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目次

プレゼンテーション

 プレゼンテーション(presentaion)とは、送り手側が一定の場所と時間で、特定のメッセージを受け手に伝えて意思決定を促し、目的とする活動を生む情報伝達行為のことである。この定義からすると、プレゼンテーションは、送り手側から受け手側にメッセージを伝えるコミュニケーションの一種といえる。しかし、時間と場所が限られているため、意図したような同意を得るには、入念な準備と創意工夫が必要となる。

プレゼンテーションをする意義

 提案型社会といわれている現代では、プレゼンテーション能力はますます重要になってきている。『ロジカル・コミュニケーション』によれば、国際社会で求められるスキルのアンケートにより、1位がコミュニケーション力、4位がプレゼンススキル、6位に語学力という結果が出ている。

 そのためにも聞き手を納得させるための方法と原理であるコミュニケーション力を、プレゼンテーションの基本として押さえておくべきである。さらに、プレゼンテーションの技術力を身に付けることによって、本当の意味でプレゼンテーションが成功するのである。

プレゼンテーションの狙い

 プレゼンテーションの狙いは、次の通りである。

  • 積極的な発表活動とする
    • 提案の発表
    • 研究成果の発表
    • 業務の伝達
    • デモンストレーション
    • セールス活動
    • 活動の報告
    • 講演・講義
  • 双方向コミュニケーションの場とする
    • ダイナミック・コミュニケーション
  • 多様なメッセージと多彩なメディアを使う

プレゼンテーションの聞き手について

 ビジネスでは聞き手の立場によりプレゼンテーションが変化する。あらゆる立場が考えられることに注意すると同時に、聞き手の中での重要人物が誰であるかを明確化しておかないと効果は上がらない。

  • 聞き手の立場の例
    • 部門・職種
      • トップマネージメント
      • 販売部門、事務部門、技術部門、…
    • 職位、経歴
    • 年齢層
    • ニーズ、期待、興味度
    • 知識・技術レベル、専門度
    • 人数
    • プレゼンターへの先入観の有無
    • プレゼンターと聴き手の距離感
    • スタンス

3P

 プレゼンテーションは、話し手・聞き手・メッセージの3つから成り立つ。これらのトータルとしての効果が、よいプレゼンテーションを作る。それは次のような3Pの基準で表すことができる。

  1. 内容の構成方法(program)
  2. 話し方・問いかけの方法(presentaion skill)
  3. 話し手の人柄(personality)

 プレゼンテーションを成功させるのは、聞き手のことをよく理解していることが前提条件である。これを聞き手のモデル化と呼ぶ。聞き手のモデル化は、例えば次のようなタイプ分けによっても可能である。対象者の地位とコミュニケーションタイプから事例を挙げる。

  1. 結果優先型
    • とにかく要点を述べてもらいたい。
  2. プロセス優先型
    • どのような事実と評価基準でその結果になったかを述べてもらいたい。
  3. イメージ優先型
    • 情報化も積み木を建てるようなものだろうから、土台はしっかりしたものにしてもらいたい。
  4. 論理優先型
    • コンセプトはいいが、Aの個所がBと矛盾しており曖昧ではないかよくわかるようにしてもらいたい。
  5. 即断実行型
    • 詳細は後で詰めるとして、Aさんが責任者ならシステムはお任せしたい。
  6. 安全慎重型
    • 他の役人にも聞き、社内で十分検討させていただきたい。

プレゼンテーションの組み立て作業前の聴き手についての取材

 次の3段階のリサーチを行っておけば、プレゼンテーションのポイント(聴き手のこと、聴き手が持っている課題、判断する際に重視するポイントなど)が見えてくるはずである。

  1. 公開情報からの情報収集
  2. 依頼者の取材
  3. プレゼンテーション経験者の取材

 どのような状況で行われるプレゼンテーションがより明確にするために、さらに周辺に情報を集める。特に、聴き手の企業・団体が特定のものならば、あらかじめインターネットやデータベースなどで情報を調べておくべきである。

 次に、聴き手の情報を集めた後に、プレゼンテーションで求められること・プレゼンテーションの評価の基準・聴き手についての情報・制約条件など、プレゼンテーションを組み立てるのに必要な情報を詳しく把握するには、まず自分にプレゼンテーションを依頼した人に事前取材を行っておき、プレゼンテーションの差異に重要なポイントを探るとよいだろう。

 そして、その会社や聴き手について情報を持っている人や、以前プレゼンテーションをしたことがある人から、その聴き手がどのような特性があるか、物事を判断するためのどのような尺度を持っているかなどのアドバイスを受ける。

