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参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

地震でお墓が倒壊したので雑損控除を検討した話

令和4年3月の大地震で被災し、家やお墓に損害が出たので、雑損控除について調べてみました。

雑損控除を検討するまでのいきさつ

令和4年(2022年)3月16日午後11時36分頃に福島県沖で大きな地震が発生しました。我が家のある相馬市は震度6強を観測しました。

お墓の様子

令和3年(1年前)の大地震でもお墓が大変なことになりました。

そのため、今回はもっとひどい状況であると想像できました。

ちょうど彼岸直前ということで、お墓参りに行く前日に今回の大地震が起きました。

Twitter上で墓地の様子をツイートしている人がいて、我が家のお墓がある墓地と思われました。この様子を見ると、前回の地震より被害が大きいようです。

その後、お墓の様子を見に行くと次のような状況でした。我が家のお墓だけでなく、周囲のお墓も大変なことになっていました。

雑損控除を紹介された

今回の地震で家の中はぐちゃぐちゃ、建物自体にダメージが入りました。しかし、建物と家財については地震保険に入っており、ある程度の損害は補填できます。

しかし、建物以外の損害は地震保険の対象外です。例えば、塀、小屋、そしてお墓などです。今回、我が家のお墓を元に戻す費用も完全に自腹になるわけです。

ありがたいことに、Twitterでお墓の被害については所得税の雑損控除の対象であると教えてもらいました。

「適用できるかどうか」「適用するにはどうしたらよいか」といったことを調べることにしました。調べた結果、今回適用できなかったとしても、今後また災害が起きたときに備えて知識として知っておくことは無駄になりません。

将来の自分、そしてブログの閲覧者のために、記事としてまとめておくことにします。

災害でお墓が倒壊したら

次の記事が参考になります。

まずは国税庁の災害関連情報ページを見ておこう

国税庁のサイトには、被災者向けに災害関連情報ページが用意されています。

今回はお墓の損害についてなので、雑損控除の対象となります。なお、個人事業主で事業用資産に損害が出たケース、水害で車が廃車になったケースなど、様々な減税処置があるため被災した方は一読しておくべきといえます。

「雑損控除」と「税金の軽減免除」のどちらかを選べる

国税庁のサイトを見ればすべて書いてありますが、正直なところ私にとって難しく思えました。他のサイトや本と見比べながら、雑損控除について要点をまとめると次のようになります。

震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害や火災など人為による異常な災害、その他盗難、横領によって住宅や家財に損害を受けた場合は、以下のどちらかを選べます。

  • ① 所得税法に定める「雑損控除」
  • ② 災害減免法に定める「税金の軽減免除」

所得1000万円以下で損害金額が時価の2分の1以上の場合など、要件を満たせば、雑損控除ではなく災害減免法による②「税金の軽減措置」を受けられます。

どちらを選んだ方が有利かは実際に計算してみないとわかりません。次のページのフローチャートが参考になります。

①の雑損控除が有利な場合が多いようです。

有利な方を選択しなければならないというわけではないので、判定が面倒(あるいは大変)ならば、①の雑損控除としてしまうのもありです(何も申告しないよりはまし)。

誰の資産が対象か

納税者本人の資産、もしくは納税者と生計を一にする総所得金額等が38万円以下の配偶者や親族の資産が対象です。

どんな損害が対象か

日常生活に通常必要な住宅や家具、衣類、什器、書籍、暖房装置、通勤用車両、堀、墓などの資産が対象です。これらの修復・修繕費も対象となります。

生活に通常必要な資産かどうかの判定は、その人の職業、社会的地位、所得状況等を勘案し、社会通念に照らした常識的な判断によります。

今回のテーマはお墓の損壊であり、雑損控除の対象であり、修理費用は災害関連支出としてカウントできますす。

加えて、以下の品なども対象になりえます。

  • 門やブロック塀の修復費
  • 雨漏りを防ぐためのブルーシートの購入費
  • 傷んだ家具を運び出したり解体したりした費用
  • 地震による液状化や地割れで軟弱になった地盤を修復した費用

