医薬品には多かれ少なかれ、副作用（生体にとり有害な作用）がある。しかし、病気を治すためには多少の副作用はやむを得ない（受忍できる）と考え、通常医薬品の利用を拒否しない。ところがあくまで「多少の」ということであって、死ぬのを覚悟で医薬品を飲む人は、普通いない。
副作用はどういうときにどの程度までのものが受忍できるだろうか。副作用を評価するのに、砂原茂一氏は『薬その安全性』（岩波新書）の中で次の7つの条件を挙げている。
この7つの条件を考慮して、やはり受忍せざるをえない場合、それは副作用といえる。しかし、受忍できない健康被害もある。それを薬害と呼び、副作用と区別する。
薬害多発の特徴として、次が挙げられる。
・1954年頃から次々と多発し裁判になるなど社会問題化したこと。
・当初はサリドマイドやアンプルかぜ薬など薬局で購入した大衆薬からも生じたが、他はすべて医療機関で処方された医療用薬により起きていること。
・1960年頃からの医療機関での医薬品の長期大量投与の中で薬害が多発したこと。
・1980年代には、従来の普通の治療薬に加え、診断用医薬品（X線造影剤など）、医薬品添加剤（メナテトレインなど）、濃縮血液製剤という特殊な医薬品、薬物相互作用などによる薬剤も顕在化し、多様なものとなっていること。
