目次 †
レコード盤の違い †
- SP盤のレコード
- 毎分78回転。
- 天然樹脂のシェラックに粘土などを混ぜてプレスした重くて割れやすいものであった。
- LP盤のレコード
- 毎分33 1/3回転。
- SP盤の後に登場し、材質も軽く割れない塩化ビニール系のディスクが使われている。
- EP盤のレコード
レコードとなる前に、スタジオでは一旦高性能のテープレコーダーに録音したものを編集合成した上でラッカー原盤に機械的に溝を切っていく。こうして切れ込み(カッティング)されたラッカー原盤面には、銀膜を作って導電性とした上で銅を厚く電気メッキして、溝が逆に出っ張った形のマスター盤を作る。これからマザーを作り、スタンパーを作ってプレスするわけである。
ステレオレコードは、同時に右と左の2つのチャンネルが録音され、また取り出さなければならないが、右のレコードと左のレコードの2枚として同時に針を下ろすのは不可能である。そこで、1本の溝だけに2系統の音が録音・再生できる45/45方式と呼ばれるうまい方法が考え出された。
これは1本の溝の左側の壁には左の音、右側の壁には右の音が記録といったように、左右に別の波形を刻む方式である。レコード針の動きは盤面に対してお互いに45℃づつになっているために45/45方式と呼ばれるわけである。
録音特性とイコライザ †
レコード(ディスク)に刻まれている音の溝は、そもそもはラッカー原盤にカッティング・マシーンのカッター針が切り込んでいくわけですが、このカッターは電磁型のもので、針先の振幅は音の周波数に反比例する性質があるため、低音ほど大きく振れて、高音になると少ししか振れなくなる。
そこで、このままでは同じレベルで録音すると、低音では振れすぎて隣の溝まで食い込んだり、逆に高音の方は揺れが小さくて雑音と区別しにくくなったりしまうから、録音のときは低音の方のレベルを下げて、同時に高音域は上げて溝を切ることになっている。
このため、今度は音を再生するプレーヤーの方では、これを元に戻して平らにする(イコライズ)必要があるわけである。その回路をイコライザーという。
レコードプレーヤー †
ステレオまたはモノラルで音を入れたレコードを演奏して、中身の音を楽しむために必要な装置がレコードプレーヤーである。
ターンテーブル、ピックアップ、キャビネットの3つの部分から構成されている。
レコードプレーヤーの仕組み †
1:レコードには溝があり、この溝をピックアップカートリッジの針がトレースする。
2:針の途中の部分はゴム製のダンパーで留められているが、針の根元の部分はフリーになっており、そこに磁石が付いている。
3:針の根本についた磁石が動き、周りのコイルに電気が生じる。
4:この電気は非常に小さい電気なので、アンプで増幅することでスピーカーから音が出る。
[補講]レコードを作るのは、この手順と逆の操作をやればよい。針をビニールの円盤の上に置いて、円盤を回転させる。そして、音楽信号を逆に送り込む。するとコイルに電気が流れ、磁石の付いた針が振動する。その振動が円盤に伝わり、溝を削る。これがレコードの原盤になる。 ◇
レコードプレーヤーのモーター †
- フォノモーターとしては、簡易型では隈取りコイル式インダクションモーター、中級機でコンデンサー型インダクションモーター、高級機ではシンクロナスモーターが使われている。リム・ドライブ方式やベルト・ドライブ方式で規定の回転速度へ減速する。
- また、水晶発振を基準として正確な回転速度にするサーボ回路を組み合わせたダイレクトモーターで直接ターンテーブルを回すダイレクトドライブ方式の高級型もある。-ターンテーブルの回転にムラがあったり、モーターの振動が伝わったりすると、たちまち音の変化や雑音となって拾われるところなので、簡単なようで重要な部分といえる。
ターンテーブル †
レコードを載せる部分でモーターで駆動される。
このターンテーブルに要求される性能には次のようなことがある。
- 回転数が正確なこと
- 33・1/3あるいは45回転の回転数が不正確であるとピッチが変わってしまう。
- 回転むら(ワウフラッタ)が少ないこと
