IPO投資の基本の基本
目次
- 1 はじめに
- 2 独断と偏見によるセミリタイアへの必須度
- 3 IPOとは
- 4 IPO投資の代表的な戦略
- 5 初値売りを推奨する理由
- 6 IPO投資と名称が似ているが、実態は異なるモノ
- 7 IPOの流れ
- 8 IPO銘柄を初値売りする方法
- 9 ミジンコのIPO投資の成果
- 10 IPOの当選確率を上げるには
- 10.1 資金効率がよい証券口座を活用する
- 10.2 取り扱う株式数が多い証券口座を活用する
- 10.3 IPO案件の実績が多い証券会社を活用する
- 10.4 完全抽選率の割合の大きい証券会社の口座を作る
- 10.5 ライバルの少ない証券口座を活用する
- 10.6 メインの証券口座をフル活用する
- 10.7 同一資金をやりくりして複数のIPOに申し込む
- 10.8 IPOで有利な条件を設けている証券口座を活用する
- 10.9 家族名義の口座を活用して、当選確率を倍々にする
- 10.10 大型IPOなら特定の証券会社を使う
- 10.11 資産が潤沢にあれば、1口1票制が有利
- 10.12 証券会社から営業でIPOをもらう
- 10.13 ランクCのIPO銘柄も視野に入れる
- 10.14 申し込む証券会社の優先度を決める
- 10.15 資金移動が大変なので証券会社に現金を入れておく
- 11 結局のところどの証券会社がよいのか
- 12 IPO投資する資金がない
- 13 利益につながりにくいIPO銘柄の特徴
- 14 おわりに
はじめに
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
コーストFIRE中のIPUSIRONです😀
コツコツやるのが好きな人に向いている戦法のひとつです。
IPO投資だけではセミ・リタイアするほどの資金を儲けるのは無理ですが、たくさん実践する投資のひとつとして採用するのは有効と考えています。
ここで述べているIPO(新規株式公開)とは、怪しい会社のIPOではなく、証券会社が広く募集している真っ当なIPOのことです。「あなただけにIPO株を権利を与える」といったIPO詐欺ではないので、安心してください。
独断と偏見によるセミリタイアへの必須度
項目 | 概要 |
---|---|
シーン | 増やす力 |
概要 | 上場前に株を割安で入手して、上場直後に売却して利益を得る手法。 IPOに応募するだけなら無料。例えるなら「タダでできる宝くじ」といえ、後は「やるかやらないかだけ」である。 証券会社は、IPO(新規上場株式)の購入者を事前に募集する。 IPO投資系のブログを見ると、評価・ランク(初値売りで利益の出しやすさ)や利益額などを予想している。 ランクS、A、Bであれば、初値売りで9割超の確率で利益を期待できる。 つまり、当たればほぼ儲かるというわけである。逆に、人気がある会社は応募が殺到し、当たりにくい。 |
リターン(プラス面) | ・(当選さえすれば)ほぼプラスを期待できる。マイナスにならないなら、生活防衛資金を回せることを意味する。 ・誰にでもできる。 やることはシンプル。「抽選応募⇒(当選したら)売却設定」のこれだけ。 投資の入り口や出口について戦略を考えることはなく、マウスをポチポチと手を動かすだけ。 IPOの購入権利を当てるという運が一番重要。 運を上げることは難しいかもしれないが、試行回数を増やせば当選確率は上げられる。つまり、応募する口座を増やすのが有効な戦略となる。 よって、投資センスはまったく不要。根気よく応募するだけ。 ・ポイントサイト経由で口座開設することで、ポイント(実質現金)を得られる。初期投資資金に回せる。 ※IPO投資サイトのリンクから口座開設すると現金キャッシュバック的な特典は得られないので、注意すること。現金以外(例えば特別冊子)の特典があっても、お金を増やすという観点ではほとんど意味がない。 ・投資初心者でも利益を出せる。 銘柄のファンダメンタル分析やテクニカル分析は不要。 IPOの評価サイトを参考にして、高ランクのIPO銘柄に絞ればよい。 ・比較的少額で始められる。 IPO銘柄にもよるが、30万円ほどあれば100株購入できる場合が多い。 ・資金の拘束時間が短い。 資金の拘束時間はせいぜい2週間ぐらい。株主優待クロスより、資金拘束時間が短い。 当選後に入金するタイプの証券会社であれば、そもそも当選しなければ資金が拘束されることがない。 ・新規公開株を購入する際に、購入手数料がかからない。 ※売却時は通常どおりに手数料がかかる。 ・短期間で成果が出る。 株の長期保有は不要。 |
コスト(マイナス面) | ・人気銘柄のIPOは当たりにくい。 ・初回だけだが、たくさんの証券会社で口座開設する必要がある。 ・「BB応募⇒当選確認⇒(当選したら)購入⇒初値売り」といったやることが多い。 口座が多ければその分当選確率を上げられるが、やることも増える。 複数の口座の応募状況を把握し、資金を管理する必要がある。 ・証券会社によっては、応募の時点で資金が拘束される。 ・3月や9月といった権利付最終日が集中する期間と、IPO銘柄の上場期間がバッティングすると、資金効率が厳しくなる。どちらを優先するか判断する必要がある。 ・初値が公募価格を下回るケースがまれに怒る。 高ランクのIPOであれば、損する可能性はとても低いがゼロではない。 ・何百万円のような額を儲けることはほぼ期待できない。数万円~十数万円ぐらいの利益です。 IPOに当選しても得られる株数は100株(1単元)程度。場合によっては多めに当選しても数百株。 加えて、初値は公募価格の数倍(高くても4倍)程度までしか期待できない。 ※公募価格が大きいもののほうが、結果として大きく儲かりやすい。同じ暴騰率であっても、株価が大きければ儲けが大きくなるため。 ・IPO投資に資金を回せば、別の投資で得られるべき利益の機会損失になる。 運よく抽選に当たればプラスになるが、外れればゼロである。外れることのほうが圧倒的に多い。つまり、当たらない間ずっと機会損失になるわけである。 |