 プレゼンテーションの本番前には、聴き手と話を交わすことができればなおよいだろう。プレゼンテーション前のわずかな時間を利用して、場の雰囲気や聴き手が何を目的に自分のプレゼンテーションを聴きに来てくれたか、聴き手が何を期待しているかを探ってみてもよいだろう。そうすることで、自分が行うべきプレゼンテーションのイメージがより鮮明に見えてきたり、聴き手側の温度をよりリアルに感じることができるだろう。

自分でコントロールできない条件を明確化にする

 方向を定めるプロセスの最後の作業は、自分でコントロールできない条件を考えて、できる限り対策をすることである。

例:

  • プレゼンテーションの機器(PC・OHPなど)が使える環境
    • プロジェクターを使う場合、原稿の文字が鮮明に映すために、ある程度の部屋の暗さが必要である。
  • 会場の一番後ろからどの程度の大きさの文字が見えるか
  • 聴き手側で定められた書類のサイズ
    • 社内書類が、A4サイズ・A3に統一されている会社も多い
  • 聴き手側で定められた企画提案書のフォーマット
  • 企画提案書の枚数の目安
  • プレゼンテーションの進め方についての、聴き手側の独特のルール
  • 聴き手側の評価手順・ルール ◇

プレゼンテーションの分類

  • 説得的プレゼンテーション
    • 提案内容や解決方法、アイデアなどを伝達することにより、集団の態度を変えようとする発表活動。
    • 目的を持って働きかける、極めて意図的・意識的で、積極的なコミュニケーション活動である。
    • PDCAサイクルに沿って、プレゼンテーションの準備・実施・評価・フィードバックをすると効果的。
  • 視覚的プレゼンテーション
    • 人間が知識や情報を吸収する際には視聴覚機能が大きな役割を果たしている。よって、視覚に訴える発表は、相手の印象に残りやすく、理解の助けになる。

プレゼンテーションのタイプ分け

  • プレゼンテーションの目的からのタイプ分け
    • 情報を伝えることを目的にしたプレゼンテーション
    • 自分の意見を提示し、相手を説得し賛同を得ることを目的にしたプレゼンテーション
    • 儀礼的なプレゼンテーション(場の雰囲気を上げたり、与えられた役割を演じるプレゼンテーション)
  • プレゼンテンターと聴き手の二者間の雰囲気からのタイプ分け
    • アットホームなプレゼンテーション
    • フォーマルなプレゼンテーション
  • 聴き手の人数からのタイプ分け
    • 大規模
    • 中規模
    • 小規模
  • プレゼンテーションの聴き手と自分の位置関係からのタイプ分け
    • 面談型
    • 会議型
    • セミナー型

プレゼンテーション技術の応用範囲

 次の3つの要素をバランスよく組み合わせた結果、よいプレゼンテーションとなる。

  1. 論理を組み立てること
  2. ドキュメントを作ること
  3. 聴き手に話すこと

 この「論理」「書く」「話す」という3つのノウハウは、プレゼンテーション以外のビジネスの様々な場面で活用できる。

例:

  • パーティのスピーチ
  • 工場見学者への対応
  • 商談
  • 社内発表会
  • 企画提案
  • 社内研修会
  • 会社説明会・社内説明会
  • 情報交換
  • など ◇

よいプレゼンテーションの7つのポイント

  1. 明確な目的
  2. 聴き手主義
  3. 一貫性
  4. 簡潔論理
  5. 厳選情報
  6. 客観的
  7. 効果明快

プレゼンテーションに必要なスキル

 よいプレゼンテーションを組み立てるために必要なスキルは次の6つが挙げられる。

  1. 自分の置かれているビジネスの環境・状況を正確に読み取る力
  2. 自分の考えを聴き手に伝えるための論理を組み立てる力
  3. 考えを聴き手に伝えるためのドキュメントを作る力
  4. 考えを聴き手に伝える(話す)力
  5. 一度できあがった自分のプレゼンテーション内容を厳しい目で見るチェックする力
  6. 時間通りにプロセスを進めていくスケジューリング力

プレゼンテーションの準備段階と実施まで

 デジタルプレゼンの工程は次のようになる。ステップを省略せずにきちんと考えることで、よりよいプレゼンができるようになるだろう。

  1. 企画段階
    • コンセプト作り
    • 主題は何か、目的は何か、何のために行うのか
    • プレゼンの範囲はどこに絞るべきか、またはどこまで拡大すべきか
    • 期待できる効果(目標の設定)
    • 相手の分析(人数・職種・年齢・理解力・立場など)
    • 企画に必要な情報の流れ
    • プレゼンの実施時期・実施方法
    • プレゼンの準備をするにあたって解決しておくべき課題
  2. 設計段階
    • 構成(説明項目と説明順序の決定)
    • 時間設定、配分
    • 話し手の決定
  3. 準備・制作段階
    • 必要資料の収集
    • 会場準備(会場の予約、会場設営など)
    • 最終確認(機器のチェック、リハーサル、配布資料の準備、質疑応答の準備など)
  4. 実施段階
    • 必要に応じ資料の事前配布
    • 実施
    • Q&A
  5. フォロー段階
    • 効果の確認と評価
    • 個別フォロー

