の領収書の束は無駄に厚いためいつも邪魔者扱いされていました。
医療費控除の対象になるもの、対象にならないもの
国税庁のサイトに書かれています。
わかりやすく以下にまとめました。ポイントは「保険適用の有無」にこだわらず、「治療」というキーワードに注目することです。
税金については税務署の判断が正となります。つまり、いくら本にこう載っていたから、ネットにこう書いてあったからといっても通用しません。
不安なら自分で税務署に電話をして確認しましょう。ただし、電話でOKをもらっても、確証を得たことにならないので(証拠がない)、少ない確率ですが申告後に覆ることもありえます。
対象になるもの
- 病院や歯科医院における診療費や治療費
- 健康保険が適用された場合のみ。ここでいう健康保険とは、自営業なら国民健康保険や文芸美術国民健康保険など、サラリーマンなら協会けんぽや健康保険組合、公務員なら共済組合のこと。
- 処方された医薬品
- ただし、治療に必要な医薬品のみ。
- 治療を目的とした、はり、きゅう、マッサージ指圧
- 出産費用
- 診察、入院など全額が対象。
- ただし、出産に伴い役所に申請して補助金が出るはず。それは出産費用の補填として扱われるので、計算上は差し引くことになる。
- 不妊治療
- 「治療」という単語が含まれているなので、治療行為そのものであり対象。
- 入院の対価として支払う部屋代や食事代
- シーツ、クリーニング代
- 医師の診断を受けるために必要とされる、義手、義足、松葉づえ、義歯や補聴器等の購入の費用
- 病気の治療のために購入した市販の医薬品
- セルフメディケーション税制の対象の医薬品の購入費
- 通院に通うための公共交通機関の費用
- 電車、バスの交通費
- タクシー代については「公共交通機関が使えない」「緊急時で仕方なく」という条件であれば対象になる。
- 虫歯治療
- 高額なセラミック、歯列矯正、インプラント
- 治療のためであれば対象。
- 入れ歯、差し歯、金歯などの歯の治療
- 治療なら対象、美化のためなら対象外。
- 歯科医が治療と証明するかどうか。
- 介護費用
- 介護保険適用者のみ。
対象にならないもの
- 健康診断、人間ドック
- ただし、異常が見つかって(保険が適用された)指導や治療を受ければ、その分については対象になる。
- 予防接種
- インフルエンザの予防接種は、治療ではなく予防なので対象外。
- ただし、インフルエンザにかかって診療を受けたら、それは治療なので対象になる。
- 入院費の一部
- 差額ベッド代…国税庁の回答による。
- タクシー代
- ただし、公共交通機関が使えない場合はタクシー代も対象になる。
- 自家用車で通院した交通費
- つまり、ガソリン代、駐車場代
- 健康増進のために購入したサプリメント、ビタミン剤など
- 美容整形
- 治療を目的としない、はり、きゅう、マッサージ指圧
- 治療を目的としていない、近視や遠視のための眼鏡、補聴器の購入費用
- 親族に支払う療養上の世話の対価
実際にいくら控除されるのか
平成29年1月以降からセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が適用されようになりました。特定の市販薬の購入を対象とした控除です。年間1万2千円を超える場合に適用されます(上限は8万8千円)。
対象の市販薬はOTC医薬品といわれ、約1,500品目もあります。厚生労働省のサイトに掲載されています。また、パッケージやレシートにも記載があります。例えば、バファリン、エスタックイブなどが挙げられます。
さらに、セルフメディケーション税制を受けるには、健康の保持増進への取り組みが要件としてあります。つまり、予防接種や健康診断が必須です[2]検診、予防接種そのものの費用は計算から除外します。。
ドラッグストアで薬を買う場合にもレシートは捨てないようにしましょう。
月1k以上購入していれば、セルフメディケーション税制の対象になる可能性があります。後述するように選択性なので、実際に選択するかどうかは別です。
確定申告時には医療費控除か、セルフメディケーション税制のどちらかを選択して使うことになります(選択式になっていて、どちらかしか使えない)。
どちらを選択したほうが得かどうかは、両方を計算しなければわかりません。
手動で計算する
AとBを計算します。
- (通常の)の医療費控除
- A=(医療費控除の対象となるものの合計額)-10万円[3]所得金額が200万円未満であれば、10万円の代わりに所得金額の5%の値を使います。
- ただし、Aは最高200万円
- メディケーション税制(医療費控除の特例)
- B=(対象医薬品の合計額)-1万2千円
- ただし、Bは最高8万8千円
ざっくりと10万円を超えるかどうかが肝になりますが、所得が低い場合には以下が適用されます。
AとBの大小を比較して、大きい方を選択します。
[1]A>Bの場合…通常の医療費控除を選択する。控除額はAになる。
[2]A=Bの場合…どちらを選択しても同じ。控除額はA(=B)になる。
[3]A<Bの場合…セルフメディケーション税制を選択する。控除額はBになる。ただし、「一定の取組」証する書類が必要になる。
プログラムの力に頼って計算する
医療費を集計したら、e-Taxのページから実際に数字を入力するのがもっとも簡単です。いちいち自分で数値を計算する必要はありません。
国税庁がYoutubeに医療費控除についての動画をアップしており、この通りにe-Taxを操作するだけです。
おわりに
確定申告をしたことがない人にとっては複雑に思えるかもしれませんが、実際はそうでもありません。
特にサラリーマンであれば確定申告をしない人もいることでしょう。自力でできないのであれば、確定申告の時期に確定申告コーナーで相談してください。会社で年末調整をして後に交付された源泉徴収票と、医療費の領収書と持って行くだけです。
確定申告の締め切り月ではなく、その前月(2月)は地域差がありますが比較的空いています。職員や臨時職員たちは暇そうにしているので、手取り足取り教えてくれるはずです。集計も現場でやってくれることでしょう。
私は過去に臨時職員として確定申告コーナーでバイトをしていましたが、「サラリーマンで医療費控除のみ」という人が来た場合はものすごく仕事が簡単だったのでラッキーと思っていました(当時はセルフメディケーション税制もなかったのでさらに簡単だった)。