総合ランク(S>A>B>C>D) | セミ・リタイアへの必須度はCランク。 IPO投資のために現金を保有するのは、機会損失の可能性が大きいといえる。ある程度の現金があれば、早く市場に投入した方がよい[1] … Continue reading。例えば、インデックスファンドの一括投資など。 ただし、生活防衛資金をIPO投資に回すのはあり。とはいえ、確実にプラスになる株主優待クロスを優先したほうが得しやすい。優待がほとんどない月であれば(あるいは現金が残っていれば)、IPO投資に挑戦するというスタンスがよいだろう。 |
後述しますが、(高ランクのIPO銘柄の)当選確率はせいぜい1%程度です。
※逆にいえば、100回応募したら1回当たることは期待できる。
セミ・リタイアのためにIPO投資をするというより、セミ・リタイアしてからのほうが時間に余裕が出るのでIPO投資に向いているでしょう。
また、IPO投資に全資産を投入するのは無駄すぎます。外れるのが当たり前の世界ですので、他の投資と併用するのが基本となります。
IPOとは
IPO(Initial Public Offering)とは、新規株式公開のことです。
株式会社が新たに上場することで、株式が新規公開されることです。
未上場の場合は一般の投資家はその会社の株式を買えませんが、上場すれば証券会社を通じてその会社の株式を買えるようになります。
IPO投資の代表的な戦略
初値売り
IPOする会社の株を上場前に手に入れて、その株が上場したらすぐに売って利益を出すという投資戦法です。
IPOする会社にもよりますが、ランクが高い銘柄であれば、ほとんどの場合公募価格より上の株価で初値が確定します。
※板寄せ方式が採用されており、売累計(累計売り注文数)と買累計(累計買い注文数)のバランスが取れたところで初値が確定します[2]成行注文がすべて約定するという条件も必要ですが、2023年6月以降は成行注文ができなくなったので、これについては考えていません。。
本記事では初値売りに解説して解説しています。
セカンダリー投資
新規公開株は人気が高く、抽選に当選するのはとても難しいです。しかし、上場した後であれば、誰でも売買できます。つまり、上場してから株価の動きを見て売買するのがセカンダリー投資になります。
IPO直後は株価の振れ幅が大きい(リスクが大きい)ので、短期売買でもうまくはまれば大きく勝てます。
上場後しばらく経って人気が下火になった結果、割安になることがあります。これを狙う中期売買のセカンダリー投資もあります。
初値売りを推奨する理由
上場する前に仮につけられた株価のことを公募価格といいます。IPOの抽選に当選すると、公募価格で買う権利が得られます。
対して、上場後に初めてついた株価を初値といいます。
メリット① 上場直後は値上がりしやすい
- IPO銘柄は上場後にほとんど値上がりする。約8割は値上がりする。
- 特に、将来が期待されている会社は、ランクが高く予想されており、そういったIPO銘柄であれば、ほぼ値上がりする。約95%は値上がりする。
- 値上がりする理由は、公募価格が割安なため。
- なぜなら、上場する会社は株が売れ残ってしまうと資金調達に困るから、売れ残らないように割安になっている。
- この割安価格をIPOディスカウントという。
- IPOは数量が限定されているので、上場前に入手できる投資家は少ない。そのため、希少価値が高い。魅力的な会社であれば、欲しいと思っていた投資家が集まり、結果的に株価が上がりやすい。
- 上場直後は株価が乱高下しやすい。値幅(ボラティリティー)が大きいということは投機対象になる。デイトレーダーやセカンダリー投資家が集まる。
メリット② 頭を使う必要がない
- 評価の高いIPO銘柄だけに応募する。そして、当選したら、公募価格で買って、初値売りで売るだけ。
- 売る値段を考える必要がない。
- 初値がついた後に、さらに値上がりすることもあるが、それは諦める。逆に初値売りで助かることもある。その確率が半々だと考えれば、そもそも売り時を考えるだけ損。余計な欲をかくと、初値より損する可能性が生じる。
IPO投資と名称が似ているが、実態は異なるモノ
PO投資
PO(Public Offering)とは、公募増資と売り出しのことを指します。
公募増資(単に公募とも呼ぶ)とは、既存の上場会社が新たに株式を発行して、投資家から広く資金を調達することです。
対して、売り出しとは、既存株主が保有する株主を売却して、投資家に買ってもらうことを目的にします。新たに株を発行しません。
公募価格は市場価格より割り引きされた価格になります。
PO投資とは、POに応募して、当選したら即売りします。つまり、その割引価格分少し得する可能性があるということです。