準備段階

プレゼンテーションの原則

 プレゼンテーションの原則は次の2点である。

  1. 自分が伝えたいこと=相手の聞きたいこと
  2. 自分の伝えたい順番=相手の聞きたい順番

 1番目はプレゼンテーションの内容そのものであり、2番目は1番目を効果的に伝える方法である。このように自分が伝えたいことや順番が、相手の聞きたいことや順番に合致していなければ、効果的なプレゼンテーションは行えない。

 特に2番目はわかりやすい話し方をすることに直結する。わかりやすい話し方を具体的に実現化するには、話の設計図を描く(アウトライン化と呼ぶ)ということが重要である。アウトライン化の手順は次の3ステップから構成される。

  1. 話が大きく分けると、何個になるかを考える。
  2. それらにラベル(名前)を付ける。
  3. 理解しやすい順番でラベルを使って話の予告をする。

提案骨格を作る方法

 プレゼンテーションの提案骨格をまとめていく方法には大きく分けて2つの方法がある。

  1. 肉付け型
    • 提案骨格をまず固め、その骨格に必要な情報やデータを肉付けしていく方法。
    • セールスしたいものや提案することがあらかじめ決まっている場合にはこの方法がよく用いられる。
      • 売り込みたい商品が決まっている場合、複数のところに同じようなセールスをかけていく場合はこのような方法で、プレゼンテーションの論理を固めることが多くなる。
  2. 磨き込み型
    • 複雑な状況の場合や、読み込むべき情報やデータが非常に多い状況の場合において、混沌とした状況から重要なポイントを見出し(不要なものを切り捨て)、プレゼンテーションの提案骨格を削りだすように明確にする方法。
    • 大人数のプロジェクトで複雑な課題に取り組む場合には、時間をかけて十分な議論をしながら骨格を固めていく磨き込み型が適している。

ビジュアル機器の選択

機器リアリティ性汎用性利便性準備のコスト情報の加工性情報性
PC××
ビデオ××
スライド××
OHP
黒板 or ホワイトボード××

演出効果作りのチェックポイント

  • ストーリー性と山場作り(カタルシス効果)で感動を与える。
    • 見せ場をどこにするかを事前に決めておく。
  • 起承転結の展開原理を状況に応じて柔軟に活用する。
    • 結論から提示する方が明快になる場合も多い。
  • メディアミックスによる道具選択の柔軟さを持つ。
    • OHP、PCなどの組合わせを考慮する。
  • 情報提示は小出しで視覚的にする工夫を準備しておく。
    • 必要な情報以外は一度に提示しない。
  • 内容の説明のみでなく、自己を売る。
    • 語る内容と、内容を語る人との相乗効果で相手に理解させる。
  • 説明の中で、自己の体験エピソードを挿入する。
    • 自分らしさを語る具体的な言葉と表情で出す。
  • 対比・対象性の表現原理を活用する。
    • 図解を作成して対比関係を表せるように準備する。

チャート作りのポイント

  1. 言語の統一
  2. 1チャート、1主張
  3. 矢印は一方向に
  4. 言いたいことを際立たせる技術
  5. 一貫した方法で、大事な部分の強調をする
  6. 色を効果的に使う
  7. 終始共通のフォーマットで見やすく

プレゼンテーションプログラムの作成

 ひとつのプレゼンテーションを発表するにしても、具体的な発表内容を作成する際、時間と知恵を投入して、綿密に組み立てなければならない。プレゼンテーションプログラムの一般的な作成手順は、次の通りである。

  1. 組織戦略の分析と提案主旨・意図を具体化し、聞き手がどのような対象か分析する。
  2. プレゼンテーションの目標を設定する
  3. 目標を分析し、プレゼンテーションするトピックを選定する
  4. トピックからサブトピックへと分解する
  5. 展開する順序を決める
  6. プレゼンテーション方法を決定する
  7. トピックごとに時間を配分する

プレゼンテーションのためのマインドセット

  • まずはプレゼンテーションの機会を頂いたことに感謝する。
  • 聴き手との共通の目的・課題と主テーマは何かを明確にする。
  • どのぐらいの時間をかけて行うか、どのように進めていくかを明確にする。
  • プレゼンテーションのルールを明確にする。

