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目次

アイゼンシュタイン三角形

[定義]a^2~+~ab~+~b^2=c^2を満足するa,b,cは、1つの角度が120度である三角形を構成する。これをアイゼンシュタイン三角形と呼ぶ。

abca+bmn
357821
87131531
516192132
2411313551
733374043

[定理]a,b,cはアイゼンシュタイン三角形を構成する値とする。このとき、次が成り立つ。
(1)a,b,cが互いに素ならば、cは奇数である。
(2)aが奇数(必要があればa,bを交換する)ならば、bとa+bのどちらか一方だけが偶数で、積b(a+b)は8の倍数である。

[証明]a,bの両方とも偶数ならば互いに素ではないので、少なくとも一方は奇数である。
即ち、(a,b)=(奇数,奇数) or (奇数,偶数) or (偶数,奇数)である。

ここでは、aを奇数とする。

  • (a,b)=(奇数,奇数)のとき、bは奇数、a+bは偶数である。
  • (a,b)=(奇数,偶数)のとき、bは偶数、a+bは奇数である。

よって、aが奇数のとき、b or a+bのどちらか一方だけが偶数である。
つまり、b(a+b)は偶数である。

a^2~+~ab~+~b^2=c^2
a^2~+~b(a+b)=c^2
(奇数)2+(偶数)=c2
(奇数)+(偶数)=c2
(奇数)=c2 ∴c=(奇数)

ゆえに、(1)が成り立つ。

また、奇数の2乗を8で割ると1余る。

b(a+b)
=ab+b2
=c2-a2 (∵a^2~+~ab~+~b^2=c^2
=(奇数)2-(奇数)2 (∵a=(奇数),c=(奇数))
≡1 - 1 (mod 8) (∵奇数の2乗を8で割ると1余る)
≡0 (mod 8)

ゆえに、(2)が成り立つ。 □

[定理]a,b,cはアイゼンシュタイン三角形を構成する値とする。このとき、a-bは3の倍数ではない。

[証明]tが3の倍数と仮定して、矛盾を導く。

s:=a+b,t:=a-bとおく(tは負でもよい)と、次が成り立つ。

(2c)^2~=~3s^2~+~t^2 (∵4(a^2+ab+b^2)=3(a+b)^2~+~(a-b)^2
(2c)^2~-~t^2~=~3s^2

よって、tは3の倍数と仮定しているので、2c2は3の倍数になる。
つまり、cが3の倍数である。

すると、c2とt2(=(a-b)2)は9の倍数である。

ここで、&mimetex("3ab = (a^2+ ab+b^2)-(a-b)^2 = c^2 - t^2"):が成り立つので、3abは9の倍数である。
つまり、abが3の倍数になる。
すると、a,bの少なくとも一方が3の倍数である。

一方、t=a-bが3の倍数なので、a,bの両方とも3の倍数である。

ゆえに、矛盾する。 □

[定理]a,b,cはアイゼンシュタイン三角形を構成する値とする。
さらに、s:=a+b、t:=a-bとする。
[1]t:奇数の場合、d=GCD(2c+t,2c-t)=1
[2]t:偶数の場合、d=GCD(2c+t,2c-t)=4

[証明]dは4c(=(2c+t)+(2c-t)),2tの約数である。

[1]tの偶奇の違いにより、dの特徴を調べる。

(i)tが奇数の場合、2c±tは奇数である。
つまり、d=GCD(2c+t,2c-t)は奇数である。
よって、dはc,tの公約数である。

(ii)tが偶数の場合、d=GCD(2c+t,2c-t)は2の倍数である。

[2]dが3で割り切れないことを示す。

dは2tの約数なので、もしdが3で割り切れるなら、a-b(=t)が3の倍数になる。

これは[定理]「a,b,cはアイゼンシュタイン三角形を構成する値とする。このとき、a-bは3の倍数ではない」ことに矛盾するからである。

[3]5以上の素数pはdを割り切らないことを示す。

dは4c,2tの約数なので、もしdがpで割り切れるなら、pはt,cの公約数である。

ところで、以下が成り立つ。

4(a^2+ab+b^2)=3(a+b)^2+(a-b)^2
4c^2=3s^2+t^2
3s^2~=~4c^2~-~t^2
3s^2~=~(2c~+~t)(2c~-~t) ←(*)