※IPO投資は初値が公募価格よりはるかに値上がりしやすいことを狙った投資になりますが、PO投資はディスカウント価格と市場価格の差額を狙う投資になります。
PO投資では数%の差額を狙うわけで、爆益の可能性は少ないですが、IPOより圧倒的に当選しやすいです。つまり、利益を積み重ねられる回数が多いということです。
※IPO投資とPO投資のどちらか片方をやらないと駄目というわけではなく、両方ともやればチャンスはより増えます。
余談ですが、公募・売り出しの数量を超える需要があった場合は、主幹事証券会社は大株主から一時的に株を借りて追加で投資家向けに販売します。
これをオーバーアロットメントといいます。
オーバーアロットメントでの株数は、本来のPOの株数の15%が上限となります。
IEO投資とICO投資
IEO(Initial Exchange Offering)とは、仮想通貨の発行体が仮想通貨取引所を介して行う資金調達のことです。
投資家にとって、将来値上がりするかもしれない新しい仮想通貨に、上場前から投資できるというメリットがあります。
ICO(Initial Coin Offering)とは、仮想通貨取引所を仲介せずに、企業が独自に仮想通貨の発行を行資金調達のことです。
IEOとICOを比べると、IEOのほうが信頼性が高いといえます。
IPOの流れ
1:上場申請⇒対外公表⇒上場承認
上場を希望する企業がすべて上場できるわけではありません。
上場の申請書を提出します。その際、株主数、時価総額、直近の利益合計、事業計画、経営状態、ガバナンスなどを審査されます。
上場が承認されれば、上場予定が世間一般に公開されます。
2:仮条件決定
上場企業と主幹事証券会社が、ブックビルディングのための仮の株価を決定します。これを仮条件決定といいます。
※機関投資家のもとを訪ねて個別面談をします(これをロードショーという)。そこで会社の目論見書を使って事業内容を説明し、そのうえで機関投資家から株価の妥当なレンジや発行条件をヒアリングします。出てきた株価のレンジを平均して算出した結果が、仮条件の株価の候補となります。
※さらに、同業他社の株価も参考にして妥当な株価を見積もります。これを類似会社批准方式といいます。ただし、同業他社とほぼ同一の価格では売り切れない可能性があります。そこで、少し割安な水準にして、公募価格にします。このように割安に設定されることをIPOディスカウントといいます。平均すると、ディスカウント率は20~30%が多いようです。
例えば、1,000~1,200円のように幅を持たせた株価になります。
3:需要申告(ブックビルディング)
投資家に仮条件を提示し、投資家が「いくらでどれくらい買いたいか」を調査する目的で実施されます。
この時点で、投資家が購入希望の株価と数量を証券会社に申告します。これを需要申告やビックビルディング(BB)といいます。
IPO投資のために上場前にその企業の株を欲しい場合は、この段階で申告します。
多くの証券会社では、この申告がIPOの抽選への参加を意味します。
BBのやり方自体は簡単です。抽選申込み期限内に、欲しい株数と金額を入力して、数回クリックするだけです。
※BBに参加しなかった投資家は、IPOの抽選に申し込めません。
4:公募価格(公開価格)の決定
ブックビルディングへの申込みを集計して、実際に株を売り出す際の公開価格(これを公募価格という)を決定します。
一般に、人気のIPOであれば、幅を持たせた仮の株価の最大値になります。
※IPO投資のためにBB応募する場合は、最大値あるいは成行で申請するのが基本になります。
5:抽選
ほとんどのIPOでは人気が集中するため、抽選になります。需要申告した人に抽選券が与えられます。
6:購入の申込み
抽選に当選した場合は、購入申込みが必要になります。
※せっかく当選したのに購入申込みを忘れてしまうと、IPO銘柄を買えない結果になるので注意してください。
当選しても、気が変わって買いたくなければ辞退できます[3]楽天証券は特殊なのでできません。。ただし、ペナルティーのある証券会社があるので注意してください。
7:上場
定められた日に上場します。
この日からIPO銘柄を市場で売買できます。
※初値売りの戦法では、上場前にIPO銘柄を抽選で勝ち抜いて獲得し、上場日に売ることになります。
証券取引所は市場が開く際に売買注文をすりあわせらせます。その際、成行注文を先に処理する板寄せ方式が採用されています。
制限値幅から外れるぐらい極端に売買注文が偏ると、特別気配となり、売買が一時停止します。偏りがなくなるまで初値が変動します。
売り注文の数が買い注文の数をはじめて上回ったときに、初値がつきます。
ただし、上場日は買い注文が殺到しがちであり、一日中ストップ高が続けば、初値がつくのは翌営業日に持ち越されます。
※IPOの値幅上限は2.3倍、下限は0.75倍です。証券取引所が値幅制限を設けているのは、加熱・不安を抑えて、冷静な判断をうながすようにするためです。
初値がついたら、後は通常の銘柄と同じく売買ができます。
信用取引のうち、制度信用取引は賃借銘柄に指定されるまで売買できませんが、一般信用取引については上場当日から売買できる証券会社もあります。
IPO銘柄を初値売りする方法
基本的流れは次の通りです。
1:IPOに応募する。