リハーサル

 プレゼンテーションの質を高め全体の再点検を行うために、リハーサルを行うことが有効である。これらのリハーサルの方法に加えて、組立作業に入る前に設定したプレゼンテーションの想定としているゴールやプランニングビジョンなどに立ち戻り、ここまで進めてきたプレゼンテーションの準備が当初の目的にかなうものに仕上がっているかを、もう一度チェックする。

 リハーサルには、他の人の協力をもらう方法とセルフチェックの方法がある。

  • リハーサルの重要性、しっかりした下稽古が自信に繋がる。
  • 要旨の確認(3分間セルフチェック)

直前の緊張対策

 どんなにプレゼンテーションの経験があっても、プレゼンテーション直前と言うのは緊張するものである。心臓の動悸が高まったり、喉や口が渇いたり、頭の思考回路がうまく動かなかったりなどのような、様々な形で現れる。

 こうした緊張に対する対処方法として、次が考えられる。

  • 緊張は当たり前のことと割り切って、仲良くすることを心がけるのが一番かもしれない。
    • 緊張はプレゼンテーションの始めのプロセスとでも考えるとよい。
  • ツキとジンクスを上手に利用する
  • 85点主義でいく
    • マイナス15点でOK主義
  • 次の一手を考えておく
    • プレゼンテーションを最終ゴールとは考えず、その後に何かをアクション(プレゼンテーション後の次の一手)として起こすのかを考えておく。
    • プレゼンテーションがうまくいった場合の次のアクションと、もしも不調で終わった場合の次のアクションを考えておく。

実施段階

実施のためのチェックポイント

    • スピード、声の抑揚、声量、間の取り方
  • 態度
    • 情熱、自信、力強さ、友好的、姿勢
  • 身振りと表現
    • 身振り、視線、ユーモア、明るさ
  • 言葉
    • わかりやすい言葉、用語の定義、悪い癖、敬語、注意を喚起する言葉
  • 機器の利用
  • 情報・知識
    • 情報・知識の斬新さ、正確さ、広さ
  • 説明の仕方
    • 論旨のわかりやすさ、目的の明確さ、論理展開の明確さ、主張の一貫性、具体的な根拠の有無
  • 時間
    • 時間の配分、正確さ

要点を押さえた説明と演出効果

 起承転結の構成だと前置きが長くなる傾向がある。これではマイナス効果になってしまう。そこで、最初に結論を発表し、その上で具体的な展開に入るように工夫を凝らすとよい。

 聞き手からすれば、まず結論はどうだったのかということを知りたいわけである。もし結果が出ているとすれば、それを先に述べる方がよい。そうすることで、そこに至った理由は何かということを聞き手側も意識化しやすいからである。

話全体を予告する

 「連鎖的に話が展開され、何を言いたいのかわからない」という問題点がある。これは日本人の会話にありがちである。これを解消するには、話の構造を予告できれば、話し手の話全体に対するコントロール性を数段高めることができる。ランドマーク(目印)が付いている地図を辿っていくようなものだからである。聞き手もそのランドマークを共有できるのだから、無理なく、かつ正確に話を理解していくことができる。

 ただ、話の全体を予告することは、話し手にとって窮屈なことである。後で自由気ままに論点や主張を変えられなくなるからである。しかし、どんなに淀みない話し方をしても、またどれだけ価値のある情報であっても、聞き手に伝わらなければまったく意味がないのだ。

メタファーの活用

 メタファーとは、比ゆ的なイメージを与える言葉やモノのことである。話し手はメタファーにより受け手にインパクトのある類推思考を促すことができる。メタファーによって圧縮された内容のイメージは、気の利いたキャッチフレーズやネーミングがたくさんある。

ホワイトボードの利用

 ホワイトボードは、プレゼンテーションの場では基本的に補足的に利用するのが一般的である。ホワイトボードに書いている間に関心が薄れたり、時間がかかることなどにより、ホワイトボードに多くの記述をしているわけにはいかない。

 しかし、ライブ感覚で生の意見をその場で要約したり、聞き手に印象付けて理解させるための図解を作ったりするときには効果的である。

[補講]数学の講義の場合は、ホワイトボードに書くことは有効である。人間は書くスピードでしか理解できないといわれており、特に数学ではなおさらである。

効果的な問いかけと質問

 ユーザーとの参画意識を作るためには、次の3つを意識する必要がある。

  1. 聞き手側と何をどこまで情報の共有をするべきかを自覚する。
  2. 何を実行することによって、聞き手は疑問を解決でき、満足できるかをよく把握する。
  3. 漠然とした質問形式にせず、具体事例で問い掛ける。