- 回転数は長時間で測定するものであるが、瞬間瞬間の回転の早さも一定でなければならない。この性能はワウフラッタあるいは回転むらとして、%で示される。ワウフラッタが高いと、音にゆらぎが出て不安定な感じを与える。
- 聴感的に音のゆらぎを感じやすいのは、毎秒2〜6回くらいの変動で、この変動の周期が速くなると、音色のにごり、ひずみ感となる。
- ランブルが少ないこと
- ランブルというのは、モーター、駆動力の伝達機構などから発生するゴトゴトという感じの機械的振動がピックアップで拾われてしまい、スピーカーから出るものである。これはできるだけ少ないほうがよい。
レコードプレーヤーのカートリッジ †
レコードプレーヤーのカートリッジは、音溝をたどった針(スタイラス)の動きを電気信号に変換する部分である。
カートリッジに要求される性能 †
- 適当な針圧(1〜5g)で、音溝を忠実にたどる(トレース)こと。
- 周波数特性がフラットなこと。
- 雑音、ひずみが少ないこと。
- ステレオ用では左右の信号の分離(チャネルセパレーション)がよいこと。
- 出力電圧がなるべく大きいこと。
- 音がよいこと。
カートリッジの種類 †
カートリッジには、幾つかの種類がある。カートリッジはヘッドシェルに取り付けて端子を繋ぎ、アームの先に固定される。
MM(Moving Magnet)型 †
- コイルを取り付けた磁石片の間で、その名の通り磁石がレコード針につれて動くタイプ。
- 磁石はアルニコ合金などの小さくても強力なものを使う。
- 左の受け持ちと右の受け持ちの2組のコイルと磁極片を組み合わせてある。
- 可動部分のカンチレバーもアルミからチタンやベリリウムなどの軽くて硬い材質が使われ、特性がよいわりに安価でつかいやすい型である。
IM(Induced Magnet)型 †
- 「Induced Magnet」とは「誘導磁石」という意味。
- IM型は、電磁型の一種。
- このタイプでは針先で動くカンチレバーにはパーマロイなど磁性体のパイプを付けただけなので、振動系が軽くなり特性もよくとれる。
- この磁性体の外から永久磁石の磁力線が通り、MM型と同様に働く。
MC(Moving Coil)型 †
- 「Moving Coil」とは「可動コイル」という意味。
- MC型も電磁的に出力電流を作るが、磁石側は固定されて、磁極のNとSの間でコイルの方が動く構造になっている。
- 特性がよい。
- コイルが小さいため、出力はMM型やIM型の1/5以下と小さくなり、特別なトランスや増幅段が必要になる。
セラミック型 †
- 「セラミック」とは「磁器」のことだが、チタン酸バリウムやジルコン酸鉛などを焼き固めた、いわゆる圧電磁器を利用したカートリッジである。
- 出力電圧がMM型やIM型の100倍にもなる(0.5〜0.2V)ので、簡単な増幅で済む。
- 安価でもあるため、普及型のプレーヤーに利用されていた。
トーンアーム †
ピックアップ・カートリッジを回転するレコードの上に支えて、針先がレコードの溝をスムーズにたどってゆくようにする仕掛けをトーンアームという。
普通はアームの一端を支えて取り付ける形式なので、針先はこの支点を中心とした円を描いて動くことになり、レコードの溝に対して常に直角というわけにはいかない。このズレを水平トラッキングエラーといい、これをなるべく小さくするために針先をレコード中心までもってきたときに少し前に出るようにオーバーハングを取ったり、アームの途中を曲げてオフセット角をつける。
カートリッジの針 †
- カートリッジの針先にも問題があって、レコードの溝は針で切り込むので波形の途中は幅が狭くなっているわけで、針先が太いとここで持ち上げられて上下振動し歪となる。カッター針に似た楕円針などは、この歪を減らす工夫である。
- 針先をレコードに乗せたときにかかる圧力(針圧という)も、使うカートリッジの指定値になるように、ウエイトやスプリングを調整する。
- レコードを乗せて規定の速度、毎分33 1/3回転とか毎分45回転で正確に回転させるのがフォノモーターとターンテーブルの組み合わせである。
参考文献 †