2:当選したら購入手続きをする。
3:初値売りする予約注文を入れる。
※2023年6月からIPO銘柄を成行売りで注文できなくなりました。代わりに、公募価格の「4分の1」~「2分の1」ぐらいで指値売り注文をします。成行売りと同等の結果が得られ、初値売りを実現できます。
※この手法が納得できなければ、公募価格で指値売り注文をしてもよいでしょう。これなら公募価格以上で絶対に売るということになります。公募割れしなければ初値売りと同等、公募割れが起きたら初値売りにならず、公募価格になるまで売り注文が通りません。つまり、常に初値売りにならないことだけは留意してください。
4:上場したら初値がつくまで待つだけ。
ストップ高により翌営業日に持ち越すこともあります。
SMBC日興證券
現大和コネクト証券(旧CONNECT)
ミジンコのIPO投資の成果
過去のデータから、私の当選率は1%を切っています。
懸賞応募でも当選率は2~3%であり、手間の割に当選率が低いと思うかもしれません。
しかし、IPOの場合は当選さえしてしまえば、数万の利益がほぼ確定するといえます。
つまり、低確率ですが、当たれば(抽選でもらえる品と比べて)そこそこの利益になるわけです。
私は応募し続けていけば年に1回ぐらいは当選するとポジティブに考えています。
効率が悪くても、あえてやるか、やらないかは個人の自由です。
IPO投資のための時間を事業や勉強に投資した方が効率がよいという場合もあることでしょう。
2023年(8月時点)の結果報告【当選1件、当選率0.6%、利益7万5千円】
当選したispaceは初値売りせずに、ずっと保有しています。もし初値売りしていたら+75.4kでした。
2022年の成果報告【当選2件、当選率0.8%、利益14万2千円】
248回応募して、2回当選でした。当選率は0.8%になります。
収支についてはSMBC日興証券で+88k、CONNECTで+54kでした。
IPOの当選確率を上げるには
IPO投資のためにはIPOの抽選に当選しなければなりません。
IPOに当選する確率を上げるには、基本的に応募数を増やすというのが基本戦略になります。
例えば、A社のIPOが実施されるとします。そのとき、複数の証券会社でA社のBBが開始されます。
つまり、それら複数の証券会社に口座を持っていて、応募の手続きをすれば、それだけで当選確率が上がるということです。
応募数を増やすのが攻略の鍵であるため、IPO投資ができる証券会社をできるだけたくさん揃えておくことが重要となります。
ただし、当選しやすい証券会社、資金効率がよい証券会社など、優先すべき証券会社はあります。
それらについて見ていきましょう。
資金効率がよい証券口座を活用する
「応募時に資金が不要」「IPO当選後に入金すればよい」といった、前受金不要の証券会社を活用することで、資金移動の手間や資金拘束によるデメリットを回避できます。
この種の証券会社については、保有済みの口座すべてを申し込みましょう。
例えば、次の証券会社が挙げられます。
- 野村證券
- 松井証券
- 岡三オンライン証券
- SBIネオトレード証券
- JTS証券
- DMM.com証券
個人的にはこの種の証券会社はフル活用すべきです。
貯金が数百万円にあり、万が一たくさんの株数が当選した場合にも対応できれば、BB時に100株とかに絞らないで、1,000株のようにしておけばよいでしょう。
取り扱う株式数が多い証券口座を活用する
IPOを扱う証券会社として、次の用語が登場します。
幹事 | 上場を目指す会社をサポートする証券会社。 |
主幹事 | 幹事会社の中でもっとも中心的な役割を果たす証券会社。 IPOの全体的な作業・管理を行う。 |
引受幹事 | IPOの引き受け、販売を行う証券会社。 |
委託幹事 | 主幹事証券から販売を委託された証券会社。主幹事の補助的存在。 主幹事や幹事の同系列あるいは同グループの証券会社が担当することが多い。 目論見書に主幹事と幹事は載るが、委託幹事は載らない。上場承認から数日後に発表されることが多い。そのため、気付かない投資家がいれば逆にチャンスになる。 |
いつも決まった証券会社が主幹事になるわけではありません。会社AのIPOの主幹事は○○証券会社、会社BのIPOの主幹事は△△証券会社といったように、変わります。ただし、主幹事に選ばれやすい証券会社はあります。
主幹事証券会社はIPOの主導的な役割を果たすため、株式の割合が大きくなります。場合によっては1桁も大きくなります。
主幹事証券会社になりやすいのは、次の証券会社です。一般的に昔からある大手証券会社になります。
主幹事 | 同グループの委託幹事 |
---|---|
野村證券 | LINE証券 ※2024年からなくなる。 |
SBI証券 | SBIネオトレード証券 SBIネオモバイル証券 ※2024年にはなくなる。 |
大和証券 | 大和コネクト証券 |
みずほ証券 | PayPay証券 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | auカブコム証券 |
岡三証券 | 岡三オンライン証券 |
SMBC日興證券 |
IPO案件の実績が多い証券会社を活用する
年間当たりのIPO案件の取扱いが多い証券会社だと、それだけ応募できるチャンスが増えます。逆に取扱いが少ない証券会社だと、応募のチャンスが減ります。