 例えば、「何か質問はありませんか?」や「〜についてどう思いますか?」などという問い掛けは悪い例である。よくプレゼンテーションの最後に儀式的によく聞かれる発話であるが、これだけでは甘いといえる。なぜなら、問われている内容について、すでに聞き手に何らかの予備知識がある場合を別にすれば、「どう思いますか?」といった漠然な問いかけには、どう応えてよいかわからない方が普通である。「どう思うか」よりも「どのようになるか」の方が具体的で効果的である。よい例としては、「AとBのこの点を比べるとすれば、どのようなメリットがありますか?」「仮にAだとすれば、Bになるでしょうか?」などである。

発表途中での聞き手からの質問に対して

  • 時間が短い場合
    • 「後ほど説明したいと思いますが、その質問は確かに重要です」と一旦断り、発表が終わってから再び取り上げる。
  • 時間に余裕がある場合
    • プレゼンテーションの流れが極端に滞らない限り、参画意識を作るために応対する。

質疑応答

  • 発表後の難しい質問に対して
    • 質問の内容がその場で答えるには難しい場合、率直に分からないということを述べた上で調べてくる、あるいは後日調査の上報告するなどの対応が好感を持たれる。
  • 異論を突きつけられた場合
    • どうしてもすぐ反論したくなるが、それは相手の理論の枠組みの中で主張せねばならず、反論というよりも相手の批判の矢面に立つことになり不利である。このようなときはもう一度質問事項を確認する。そして、問題を自分なりの言葉で表現し直す。整理するためにも、他の参加者に意見を問い掛けたりするのもよいだろう。いくつかの質問が出される中で問題点がより鮮明になり、場合によっては参加者が答えてくれるといったこともある。
  • 十分に議論されていないことについての意見を求められた場合
    • あくまで自分の意見(私見)であることを前置きして対応する。
    • 聴き手からの大事な宿題として受け取り、後で公式の意見を提示することも約束するとよい。

トラブル

  • プレゼンテーションに参加する人数が急遽増えた
    • プレゼンテーションの出席人数の変更はよくあることである。そのため予定出席人数よりもやや多めにドキュメントを用意しておくこと。
    • プレゼンテーション前日に出席予定者の数を主催者に問い合わせておくのもよい。
  • 1時間の予定のプレゼンテーションが、聴き手側のキーマンの送れで急遽その半分の30分に短縮。
    • 始めに作った提案骨格をきちんと守りながら、特に重要なポイントを優先しながら、プレゼンテーションする。
    • 用意された提示用ドキュメントの重要ポイントになるもの、補完するものをあらかじめ分けておき、このような自体に対応していく。
    • このような場合、質疑応答は別の方法で受けることにして時間を短縮して、プレゼンテーション本論に時間を割くようにする。
  • プレゼンテーションの最中に、提示用ドキュメントが抜けていることを発見。
    • プレゼンテーションの最中に見つけたこのようなずれは急に直すことは困難である。
    • プレゼンテーションの最中で調整できるのは、自分自身の話し方だけである。あくまでプレゼンテーションの論理を壊さないように気を付けながら、話の中で軌道修正をしていくようにする。

プレゼンテーションの資料作り

文字サイズ

  • 紙のビジネス文書
    • 一般に10.5ポイント*1が使われる。
    • 1ページ当たりの情報量を多くしたい場合やページ数を少なくしたいときは、9ポイント程度まで小さくすることもある。
  • プレゼンテーション用資料(スライドなど)
    • 20〜28ポイントが主に使われる。

書体

  • 紙のビジネス文書
    • 本文(和文):MS明朝
    • 本文(和文の中の欧文):Century
    • 見出し(和文):MSゴシック、MSPゴシック
    • 見出し(和文の中の欧文):Arial
  • プレゼンテーション用資料
    • 本文(和文):MSPゴシック
    • 本文(和文の中の欧文):Arial
    • 見出し(和文):MSPゴシック。ただし、太字にすることもある。
    • 見出し(和文の中の欧文):Arial。ただし、太字にすることもある。

基準線

 基準線とは基準になる線のことである。基準線が明確になっていると、すっきりまとまった感じになり、見やすくなる。

基準線の種類

  • 左基準
  • 右基準
  • 中央基準
  • 左右基準(均等割り付け)
  • インデント(字下げ)
  • 上部基準
  • 下部基準

基準点の応用

  • 自然な揃え方にしたいときは、左基準にする。
  • 少し変化を出したいときは、右基準で揃える。
    • 使い方が不適切だと見にくくなり、逆効果になることがある。
  • 均整が取れて安定した印象を与えたいときは、中央基準で揃える。
    • 表紙・トップページ・本文の大見出しに使われることが多い。

