【STEP 00】オシロスコープのプローブ補正(校正) — 実験の前にやるべきこと【オペアンプ入門学習キット編】
目次
はじめに
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
ミジンコに転生したIPUSIRONです😀
「手と頭で覚える キットで遊ぼう電子回路シリーズNo.8 オペアンプ入門」(ADWIN CORPORATION)の実験記録です。
オペアンプの実験に入る前に、まずオシロスコープのプローブ補正(校正)を行います。これを怠ると、波形に余計なオーバーシュート(立ち上がり時に本来の値を超えて跳ねる現象)やなまり(角が丸くなり、鋭い変化が再現できない現象)が加わり、正しい測定ができません。
実験キットの回路が正しく組めているのに「波形がおかしい」と悩む原因の多くが、実はプローブの校正不足だったりします。
使用機器
- オシロスコープ: OWON デュアルチャンネル カラー デジタルストレージオシロスコープ(25MHz / 100MS/s)
- チャンネル: CH1(赤)、CH2(黄)
プローブ補正とは何か
オシロスコープのプローブ(とくに10:1プローブ)は、内部に補正用のトリマーコンデンサーを持っています。このコンデンサーの容量を調整することで、プローブの周波数特性をフラットにする作業がプローブ補正です。
なぜ必要か
10:1プローブは入力信号を1/10に減衰させます。
この減衰比が全周波数帯域で均一でないと、以下のような問題が起きます。
- 低補正(Under-compensated): 高周波成分が減衰しすぎ → 矩形波の角が丸まる
- 過補正(Over-compensated): 高周波成分が強調されすぎ → 矩形波の立ち上がりにスパイク(ヒゲ)が出る
- 適正補正: 減衰比が均一 → 矩形波の角が鋭くフラット
プローブの等価回路と補正の原理
10:1プローブの内部は、抵抗とコンデンサーの直並列回路になっています。

- Ct(トリマーコンデンサー): プローブ内の可変コンデンサー。これを調整する
- Cin: オシロスコープの入力容量(固定値、機種ごとに異なる)
補正が適正な条件は次の通りです。
$$R_{probe} \times C_t = R_{scope} \times C_{in}$$
この時定数が一致すると、全周波数帯域で正確に1/10の減衰比が実現されます。
校正手順

1. プローブの接続
- プローブ先端をPROBE COMP端子(5V 1kHz矩形波出力)に接触させる
- アース(ワニ口クリップ)をGND端子に接続する
2. プローブ倍率の統一(重要!)
2つの設定を必ず一致させてください。
| 設定箇所 | 操作 |
|---|---|
| プローブ本体の物理スイッチ | x10に設定 |
| オシロスコープ本体のメニュー(CH MENU → Probe) | 10Xに設定 |
不一致の場合、表示電圧が10倍ずれるだけでなく、波形にオーバーシュートが発生します。
これはプローブ補正の問題ではなくインピーダンスの不整合なので、トリマーをいくら調整しても直りません。
3. 波形の確認
AUTOSETボタンを押して波形を表示し、矩形波の形状を確認します。
| 波形の状態 | 症状 | 判定 | 対処 |
|---|---|---|---|
| 角が鋭くフラット | 立ち上がり・立ち下がりともにシャープ | 適正 | 調整不要 |
| 角が丸まっている | 立ち上がりがなまっている | 低補正 | トリマーを時計回りに微調整 |
| 立ち上がりにヒゲ・スパイク | オーバーシュートが見える | 過補正 | トリマーを反時計回りに微調整 |
4. トリマー調整
- プローブ根元付近の小さなスロット穴を非金属ドライバー(セラミックやプラスチック製)で調整する
- 金属ドライバーを使うと、ドライバー自体の静電容量が測定に影響する
- 一度に大きく回さず、少しずつ調整する
- 調整後は波形が安定するまで数秒待ってから判断する
x1とx10の使い分け
| 設定 | 入力インピーダンス | 帯域幅 | 用途 |
|---|---|---|---|
| x10(推奨) | 10MΩ(高い) | 良好 | 通常測定はこちらを使う |
| x1 | 1MΩ(低い) | 劣る | mV以下の微小信号のみ |
x1モードは回路に対する負荷が大きい(1MΩのインピーダンスが並列に入る)ため、測定対象の回路動作に影響を与えてしまいます。とくにオペアンプ回路のような高インピーダンスな回路では、x10を使うのが鉄則です。
校正結果の確認方法
PROBE COMPの5V矩形波(デューティ比50%)を正しく測定できていれば、以下のようになります。
- 振幅: 5Vpp(5V/div設定で1マス分)
- 平均電圧: 約2.5V(理論値。2.40〜2.60V程度なら正常)
- 周波数: 1kHz
校正のタイミング
以下のタイミングでプローブ補正を行ってください。
- プローブを新しく使い始めるとき
- プローブを別のオシロスコープに接続し直したとき
- 環境温度が大きく変化したとき
- 定期的なメンテナンスの一環として
- CH1とCH2のプローブはそれぞれ個別に調整が必要(プローブごとにCt値が異なるため)
最終設定値
今回の校正で確定した設定です。
| 項目 | CH1 | CH2 |
|---|---|---|
| Coupling | DC | DC |
| Channel | ON | ON |
| Probe | 10X | 10X |
| Inverted | OFF | OFF |
| プローブ物理スイッチ | x10 | x10 |
| VOLTS/DIV | 5V/div | 5V/div |
| 時間軸 | 500us/div | 500us/div |
CH1・CH2ともに校正完了。オシロスコープ使用準備OKです。