※ただし、代わりにライバルが少なく穴場という可能性があります。
IPO案件の実績が多い証券会社であれば、資金を移動させずに連続で応募できることになります。
例えば、IPO案件が多い証券会社として次が挙げられます。
- SBI証券
- 野村證券
- 大和証券
- SMBC日興證券
完全抽選率の割合の大きい証券会社の口座を作る
IPOの抽選方式は、3つに大別できます。
抽選方式 | 概要 |
---|---|
完全平等抽選 | ・1人1票制の抽選。証券口座を持つ投資家1人が1回だけ抽選される。 ・誰でも平等な当選確率。 |
口数比例抽選 | ・1口1票制の抽選。申込む株数(1単元単位)に比例して当選確率が増える方式。 ・資産が多いほど有利。 ・例えば、1単元申込みで1口の抽選券、100単元申込みで100口の抽選券になる。 |
ステージ制 | ・証券会社独自の方式。 ・預かり資産、信用建玉数によって、ステージが上がる。 ・ステージが上がると、IPOに当選しやすい。 |
「完全抽選制を採用した」「完全抽選率の大きい」証券口座であれば、資金量が少なくても当選が平等になります。
ネット証券の多くがランダム抽選制を採用していますが、一部の証券会社は一定割合だけランダム抽選対象といったシステムを設けています。
例えば、野村證券やみずほ証券は10%しか完全抽選制になりません。一方で、主幹事になることが多く、その分取扱い株数が多いため、10%の完全抽選制であっても、その対象株数が比較して他の証券会社ぐらい存在することもあります。
ライバルの少ない証券口座を活用する
口座開設数が少ないということは、IPOの抽選時のライバルが少ないことを意味します。
メインの証券口座をフル活用する
メインに使っている証券口座であれば、ある程度の現金があるはずです。
例えば、楽天証券をメインに使っているとします。
楽天証券の口座に現金がなくても、(ほとんどの場合)銀行と連動して自動入出金の設定をしているはずです。
よって、資金を移動しなくてもすでに手元にあるため、IPO応募時に資金拘束されたとしてもあまり問題とはなりにくいといえます。
同一資金をやりくりして複数のIPOに申し込む
前受金不要の証券口座については全部申し込んでおけばよいでしょう。
逆に前受金が必要な証券会社については、その証券会社の特徴次第で同一資金を使って複数のIPOに申し込めます。
同一資金可の証券会社なら話は簡単です。3つのIPOのBB期間が被っている場合、その中でもっとも高い公募価格の分だけ口座に入れておけば、3つすべてのBBに応募できます。
同一資金可である証券会社は次の通りです。
- SBI証券
- みずほ証券
- 大和コネクト証券
- 丸三証券
- 大和証券
- 東海東京証券
- 岡三証券
しかし、問題は銘柄ごとに資金が必要になる証券会社です。3つの公募価格の合計額が必要になります。
前期型の抽選終わった後に、後期型の抽選が行われます。タイムラグをうまく利用すれば、同一資金で同一銘柄の抽選のチャンスが出てきます。具体的にいえば、前期型で落選したら、後期型に資金を移動させてしまうのです。
スケジュールと資金の管理が面倒になりますが、当選確率を上げられます。
IPOで有利な条件を設けている証券口座を活用する
各証券会社はIPOについて独自のルールを設けていることがあります。その中には当選を優遇するものがあり、それを狙う手も有効です。
SBI証券はIPOに外れてもポイントが貯まる
- IPOチャレンジポイントあり。
- IPOに外れてもポイントが貯まる。
- ポイントを使えば抽選が当たりやすくなる。
- 評価が高いIPOのときにポイントを使って当選率を上げるとよい。
- 紹介によってIPOチャレンジポイントをばらまいているので、ポイントの価値が低下している。つまり、200ptぐらいでは評価A以上のIPOを当てにくい。
- 資金が多ければ10万株希望とか出しておけば自動的に調整してくれる。
SMBC日興證券は大口優遇を満たせば当選率が上がる
- SMBC日興證券にはステージというが大口優遇に相当する仕組みがある。
- ステージ別の抽選があり、ステージが高ければ、投票数が数倍になる。よって、当たりやすい。
- 250万円置いておくだけでもブロンズステージになり、1票もらえる。
- プラチナステージは25票なので、ブロンズと比べて25倍当選しやすい。
SMBC日興證券で3月・9月に1,000万円ぐらい株主優待クロスをしていれば、ブロンズステージに達成することはよくあります。このときにIPOがあればよいのですが、こういうときに限ってIPOは少なかったりします。
大和コネクト証券にはユニークな優遇条件がある
- 信用取引口座があると当選確率がアップする。他にも優遇条件があるのでチェック。
- 特に、39歳以下であればそれだけで優遇されるので大チャンス。
家族名義の口座を活用して、当選確率を倍々にする
単純にいえば、配偶者がいれば2倍、さらに子供が2人いれば4倍の口座数になります。つまり、IPOの当選確率を純粋に倍々に増やせるわけです。
子供の口座を持つことはIPO投資で有利に働きます。ただし、子供の口座開設は、大人の口座開設と比べて手間がかかります。一般に書類を取り寄せて、申請することになります。
※野村證券は例外的に未成年口座でIPOに応募できません。
