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*目次 [#l678588c]

#contents


*交代群 [#wf67083a]

 1と-1を元とする集合{1,-1}を考える。積に関して群表を書くと次のようになり、群になることがわかる。

||1|-1|
|1|1|-1|
|-1|-1|1|

 つまり、{1,-1}は掛け算に関して閉じていて、通常の数の掛け算なので明らかに結合法則は成り立つ。この群の単位元は1、-1の逆元は-1である。

 n次の[[対称群]]SSUB{n};から群{1,-1}への写像fを次のように定義する。

-xが偶置換のとき、即ち偶数個の互換の積で表される置換のとき
--f(x)=1
-xが奇置換のとき、即ち奇数個の互換の積で表される置換のとき
--f(x)=-1

 すると、f:SSUB{n};→{1,-1}は[[準同型写像]]になる。~
 なぜならば、互換の個数を考えると、次のように「f(xy)=f(x)f(y)」が成り立つからである。

-(偶置換)(偶置換)=偶置換
-(偶置換)(奇置換)=奇置換
-(奇置換)(偶置換)=奇置換
-(奇置換)(奇置換)=偶置換

 したがって、[定理]「f:GSUB{1};→GSUB{2};を群GSUB{1};から群GSUB{2};への準同型写像とする。このとき、fの核Ker(f)は、GSUB{1};の[[正規部分群]]である」より、準同型写像「f:SSUB{n};→{1,-1}」の核Ker(f)はSSUB{n}の[[正規部分群]]になる。

 ここで、Ker(f)をASUB{n};で表し、''n次の交代群''という。この'A'は"alternating group"の頭文字である。

 つまり、交代群ASUB{n};は対称群SSUB{n};の正規部分群になるわけである。

#divid(s,thorem)
[定義]n次の交代群はASUB{n};で表し、次を満たす。

ASUB{n};~
=Ker(f)~
={x∈SSUB{n};|f(x)=1} (∵1は{1,-1}の単位元であるから)~
={1,2,…,n}上の偶置換全体を作る集合 (∵f(x)=1ということは「xが偶置換である」ということと同じだから)
#divid(e,thorem)

*交代群の元 [#x27982b7]

#divid(s,notice)
[例題]3次の交代群ASUB{3};の元をすべて求めよ。

[解答]3次の対称群SSUB{3};の元は全部で6(=3!)個である。この6個は次の置換である(すべて巡回置換)。

-(1)
-(2 3)
-(1 2)
-(1 3)
-(1 2 3)=(1 2)(1 3)
-(1 3 2)=(1 3)(1 2)

 この中から偶置換、即ち偶数個の互換の積を探すと、次の3個である。

-(1)
-(1 2 3)=(1 2)(1 3)
-(1 3 2)=(1 3)(1 2)

この3個の元がASUB{3};の元である。 ◇
#divid(e,notice)

*交代群と置換群の関係 [#g238909a]

#divid(s,thorem)
[定理]交代群は[[置換群]]の[[部分群]]である。
#divid(e,thorem)

*交代群と交代群の関係 [#nd5a49ec]

#divid(s,thorem)
[定理]交代群A⊂対称群S~
「⊂」は「含む」という意味の記号である。
#divid(e,thorem)

*交代群の位数 [#fdef7038]

#divid(s,thorem)
[定理]n>1のとき、交代群ASUB{n};の位数はn!/2である。~
即ち、次が成り立つ。

&mimetex("|A_n| = \frac{n!}{2}");
#divid(e,thorem)

#divid(s,proof)
[証明]f:SSUB{n};→{1,-1}に対して、[[準同型定理]]を適用する。
[証明]f:SSUB{n};→{1,-1}に対して、[[群準同型定理]]を適用する。

&mimetex("S_n / \mathbb{Ker} f \conq f(S_n)");

n>1だから、互換(1 2)がSSUB{n};に属するので、f((1 2))=-1より、f(SSUB{n};)={1,-1}となる。

よって、&mimetex("S_n / A_n \conq \{1,-1 \}");が成り立つ。

ここで、次が成り立つ。

|SSUB{n};|~
=(SSUB{n};:ASUB{n};)|ASUB{n};| (∵[[ラグランジュの定理]]より)~
=|SSUB{n};/ASUB{n};||ASUB{n};| (∵商群の位数は、剰余類の個数であるため、|SSUB{n};/ASUB{n};|=(SSUB{n};:ASUB{n};))~
=2|ASUB{n};| (∵[定理]「同型な群の位数は等しい」より、|SSUB{n};/ASUB{n};|=|{1,-1}|=2)

よって、次が成り立つ。

|ASUB{n};|~
=|SSUB{n};|/2 (∵上記の結果)~
=n!/2 (∵SSUB{n};の位数はn!であるから) □
#divid(e,proof)

*参考文献 [#o87d6a2f]

-『群論なんかこわくない』
-『13歳の娘に語るガロアの数学』