pはt,cの公約数(即ちt,cはpの倍数)なので、3s2はp2の倍数である。
pは5以上の素数なので、sはpの倍数である。

よって、pはtの公約数(即ち、tはpの倍数)なので、2a=s+t,2b=s-tはpの倍数である。
つまり、a,bはpの倍数である。

これはa,bが互いに素であるという仮定に反するので、dはpで割り切れない。

したがって、dは2の累乗である。

[4]tが奇数の場合における、d=GCD(2c+t,2c-t)の値を調べる。

tが奇数ならば、2c±tは奇数である。
よって、dは奇数になる。

また、[3]の結果より、dが奇数かつ2の累乗という条件を満たすには、d=1(=20)の場合しかない。

[5]tが偶数の場合における、d=GCD(2c+t,2c-t)の値を調べる。

t(=a-b)が偶数の場合、aとbは両方とも偶数か奇数のどちらかであるが、a,bが両方とも偶数なら互いに素ではないので、aとbは両方とも奇数である。

このとき、[定理]「a,b,cはアイゼンシュタイン三角形を構成する値とする。このとき、次が成り立つ。
(1)a,b,cが互いに素ならば、cは奇数である。
(2)aが奇数(必要があればa,bを交換する)ならば、bとa+bのどちらか一方だけが偶数で、積b(a+b)は8の倍数である」の(2)により、b(a+b)が8の倍数である。
つまり、bは奇数であるため、a+b(=s)が8の倍数である。
よって、(*)の左辺3s2は64の倍数である。

そのため、(*)の右辺(2c+t)(2c-t)も64の倍数になる(tは偶数なので、この2つの項はどちらも偶数である)。
しかし、2つの項の差、即ち(2c+t)+(2c-t)=4cは奇数の4倍なので、2c±tが両方とも8で割り切れることはない。
よって、d=GCD(2c+t,2c-t)=2 or 4である。

しかし、d=2とすると、2c±tが両方とも2の奇数倍になり、その積が64の倍数にはならない。

したがって、d=4になる。
(tが偶数の場合、2c±tの一方が4の奇数倍、他方は16の倍数という形になる。) □

 ここで、次のように置く。

  • 2c+t=du
  • 2c-t=dv

 すると、uとvは互いに素、即ち(u,v)=1である。

 また、両者の積はd^2~uv=3s^2である。

 右辺は「平方数×3」という形なので、左辺も同じ形になるはずである。
 このことから、u,vの一方は完全平方数、他方は完全平方数の3倍である。
 それらをk2,3l2と置く(k,lは正の整数)。

[定理]常にk>lである。

 dは1 or 4なので、tの正負に依存して、u,vの大小が変わる。

  • tが正の場合、u>v
  • tが負の場合、u<v

[証明]

[1]u,vの大きい方がk2、小さい方が3l2の場合

k^2~>~3l^2
k^2~>~3l^2~>~l^2
k~>~l (∵k,lは正の整数)

[2]u,vの大きい方が3l2、小さい方がk2の場合

a,bを交換すれば、t(=a-b)>0,u>vとして一般性を失わず、du=dk^2~=~2c-t,~dv=d(3l^2)~=~2c+tである。

ここで、3dk2-3dl2は次のように計算でき、正負がわかる。

3dk^2~-~3dl^2
=3(2c-t)~-~(2c+t) (∵k^2~=~2c-t,~3l^2~=~2c+t
=4(c-t)
>0 (∵0~<~t=a-b~<~max(a,b)~<~cより、c-t>0)

このことから、3k2-3l2が正であることがわかり、次のように展開できる。

3k^2~-~3l^2~>~0
3k^2~>~3l^2
k^2~>~l^2
k~>~l (∵k,lは正の整数) □

[定理]アイゼンシュタイン三角形の3辺の長さa,b,cが互いに素ならば、それらは適当な正の整数m,nによって、次が成り立つ。

  • a=\frac{s+t}{2}=m^2~-~n^2
  • b=\frac{s-t}{2}=n(2m+n)
  • c=m^2+mn+n^2
  • s=a+b=m(m+2n) ただし、a,bを交換した形もある。

[証明]d=1 or 4で場合分けする。

[1]d=1(tが奇数)の場合

必要に応じて、a,bを交換し(tを-tに変更し)、次のようにする。

  • 2c+t=u=3l^2
  • 2c-t=v=k^2

ただし、k,lは正の奇数とする(∵tは奇数より、2c+tは奇数)。

n:=\frac{k-l}{2}とおき、nの正負を調べると、次を得る。

n=\frac{k-l}{2}
n=\frac{k-l}{2}~>0 (∵[定理]「常にk>lである」)
n>0

また、m:=lとおくと、2n=k-lより、k=m+2nである。 ←(*)