家族名義の口座を使い始めると資金管理が大変になります。そのため、BB申込時に資金不要の証券口座を優先して開設するとよいでしょう。
ポイントサイトは12歳以上・13歳以上といったような年齢制限がありますが、それさえクリアしていればアカウントを作れます。
ただし、未成年口座の開設でポイントがもらえる案件はほぼありません。
この戦略は株主優待投資と相性がよいので、(信頼できる配偶者がいれば)超おすすめです。
※家族とはいえ資金を移動することは贈与に値するため、贈与税に引っかからないように注意してください。
大型IPOなら特定の証券会社を使う
吸収金額が100億円以上あれば大型IPOになります。
大型IPOの場合は株価が上がりにくいというマイナス要因はありますが、注目度が高ければ初値売りで利益を出せる可能性があります。
特定の証券会社で大型IPOを申し込むことで、確実に当選(申込み者が全員当選)することがあります。
例えば、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、こうした全員当選という実績が何度もあります。
※三菱UFJモルガン・スタンレー証券が主幹事なら、子会社であるauカブコム証券でも高確率で当選します。同時に申し込みましょう。
資産が潤沢にあれば、1口1票制が有利
抽選のルールとして、「1人1票制」と「1口1票制」があります。
1人1票制は資金量に関係なく、1人当たり1票の抽選券が得られます。一方、1口1票性は、資金量が多ければ口数が多く応募でき、その分だけ抽選券が多く得られます。
よって、資金量が少なければ平等感のある1人1票制が有利、資金量が多ければ1口1票性が有利ということになります。
資産が潤沢であれば、SBI証券やSMBC日興證券を検討してみてください。
噂によれば、SBI証券が主幹事であれば、5,000万円以上預けていればIPOに当たりやすいようです。
また、SMBC日興證券は独自のステージ制を設けていることを説明しました。5,000万円以上預けていれば、ステージ別抽選で25票をもらえます。
SMBC日興證券のステージ制のちょっとした裏技。
ステージは3ヶ月の月末残高の平均で判断されます。
つまり、月末だけにお金を預けておいて、翌日の1日に全額引き出してもよいということです。
IPOのBBが月の上旬~中旬に集中している場合、SMBC日興證券とSBI証券の両方をよいところを活用できる可能性があります。
ステージ判定のために月末にSMBC日興證券に大きな金額(ここでは5,000万円とする)を預けます。
翌日に5,000万円をSBI証券に移動して、BBの資金として活用するわけです。
SBI証券は1口1抽選制かつ上限方式であるため、資金が潤沢にあれば当選しやすくなります。
証券会社から営業でIPOをもらう
対面(店頭)の大手証券会社、証券会社の大口取引(お得意様)という特殊な状況であれば、証券会社側からIPOの営業が来ることがあります。ただし、よいIPOであれば、証券会社の確保している株数が少なく価値があるので、選りすぐりの顧客に渡すことになります。よって、IPOの営業が来たからといって、いつもよいIPOとは限りません。
「店頭配分をもらう」「プラチナステージを得る」という目的で数千万円を現金のまま保持するのは、機会損失になりかねません。
「5,000万円預けてIPOで数十万程度の利益を得ること」と「インデックス投資で1%上げて50万円利益になること」を比較すると、損失可能性の差はありますが、チャンスの数は圧倒的に後者に軍配が上がります。
IPO投資は損失が出ないといっても割に合いません。
ランクCのIPO銘柄も視野に入れる
ランクB以上であればほぼ公募割れは起きないでしょう。
ランクCになってくると公募割れの可能性が出てきます。あえて損失が出るという可能性を受けいれたうえで、IPO当選のチャンスを増やしにいくという戦法もあります。
IPOに当選しても、本当に購入するかはじっくり決めればよいのです。
※購入辞退の可能性があれば、ペナルティーがある証券会社を避けましょう。
申し込む証券会社の優先度を決める
たくさん口座があるからといって毎回全部を活用しなければならないわけではありません。
資金や作業の効率の観点から、当選確率が高まる口座を優先すべきです。
「常に申し込む」「主幹事なら申込み」「幹事以上なら申し込む」「大型IPOで負けないと判断したら申し込む」といったように分類しておけばよいでしょう。
資金移動が大変なので証券会社に現金を入れておく
数十万程度入れておけば、資金拘束されたとしても1回のIPOに耐えられるでしょう。
結局のところどの証券会社がよいのか
口座がたくさんあっても、管理しきれなかったり、資金を回しきれなければ、意味がありません。自分のできる範囲の口座を活用しましょう。
参考に私がIPO投資のために使っている証券口座は次の通りです。
※他にもLINE証券、SBIネオモバイル証券を使っていましたが、統合されてしまいました。
証券会社名 | IPO投資の観点からの特徴 | IPO投資的 おすすめ度 (星3が最大) |