損壊状況の証拠を残す

建物については役所から罹災証明書を発行してもらえます。そのために建物の写真は記録しているはずです。

家財は罹災証明の対象外ですが、地震保険(家財)の適用を受けるために、損壊状況がわかる自宅内の様子の写真を撮影するはずです。

お墓については罹災証明や地震保険の対象外であるため、写真撮影を忘れがちですが、雑損控除を受けるために損壊状況がわかる写真を残しておきましょう。

損失額を正確に計算するのは難しい

国税のサイトには、損失額の計算式が載っています。

※ただし、すべての地震がこの計算式が適用されるとは限りません。詳細は最寄りの税務署に確認してください。

建物や家財について地震保険の保険金が下りたとします。あくまでそれは保険会社の算定方法による保険金であり、そっくりそのまま雑損控除の損失額として当てはまるとは限りません。

なお、建物や家財については保険金をもらっても修理したり買い替えたりするのは自由ですし、修理・買い替えをしなかった場合には当然ながら領収書はありません。

お墓の損失額はいくらか

お墓は生活に通常必要な資産であり、雑損控除の対象の家財に含まれます。

お墓を放置することはほぼありえず、修理するはずです。修理にかかった費用について後で証明できるように、見積書や領収書を保管しておきます。雑損控除の申請時に使います。

では、お墓を修理したとして雑損控除の金額はいくらになるのでしょうか。それを計算するには、災害関連支出の金額を確定しなければなりません。

お墓の修理費用は?

お墓の修理における見積書や領収書に載っているはずです。

元に戻す費用、すなわち原状回復費用(修理費)のみが対象です。

修理のついでに、墓石を交換してもそれは対象外になります。

お墓の災害関連支出の金額は?

次の記事によると「修理費用の原則30%が対象。ただし、合理的な理由があれば別」と書いています。

「修理費用の30%」にしてよい理由については、次の記事に書いてあります。

かかった費用のうち、元通りにするための費用(原状回復の費用)と、元通り以上にするための費用(資本的支出の費用)の区分けがわからない時は、修理費の30%を原状回復のための費用とみなしていいことになっています。

https://www.bosai-nippon.com/article/1926?paged=6

よって、修理費用の少なくとも30%は認められるということです。

[ケース1]今回の地震で壊れた墓石を新調したのであれば、原状回復以上になりますが、30%は認められるわけです。

[ケース2]今回の地震の直前にお墓を新調していれば、今回の地震で原状回復だけしたのであれば、修理費用のほぼ全額が原状回復費になるはずです。申告時に相談してみましょう。

お墓の損害に関する雑損控除の金額を求める

国税庁のページ[1]No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)によると、次の2つの計算式で計算した結果、大きい金額の方としています。

(A)(災害関連支出の金額)-(保険金で補填される額)-(総所得金額等の10%)

(B)(災害関連支出の金額)-(保険金で補填される額)-5万円

本来であれば両方の計算式で計算して有利な金額を選ぶべきです。「大きい金額」を選択できるとしているわけで、あえて不利な小さい金額を選んでもお咎めはありません(その分税金を多く支払っているだけで、こちらが損をしているだけ)。

そこで、計算の簡単な(B)の式に着目します。

お墓は保険金がゼロなので、実質的に災害関連支出から5万円を引いた分が、雑損控除の金額となります。

例えば、お墓の修理費用が20万円だったとすれば、その3割の6万円が災害関連支出の金額になります。ここから5万円を引いた結果である、1万円が雑損控除の金額になるわけです。

20万円も修理費を支払ったのに、1万円しか控除されないという結果になりました。

もし修理費用が10万円であれば、雑損控除の金額がマイナスになり、控除されるものがありません。

逆に50万円の修理費であれば、10万円の控除額となり、無視できない金額になりました。

基準ラインとしては、17万円以上の修理費用になります。これを超える費用ならば、控除額がプラスになるので、雑損控除すべきといえます。

お墓以外の損害を加えたり、(A)の式で計算すれば控除額が増えるかもしれませんが、計算は大変です。損壊の証拠写真、領収書・見積書、保険金の明細をすべて揃えて、確定申告の申告会場で計算をお願いしたほうが無難でしょう。
被災地では雑損控除についての相談受付が用意される可能性が高いので、遠方でなければそれに参加するのもよいと思います。

おわりに

本記事の内容は私が調べた範囲内のことであると同時に、執筆当時の情報になります。そのため、情報の質については責任を持てません。ご了承ください。
正確な情報を知りたい場合は、税務署に確認するなど自分で情報収集してください。