このとき、s,2t,4cは次のように計算できる。

s
=dkl (∵k,lの定義とd^2~uv~=~3s^2より、d^2~k^2~\cdot~3l^2=3s^2なので、dlk=s
=kl (∵d=1)
=m(m+2n) (∵m=l,k=m+2n)

2t
=(2c+t)-(2c-t)
=3l^2~-k^2 (∵2c+t=u=3l^2,2c-t=v=k^2
=3m^2~-~(m+2n)^2 (∵(*))
=3m^2~-~(m^2~+~4mn~+~4n^2)
=2m^2~-~~4mn~-~4n^2
=2(m^2~-~2mn~-~2n^2)

4c
=(2c+t)+(2c-t)
=3l^2~+~k^2 (∵2c+t=u=3l^2,2c-t=v=k^2
=3m^2~+~(m+2n)^2 (∵(*))
=3m^2~+~(m^2~+~4mn~+~4n^2)
=4m^2~+~~4mn~+~4n^2
=4(m^2~+~mn~+~n^2)

これらを整理して、題意と同じ表現を得る。

[2]d=4(tが偶数)の場合

[1]のときと同様に必要ならa,bを交換して、次のようにする。

  • 2c+t=4u=4~\times~3l^2
  • 2c-t=4v=4k^2

k>lなので、n:=k-l、m:=2lと置く(mは偶数)。

このとき、k=\frac{m}{2}~+~nである。

これから、s,2t,4cを次のように計算できる。

s
=dkl (∵dlk=s
=4kl (∵d=4)
=2l~\cdot~2k
=m(m+2n) (∵m=2l。k=\frac{m}{2}~+~nより、2k=m+2n)

2t
=(2c+t)-(2c-t)
=~(4~\times~3l^2)~-~(4k^2)
=3~\times~4l^2~-~4k^2
=3~m^2~-4~(\frac{m}{2}~+~n)^2
=3m^2~-~(m+2n)^2
=2(m^2~-2mn-2n^2)

4c
=(2c+t)+(2c-t)
=4\times3l^2~+~4k^2 =3~\times~4l^2~+~4k^2
=3~m^2~+4~(\frac{m}{2}~+~n)^2
=4(m^2~+2mn+2n^2)

これらを整理して、題意と同じ表現を得る。 □

 この定理で与えられるa,b,cは互いに素であるためには、次の2条件が必要十分である。

  1. m,nが互いに素である。
    • m,nが互いに素ではないとすると、a,b,cの形より、a,b,cは互いに素でなくなってしまう。
  2. m-nが3の倍数ではない。
    • m-nが3の倍数のとき、即ちm-n=3rのとき、a,b,cはすべて3の倍数になる。それらを3で約した残りの値は、m'=\frac{m+2n}{3}=n+r,n'=rをm,nとして、アイゼンシュタイン三角形の3辺に等しくなる。
      • これはピタゴラス三角形のとき、m-nが偶数だと、すべての辺が2の倍数になるという事実の類似である。

七五三の三角形

[定理]アイゼンシュタイン三角形の3辺が等差数列になるのは、(a,b,c)=(3,5,7)(およびその定数倍)のときだけである。ただし、a>b>cとする。

 このような三角形を七五三の三角形と呼ぶ本も存在する。

2辺の差が1のアイゼンシュタイン三角形

 2辺の差が1の場合、即ち|a-b|=1の場合のアイゼンシュタイン三角形が存在することは、アイゼンシュタイン三角形の例からわかる。

abca+bmn
87131531

 実はこれ以外にも無数に存在する。

 このような|a-b|=1であるアイゼンシュタイン三角形は、一般系からm,nが次を満たすものである。

m^2~-2mn~-~2n^2~=~\pm1

 この式は次のように変形できる。

m^2~-2mn~-~2n^2~=~\pm1
(m-n)^2~-~3n^2~=~\pm1
(m-n)^2~-~3n^2~=~1 (∵完全平方数を3で割っても2余ることはない)

 これはペル方程式であり、m,nを求めるにはペル方程式の解法が使える。

[補講]

m-nnmabc2c/(a+b)
21387131.7333333
74111051041811.6320574
2615411456145525211.7320508416
97561532027320272351131.7320508077

上記の結果のように、これらの三角形では\frac{2c}{a+b}が√3のよい近似を与える。 ◇

参考文献

  • 『整数とあそぼう』