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楽天証券 | ・100%平等抽選。 ・1口1票制。2023年8月までは100株までしか応募できないことが多かったが、最近はそうではない。 申込可能株数は「資産残高÷仮条件の上限」で計算されるので、資産残高(楽天証券の預かり金+楽天銀行の預金)が多いほど、有利となる。 ・後期型。 ・BB申込時に資金は必要だが拘束されない。BB申込み直後に出金できるという意味。その後の購入申込時に資金が必要。 ・「BB申込み⇒購入申込み⇒抽選」となるので、抽選まで2回の申込みが必要。 ・購入申込みが先であるため、当選したとき辞退できない。 | ★★ |
SBI証券 | ・取扱い実績が多い。 ・主幹事の実績あり。 ・IPOチャレンジポイントが貯めておき、どうしても欲しい銘柄のときに使う。 近年はIPOチャレンジポイントのばらまきにより価値が低下しており、400~500pt使わないと当選しないともいわれている。 IPOチャレンジポイントを貯めるためにも、ランクC以下のIPOにも応募しておこう。ただし、ランクが低いIPO銘柄が当選してしまったら辞退すること。 ※IPOチャレンジポイントが貯めやすくなるキャンペーンを実施していることがあるので、随時チェックしておこう。 ・1口1票制であるため、資金量が多いと有利。 例えば、募集価格の上限が1,200万円で、預け金として1,200万円あったとする。その場合、約1万株申し込めます。ただし、これだけ申し込んでも当選するのは100株だけなので、1万株当選するといった心配は不要です。 ・当選時に、当選株数分の金額(=株価×当選株数)が買付余力として拘束される。 ※応募時には買付余力がなくても、抽選時点で余力がなければ、抽選対象外となる。例えば、10万株を応募という戦法ができるが、抽選時にそれに相当する余力が必要になる。余力がなければ自動的に配分されない。特に、IPOチャレンジポイントを使用する場合は余力に要注意。 ・上限方式・・・抽選のたびに、公募価格相当の預け金の有無をチェックする。複数のIPOのBB期間が重なっていれば、最高価格の銘柄の価格相当額を預けておけばよい。つまり、同一資金可。 ※証拠金について上限方式を採用している証券会社として、他には大和証券、みずほ証券がある。 | ★★★ |
野村證券 | ・事前入金不要。資金拘束がないので優先度が高い。 ・主幹事実績が上位。 ・窓口申込みの割当数が大きい。 ・ネット申込みの場合は、完全平等抽選。 | ★★★ |
松井証券 | ・事前入金不要。資金拘束がないので優先度が高い。 ・70%が完全平等抽選。 ・1人1票制。 ・当選を辞退するとペナルティーあり。 ※半年間IPOに参加できなくなる。 ※補欠当選の辞退もペナルティーになる。 | ★★★ |
auカブコム証券 | ・サイトのユーザーインタフェースが使いにくい。 ・ほぼ100%完全平等抽選。 ・申し時点で買付金額以上の買付余力が必要。 ・後期型・・・購入申込み期間後に抽選が行われる。 | ★ |
SMBC日興證券 | ・主幹事実績が多い。 ※主幹事になると80%程度が割り当てられるので当選しやすくなる。 ・IPO取扱い数が多い。 ・ネット配分は15%。15%のうちの10%は完全平等抽選、5%はステージ別抽選。 ※完全平等抽選で落選しても、ステージ別抽選がある。最低のブロンズステージでも1票もらえるので、ステージ別抽選でのチャンスがある。 ・当選を辞退すると、ペナルティーあり。 ※1ヶ月IPOに参加できなくなる。 | ★★ |
岡三オンライン証券 | ・100%完全平等抽選。 ・委託幹事の実績が多い。 ・事前入金不要。資金拘束がないので優先度が高い。 ・1人1票制。 ・取引量が多いと有利なステージが用意されている。 ・IPO取扱い数、主幹事数が少ない。 | ★★ |
マネックス証券 | ・100%完全平等抽選。 ・取扱い実績が多い。 ・同一資金不可。 ・抽選申込時に資金拘束。 | ★ |
SBIネオトレード証券 | ||
大和コネクト証券 (旧CONNECT) | ・大和証券グループが設立したスマホ証券だが、100%ネット抽選分。 ・ネット抽選分の70%が完全平等抽選、残り30%が落選者を対象に優遇抽選。 ・前受制・・・BB申込み時に資金は必要ないが、抽選判定時に資金が必要。 ・同一資金可。 | |
JTG証券 (旧エイチ・エス証券) | ・90%が店頭配分、10%がネット抽選分。 ・ネット抽選については、100%完全平等抽選。 ・IPOポイントという優待抽選制度がある。 | |
岩井コスモ証券 | ・90%が店頭配分、10%がネット抽選分。 ・ネット抽選分の100%が完全平等抽選。 ・後期型。BB申込時に資金は必要ないが、購入申込時に必要。 ・「BB申込み⇒購入申込み⇒抽選」となるので、抽選まで2回の申込みが必要。 |
IPO投資をやるなら、少なくとも5つ以上の主要な証券口座を保有しておきましょう。
どの証券会社が主幹事になるかわかりませんが、複数の証券口座を持っていればカバーできます。
IPO投資する資金がない
投資に回すお金がないと主張する人がいますが、ポイントサイトを経由すると口座開設によってポイントが得られます。そして、そのポイントは現金化できます。
IPO投資のために複数の証券口座をまとめて口座開設するのであれば、ポイントサイトを活用してください。まとまった額のポイント(実質現金)が得られます。
利益につながりにくいIPO銘柄の特徴
ストックオプションの付与数が多い
ストックオプション(SO)とは、従業員が自社株を定められた価格で取得できる権利のことです。