安定と変動

  • 同一パターンを繰り返してリズムを作る。
  • ちょっとした変化を付けることで、単調さが破れて活気が出る。
    • アクセントには記号類やアイコンなどが使われる。
    • 文字の一部を強調して、アクセントの役割を持たせることがある。例えば、最初の一文字を大きくして色を変化させる手法はよく見られる。
    • アクセントは一種のスパイスのようなものなので、多用は逆効果である。
  • 書体や網点、罫線の強弱、文字サイズの大小などでコントラスト(対比)を付けると、メリハリが感じられて読みやすくなる。
    • Q&A、AとBの対話などのように、2種類の項目が交互に現れる構成の場合に、コントラストが活きてくる。
    • 少し目を離して画面全体を眺めると、どの部分にコントラストを付けたら読みやすくなるかどうか判断できる。
  • 釣り合いの取れたレイアウトは、読み手に安心感を与える。

カラーリング

 カラーリングの目的は、色彩を使って情報をわかりやすく使えることと全体のイメージをコントロールすることである。

 暖色は動的で明るい印象を与え、寒色は落ち着いた印象を与える。

暖色と寒色の使い分け

 主にプレゼンテーション用資料に適用する場合の背景の色と文字・図形の色の組み合わせは次の通りである。上が動的、下が静的を意味する。

背景の色文字の図形の色
暖色暖色、白
暖色寒色
暖色
中性色*2、無彩色*3暖色
寒色暖色
中性色、無彩色寒色
寒色
寒色寒色、白

 その他のテクニックとして次が挙げられる。

  • 文字が小さかったり、図形が込み入っているときは、明るい背景に濃い色の文字を使ったほうがわかりやすい。
  • 明るい会場でプレゼンテーションを行うときも、明るい背景に濃い色の文字の組み合わせのほうが見やすい。
  • 暖色は、QC活動・販促・マーケティングなどのプレゼンテーションに使われることが多い。
  • 寒色は、一般のビジネス用や技術関係のプレゼンテーションに使われる。
  • 色を付け過ぎない。
    • 目立つ色・濃い色は、ポイントになる部分に重点的に使う。
    • 目立つ必要がない個所には色を使わないか、使っても濃い色か寒色系にする。
    • 色数をみやみに増やさない。ただし、同系色であれば、多くもあまり気にならない。
  • 原色(赤・青・黄など)を使いすぎない。
  • 図・グラフには、カラーリングを行って見やすくする。
  • 段階を経て変化する複数の図形には、同系色を使うとよい。
  • 同じような意味・種類の図には、全体を通して類似色を使う。
  • 対立した関係や相対関係(出と入、プラスとマイナスなど)には、補色を使うとよい。
  • MS PowerPointで作ったスライドを白黒のプリンタで出力して配布資料を作るときは、[印刷]ダイアログボックスの「グレースケール」のチェックボックスにチェックを入れると、中間調がグレーで出力される。一度出力してみて色の部分を確認し、色が消えてしまったり薄すぎたりしたときには、色を濃くするか別の色に変える。

ヘッダーとフッター

  • ヘッダーには、開いているページがどの章または節に属しているかを常に知らせるように工夫する。それにより検索度が高まる。
  • ページ番号(ノンブル)は、検索性を考えて小口側に入れる。パラパラとページをめくるときにページ番号が見やすいからである。上部小口側が最も検索性がよいが、下部小口側でもよい。
    • 片面コピー(片面印刷)と両面コピー(両面印刷)とで、ページ番号の入れ方は異なる。
      • 片面コピー:全ページ、ページ番号を右側または下部中央に入れる。
      • 両面コピー:右ページ(奇数ページ)はページ番号を右側に、左ページ(偶数ページ)はページ番号を左側に入れる。ただし、検索性をそれほど重視しない文書では、ページ番号を各ページの下部中央に入れてもよい。

本文

  • 1行の文字数は40字以下にする。
  • 行間は文字サイズの3分の2にする。
    • 従来、行間は文字サイズの75%が標準とされてきたが、最近は少し狭くなる傾向にある。
    • しかし、狭くても文字サイズの50%が限度である。
    • 表内の文や図の説明の行間は50%よりも狭くしてもよい。
  • 字間は空けないのが基本。これをベタ組みという。
    • ベタ組みしても、文字同士が接触することはない。字面の一回り外側に仮想ボディーと呼ばれる仮想の線を、重ね合わせながら組んでいくからである。
    • 文字は、ベタ組みしたとき最も読みやすくなるようにデザインされている。
  • 紙の文書では、本文や図表が入るエリアのことを版面【はんづら】という。
    • 判型の面積に対する版面の面積の割合を版面率といい、この大小によって印象が変わる。
    • 一般には、版面率を60〜70%にするとよい。
    • 版面率が大きいと活気が出る。しかし版面率が大きすぎると圧迫感を増し、情報が多すぎて読むのが大変という印象を与える。
    • 版面率が小さいと上品になりゆとりが感じられる。小さくしすぎると、情報量が少なくなって一覧性が低くなりページ数も増加する。
  • よく使われる記号とその階層順序(上位→下位)は、次のようになる。
    • ◆⇒■⇒●⇒◎⇒○
    • 注目させたいときは、「★」「☆」「※」のような記号を使うとよい。

