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*目次 [#w3973a79]

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*ギブソン [#fa0c337f]

-ジェームズ・ギブソン(James J.Gibson)
-1904年オハイオ州生まれ
-父:鉄道会社に勤務
-母:教師
-1922年プリンストン大学哲学科に入学、心理学を専攻。
-学位取得後、スミス・カレッジで初めて職を得る。
-1940年代、第2次世界大戦中に空軍の知覚研究プロジェクトの一員として参加。
-生涯に100を超える研究論文を残す。
-生涯に3冊の書物を残す。それぞれいずれの著作も10年以上の構想と推敲によって書かれて力作である。内容は理解しやすい言葉で書かれているが、本質は難解である。
--『視覚世界の知覚』
--『知覚システムとしての感覚』
--『視知覚への生態学的アプローチ』(邦訳『生態学的視覚論』) 
-生涯をかけて一つのことだけを考えつづけた人(タフなサイエンティスト)。


*ギブソンの思考の歩み [#q91ea6c8]

1:ビジュアル・ワールド(地面)の発見⇒「光学的傾き」の発見

 従来の知覚理論(水晶体や眼筋の緊張、両眼の視線の方向差などによる奥行きの手がかり)では優れたパイロットたちの知覚は説明できない。そこで、ギブソンは視覚世界における面(サーフェス)をその面上のキメ(テクスチャー)で判断できると考えた。実験によると考察どおり、両眼視差などの眼球手がかりが向こうになるほど遠くに杭があっても、背景として大地のキメさえあれば、目の前のどの杭と同じ長さかどうか判断できた。そこで、ギブソンはキメの変化のパタンを勾配(グレーディエント)または変化度と呼び、奥行きを直接表している「知覚の刺激」の有力候補と感型。ただし、この時点でまだギブソンは網膜の像が視覚の原因と考えた。

2:「地理的傾き」の発見

 1940年代後半から50年代前半にかけて、ギブソンはこのありのままの知覚を直接説明できる刺激が存在するというアイデア(1のアイデア)の検討に没頭する。そして、「キメの勾配」が必ずしも「奥行きの刺激」にはなりえないことに気付く(必要条件であり十分条件ではなかったということ)。

 例えば、ある面が他の面に重ねて置かれるように配置されたときには前の面の知覚は背景となる面の性質によって変化する。一般に背景となる面のキメが濃い場合にはその前に置かれたもう1枚の面はより遠くにそしてより大きく見える。子の場合には一つの面の上にあるキメではなく、前の面と後ろの面が成すレイアウト(配置)が問題となる。

 ここでギブソンは面の傾きには2種類あることに気付く。一つは知覚者の網膜面と環境の中の面が作る「光学的傾き」であり、もう一つは対象の面と地面とが成す「地理的傾き」である。

3:「動き」の発見

 例えば小さな[[アメーバ]]のような模様をたくさん集めてできたポテト形などのキメにも輪郭にもなんら規則性がない形をスクリーンに映し出しても、面の傾きは知覚されない。ただし、このような不規則パタンの面であっても、「動く」という操作を行うと極めて正確に面の傾きの知覚が得られる。

 伝統的な知覚理論は一貫して「形」の論理で知覚を説明してきたが、ギブソンはその動き(形そのものではなく形の変形)にこそ意味があると見出したのである。


*参考文献 [#f54348f4]

-『岩波科学ライブラリー12 アフォーダンス 新しい認知の理論』