ストックオプションが導入されている会社であれば、従業員が自社株を取得しており、上場後にすぐに売却する可能性があります。そのため、ストックオプションの付与率が多ければ、売り圧力が強くなりがちです。
ベンチャーキャピタルの持株比率が大きい
IPO会社の目論見書の株主構成を見てください。半数以上の会社に株主としてベンチャーキャピタル(VC)が入っています。
※株主構成に「○○投資事業組合」「○○投資事業有限責任組合」という記載があれば、これらはベンチャーキャピタルを意味します。
ベンチャー企業が事業を推進するために資金が必要になったとき、将来IPOすることを前提に資金を提供して株主になってくれた株主が、ベンチャーキャピタルです。
ベンチャーキャピタルはその会社がIPOしたら、市場ですぐに売却することになっています。また、投資家側も「上場後にベンチャーキャプタルが売り込んでくる可能性がある」と心理的にマイナスに影響します。
よって、ベンチャーキャピタルの持株比率が高ければ、売り圧力になります。
ロックアップが短い
ロックアップとは、大口の株主が上場後一定の期間、もしくはある一定の株価まで上昇しないと、市場で株を売却しないことを主幹事証券会社と約束することです。例えば、一定期間として90日あるいは180日、一定価格として公募価格の1.5倍以上となります。
売出株比率が高い
IPOで当選して得られる株には2種類あります。公募株と売出株です。
公募株は新しく発行する株式です。一方、売出株とはベンチャーキャピタルや経営者が保有する株式です。
ポイントは、市場から得られた資金の使い道です。
公募株であれば今後の企業成長に使います。一方、売出株はベンチャーキャピタルや経営者の利益になります。
公募株の割合が大きければ、会社が成長しやすいということで、株価が上がりやすくなります。
対して、売出株の比率が大きいということは、会社が上場したときにベンチャーキャピタルや経営者が利益確定のために売る可能性があるということです。大量の株を売れば、当然ながら株価は下がります。
業績が継続して増収増益ではない
IPO銘柄に限った話ではありませんが、株価が上昇するためには投資家たちに成長するだろうと思われていなければなりません。
そのための判断材料に使われるひとつが業績になります。業績が順調に伸びていれば、株価が上がりやすくなります。
吸収金額が大きい
吸収金額とは、IPOの際に企業が市場から得る資金の総額です。「吸収金額=公開株式数×公募価格」で算出できます。
吸収金額が少ないということは、市場に出回る株式数が少ないことになります。株式数が少ないということは、需要に比べて供給が少ないので、株価が上昇しやすくなります。
逆に、吸収金額が大きすぎると、需要と供給が逆転して株価が上がりにくくなります。
特に、吸収金額が100億円以上だと大型案件とみなれて、公募割りの可能性が高くなります。吸収金額が10億円未満だと小型案件とみなされ、注目が集まりやすくなります。
別のIPOが同時上場する
複数の会社が同日に上場すれば、初値が上がりにくくなる要因となります。
1社だけなら投資家の関心や注目を集め、資金も集中的に集まります。
逆に、複数社が同時に上場すれば、その分資金が分散されてしまうわけです。結果的に、株価が上がりにくくなると予想されます。
※ただし、抽選参加者が分散されることになるので、当選確率は上がる可能性があります。
日本の会社は3月や12月決算が多いです。
そのため、3月と12月にIPOが集中する傾向があります。
※株主優待は3月・9月に集中します。そういう意味で、3月は資金のやりくりが大変になりがちです。
不人気な業種
バイオ関連の会社はIPOで値上がりしにくい傾向にあります。
新薬を作るには多額のお金が必要ですが、認可・承認までに時間がかかり、会社が儲かるまでに長い年月を要するためです。場合によっては、認可・承認するまで赤字の企業もあります。
再上場案件
上場を継続するには一定の条件を満たす必要があります。その条件を満たさないと上場廃止になります。
上場廃止になった会社が、また再上場することがあります。しかし、上場廃止になったということは、その時点で社会的な信用が大きく下がったわけであり、再上場だとIPOでも株価が上がりにくくなります。
プライム市場に上場する
プライムよりグロースのほうが大きな成長の可能性を秘めていることを投資家に期待されます。結果的に、グロース市場に上場する小粒銘柄のほうが株価が伸びやすくなります。
SNSで当選報告が多い
IPOに当選してもすぐに購入せずに、SNSで検索してみましょう。IPOに当選した人は嬉しくて当選報告しているケースが多いはずです。いつもより当選報告が多い場合は、警戒しましょう。情報を集めて本当に購入するか検討すべきです。
地合(相場状況)が悪い
「前日の米国市場が暴落した」「大災害が日本で発生した」など、日本経済全体に影響を与えることが上場日にぶつかると、当然ながらIPO銘柄の値上がりが限定的になりがちです。
おわりに
本記事ではIPOの基本、そしてIPOの当選率を高める方法について解説しました。
大切なのは「(当選確率を上げるために)口座を増やすこと」「(後は)抽選し続けること」です。
理屈を知ったところで実践しなければ、IPO投資で利益を出せません。
「IPO投資を楽しむ」「粘り強く応募し続ける」「ルーティンワークに組み込む」といった工夫が継続するコツとして有効です。