図表

  • キャプションを入れる。キャプションの役割は次の通り。
    • 何の図表であるかを示す。
    • 図表に補足説明を加える。
    • 図表番号付きのキャプションが入っていると、本文中で図表を参照するときにその図表番号が使える。
  • 図のキャプションは、図の下部に入れる。
    • キャプションは中央揃えで入れることもある。
  • 表のキャプションは、表の上部に入れる。
    • キャプションは中央揃えで入れることもある。
  • キャプションの文字サイズは、本文の文字サイズよりも1ポイント程度小さくするのが普通である。
  • キャプションは図表より本文に寄っていてはならない。
  • 大事な情報が、周囲にある文字や図形によって視覚的にわかりにくくなることを情報が埋没するという。大事な情報を埋没させないためには、次の点に注意する。
    • 大事な情報が目立つように、その周囲に空白部分を設けて、文字・図形を接近させて配慮しない。
    • 大事な情報が周囲の情報よりも強調されるように、大きくする、太くする、濃くする、色を付けるなどの工夫をする。
    • 全体を見通して、主体となる情報と補助的な情報の強弱や配置を考え、視覚的なメリハリを付ける。
    • 狭いスペースに情報を詰め込まない。
  • 立体グラフは平面的なグラフに比べて一見わかりやすい感じを与えるが、使い方によっては誤ったイメージを与えたり見にくくなることがある。

スライド

  • レイアウト・デザインは全体を通して統一する。
    • 一般的にデザインテンプレートを使えば、統一性が出る。
  • 横長にレイアウトする。
    • 図などはなるべく横長になるようにデザインしておく。
  • 本文は10行以内に。
  • ウィドウを避ける。
    • 箇条書きで1つの項目が2行以上になるときに、1文字だけが行の先頭にはみ出ることがある。欧文の組版では、1つの単語がはみ出ることをウィドウ(widow)と呼び、嫌われる。和文でもウィドウを避けよう。
    • ウィドウを避けるには、テキスト枠を狭くしたり、広げたりすればよい。
  • 左から右に向く矢印(ポジティブな方向)のほうが、自然な流れを適用して効果を上げられる。
  • 左上にアクセントを付ける。そうすることで、ごく自然に左上から読み進むことができる。
  • ひとつのテーマを1枚にまとめる。
  • 文は、メリハリを付けて簡潔に書く。
    • キーワードをカギカッコで囲み、一部を体言止めの箇条書きにして、全体を簡潔にするとよい。
  • 「読ませる」ではなく、「見せる」。
  • スライド番号を入れる。
    • スライド番号を入れることによって、発表後の質疑応答で質問者がスライド番号を使って質問しやすい。
  • アニメーション効果を活かす。
  • 画面切り換え効果を活かす。
    • 画面切り換え効果を使わないデジタルプレゼンは、平板な印象を与える。
    • 画面切り換え時間は短く設定する。
  • スライドが一通り完成したら、スライド一覧でチェックする。
  • 社名ロゴは強調しすぎない。
  • 著作権表示は少なくとも一ヵ所入れる。
  • タイトルページにはプレゼンを行った日付を入れておく。
  • フォントはMSPゴシックを使う。
  • ビジネスプレゼンの場では、クリップアートの使用は最小限に止める。
  • グラフではラベルを使う。
    • Excelなどの表計算ソフトで作った折れ線グラフや棒グラフでは、凡例が表示されるがこの凡例はわかりにくい。そこで、凡例を止めて折れ線や棒に直接ラベルを付けることをお勧めする。少し手間がかかるが、格段に見やすくなる。
  • 結論から各論へと説明する。
  • メモ書きして注意を惹き付ける。
    • マウスを使って、スライドに直接書き込みを行う機能がある。この機能を使えば、話し手と聞き手の間に、板書しているときのような交流を感じさせることができる。
  • PCを見ないでスクリーン上で説明する。
  • プレゼンに使ったデータは、後日に備えてわかりやすいファイル名をつけて保存する。再利用に備えて、ファイルを整理しておくべきである。
  • スライドの背景を濃い色にすると、そのスライドを印刷した資料はにじんでみにくくなる。しかも、メモも追加しにくい。

