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参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

【STEP 00】オシロスコープのプローブ補正(校正) — 実験の前にやるべきこと【オペアンプ入門学習キット編】

2026年3月18日

「手と頭で覚える キットで遊ぼう電子回路シリーズNo.8 オペアンプ入門」(ADWIN CORPORATION)の実験記録です。
オペアンプの実験に入る前に、まずオシロスコープのプローブ補正(校正)を行います。これを怠ると、波形に余計なオーバーシュート(立ち上がり時に本来の値を超えて跳ねる現象)やなまり(角が丸くなり、鋭い変化が再現できない現象)が加わり、正しい測定ができません。
実験キットの回路が正しく組めているのに「波形がおかしい」と悩む原因の多くが、実はプローブの校正不足だったりします。

使用機器

  • オシロスコープ: OWON デュアルチャンネル カラー デジタルストレージオシロスコープ(25MHz / 100MS/s)
  • チャンネル: CH1(赤)、CH2(黄)

プローブ補正とは何か

オシロスコープのプローブ(とくに10:1プローブ)は、内部に補正用のトリマーコンデンサーを持っています。このコンデンサーの容量を調整することで、プローブの周波数特性をフラットにする作業がプローブ補正です。

なぜ必要か

10:1プローブは入力信号を1/10に減衰させます。

この減衰比が全周波数帯域で均一でないと、以下のような問題が起きます。

  • 低補正(Under-compensated): 高周波成分が減衰しすぎ → 矩形波の角が丸まる
  • 過補正(Over-compensated): 高周波成分が強調されすぎ → 矩形波の立ち上がりにスパイク(ヒゲ)が出る
  • 適正補正: 減衰比が均一 → 矩形波の角が鋭くフラット

プローブの等価回路と補正の原理

10:1プローブの内部は、抵抗とコンデンサーの直並列回路になっています。

  • Ct(トリマーコンデンサー): プローブ内の可変コンデンサー。これを調整する
  • Cin: オシロスコープの入力容量(固定値、機種ごとに異なる)

補正が適正な条件は次の通りです。

$$R_{probe} \times C_t = R_{scope} \times C_{in}$$

この時定数が一致すると、全周波数帯域で正確に1/10の減衰比が実現されます。

校正手順

1. プローブの接続

  1. プローブ先端をPROBE COMP端子(5V 1kHz矩形波出力)に接触させる
  2. アース(ワニ口クリップ)をGND端子に接続する

2. プローブ倍率の統一(重要!)

2つの設定を必ず一致させてください

設定箇所操作
プローブ本体の物理スイッチx10に設定
オシロスコープ本体のメニュー(CH MENU → Probe)10Xに設定

不一致の場合、表示電圧が10倍ずれるだけでなく、波形にオーバーシュートが発生します。

これはプローブ補正の問題ではなくインピーダンスの不整合なので、トリマーをいくら調整しても直りません。

3. 波形の確認

AUTOSETボタンを押して波形を表示し、矩形波の形状を確認します。

波形の状態症状判定対処
角が鋭くフラット立ち上がり・立ち下がりともにシャープ適正調整不要
角が丸まっている立ち上がりがなまっている低補正トリマーを時計回りに微調整
立ち上がりにヒゲ・スパイクオーバーシュートが見える過補正トリマーを反時計回りに微調整

4. トリマー調整

  • プローブ根元付近の小さなスロット穴を非金属ドライバー(セラミックやプラスチック製)で調整する
  • 金属ドライバーを使うと、ドライバー自体の静電容量が測定に影響する
  • 一度に大きく回さず、少しずつ調整する
  • 調整後は波形が安定するまで数秒待ってから判断する

x1とx10の使い分け

設定入力インピーダンス帯域幅用途
x10(推奨)10MΩ(高い)良好通常測定はこちらを使う
x11MΩ(低い)劣るmV以下の微小信号のみ

x1モードは回路に対する負荷が大きい(1MΩのインピーダンスが並列に入る)ため、測定対象の回路動作に影響を与えてしまいます。とくにオペアンプ回路のような高インピーダンスな回路では、x10を使うのが鉄則です。

校正結果の確認方法

PROBE COMPの5V矩形波(デューティ比50%)を正しく測定できていれば、以下のようになります。

  • 振幅: 5Vpp(5V/div設定で1マス分)
  • 平均電圧: 約2.5V(理論値。2.40〜2.60V程度なら正常)
  • 周波数: 1kHz

校正のタイミング

以下のタイミングでプローブ補正を行ってください。

  • プローブを新しく使い始めるとき
  • プローブを別のオシロスコープに接続し直したとき
  • 環境温度が大きく変化したとき
  • 定期的なメンテナンスの一環として
  • CH1とCH2のプローブはそれぞれ個別に調整が必要(プローブごとにCt値が異なるため)

最終設定値

今回の校正で確定した設定です。

項目CH1CH2
CouplingDCDC
ChannelONON
Probe10X10X
InvertedOFFOFF
プローブ物理スイッチx10x10
VOLTS/DIV5V/div5V/div
時間軸500us/div500us/div

CH1・CH2ともに校正完了。オシロスコープ使用準備OKです。