配布資料

  • プレゼンテーションのタイプにもよるが、次の種類の配布資料が考えられる。
    • プレゼンデータそのものの資料
      • 均等割り付けで両面印刷するとよい。
      • 聴き手はこの資料に手書きでメモなどを追加しやすいので、なるべく用意しておくとよい。
    • エグゼクティブサマリー
      • 提案骨格が簡潔に理解できることを目的にした資料。
      • 提案の骨格に関心を持つキーマン、時間がない人、日頃そのような要約で判断しているような人に向けて用意するものである。
    • 企画提案書
      • 提案の具体的な内容と、必要なデータとチャートが盛り込まれた資料。
    • データ集
      • 詳細を理解するためにデータをまとめた資料。
      • 詳細の部分まで理解や確認をしたい担当者向け。
  • ドキュメントは必要部数のコピー、ホチキス留め、製本などのセットアップを含めて、少なくともプレゼンテーション本番の3時間前にはできあがっていること。
  • セットアップ(企画提案書がすでにコピーされて製本された状態になった)後に、見つけてしまったミスはよほどの致命傷でない限り修正しない。
    • 些細なミスは、プレゼンテーション中に口頭で修正しておけばよい。

DTPRソフト

 DTPR(Desk Top PResentation)ソフトとは、プレゼンテーションのためのソフトウェアである。ビジュアル資料の作成やりあるタイムプレゼンテーションなどに活用される。

 主な機能には次のようなものがある。

  • オーサリング機能
    • テキスト編集
    • グラフィック編集
    • テンプレート作成
  • グラフ作成機能
    • データ解析
    • グラフ作成
  • スライドショー
    • ディスプレイで表示する順序を指定
  • 他ファイルの読み込み機能
    • グラフィックソフトや表計算ソフトなどで作成したファイルを取り込む

PowerPoint用データの作成

  • マスターを活用して、制作効率を向上させる。
    • 会社のロゴ・製品ロゴなどスライドに共通に入れたいときは、マスターを使うと便利である。
  • 実機で確認する。
    • パソコン上のスライドの色合いとスクリーンに映したスライドの色合いがかなり違って見えることがある。
    • 解像度のトラブルも多い。1,024×768ピクセル(XGA)や1,280×1,024(SXGA)では、画面の一部が切れたり映らなかったりするトラブルが起こることがある。
    • その他、配線・接続・電源は問題ないか、コードは足りるか、PCを使用するときに必要なソフトがインストールされているか、USBフラッシュメモリ持参でOKか、マウスは利くかなどの細かい点にも注意が必要である。
  • スライドショーの最後に黒いスライドを追加しておくと、スライドショーの最後のスライドの表示が終了した後、ツールバーやアウトラインが並んだ画面がいきなり表示させるのを避けることができる。
    • 「ツール」>「オプション」の「表示」パネルで「最後に黒いスライドを表示する」というチェックボックスにチェックを入れておく。

スライドの作成

  • フリーウェア
  • 大抵のPCにインストールされているツール
    • MS PowerPoint

スライド用画像の作成

  • 完全にデフォルトで用意されているツール
    • ペイント
  • フリーウェア
    • Gimp
  • 大抵のPCにインストールされているツール
    • MS Word
    • MS PowerPoint(お勧め)
    • MS Excel
  • 専用ソフト
    • MS Visio(超お勧め)
    • Adobe Photoshop
    • Adobe Illustrator

プレゼンテーションとマーケティングの類似性

  • マーケティング
    • 企業は消費者に対して広告や販売促進をすることで、消費者の購買行動を導く。
      • そのために、企業は市場考察・市場機会発見・マーケティング戦略が必要である。
  • プレゼンテーション
    • プレゼンターは聴き手に対して実際のプレゼンテーションをすることで、聴き手がプレゼンテーションへの理解・賛同・合同を得る。

参考文献

  • 『ロジカル・コミュニケーション』
  • 『説得できるプレゼン・図解200の鉄則 読み手がうなるデジタル文書はこう作る』
  • 『「プレゼンテーション」に強くなる本』
  • 『平成12年度 【要点・重点】短期集中速攻対策 第1種』


*1 和文タイプや活版印刷では、5号活字が本文の文字サイズの標準であった。5号活字は10.5ポイントに相当することから、今でもWordなどのワープロソフトでは10.5ポイントを本文の文字サイズの標準にしている。
*2 茶色・紫・黄緑など。
*3 白・グレーなど。