【STEP 17】正弦波発振回路(ウィーンブリッジ)ー 信号源の準備と調整【オペアンプ入門学習キット編】
目次
はじめに
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ミジンコに転生したIPUSIRONです😀
「手と頭で覚える キットで遊ぼう電子回路シリーズNo.8 オペアンプ入門」(ADWIN CORPORATION)の実験記録です。
正弦波発振回路を使う実験のための準備
オペアンプの各種増幅回路を実験するには、入力信号が必要です。ファンクションジェネレーター(信号発生器)を持っていない場合、本キットに内蔵されているウィーンブリッジ正弦波発振回路が信号源になります。
STEP番号は17ですが、STEP 02(反転増幅回路)より前に確認・調整しておくべき工程です。信号源が正しく動作していなければ、増幅回路の実験で期待通りの出力が得られません。
ウィーンブリッジ発振回路とは
ウィーンブリッジ発振回路は、オペアンプを使った正弦波発振器の代表的な回路です。
発振の仕組み
オペアンプに正帰還と負帰還を同時にかけ、特定の周波数で発振条件を満たすように設計されています。
発振条件(バルクハウゼンの条件):
- ループゲイン = 1(増幅率 × 帰還率 = 1)
- ループ位相 = 0°(360°の整数倍)
本キットの回路仕様
| パラメーター | 値 |
|---|---|
| 発振周波数 | 780Hz |
| 出力端子 | OUT4 |
| 振幅調整 | VR1(半固定ボリューム) |
| ツェナーダイオード | ZD1, ZD2(振幅制限用) |
回路図


回路は正帰還経路と負帰還経路の2つで構成されています。
- 正帰還経路(青): R-Cのネットワークで周波数を決定する。特定の周波数でのみ位相が0°になり、発振条件を満たす
- 負帰還経路(赤): R3とVR1でゲインを設定する。ZD1/ZD2が振幅を制限し、正弦波の歪みを防ぐ
構成部品
| 部品 | 値 | 役割 |
|---|---|---|
| R, R | 18kΩ | 周波数決定用抵抗 |
| C1, C2 | 0.012uF | 周波数決定用コンデンサー |
| R3 | 22kΩ | 負帰還抵抗 |
| R4 (VR1) | 20kΩ可変 | ゲイン調整(半固定) |
| ZD1, ZD2 | — | ツェナーダイオード(振幅安定化) |
| IC | 4558D | オペアンプ |
発振周波数は以下の式で決まります。
$$f = \frac{1}{2\pi RC}$$
R = 18kΩ、C = 0.012uFの場合:
$$f = \frac{1}{2\pi \times 18000 \times 0.000000012} \approx 737\text{Hz}$$
部品の誤差により、実測は約780Hzになります。
調整手順
1. 回路の組み立て
教材の挿入図面に従い、SINE WAVE OSCILLATORエリアに部品を挿入します。

2. 電源投入と波形確認
- 電源を入れる(基板上のLEDが点灯することを確認)
- オシロスコープのプローブをOUT4端子に接続
- AUTOSETで波形を表示

3. VR1(半固定ボリューム)の調整
ここがもっとも重要かつ注意が必要な工程です。
VR1は発振回路のゲインを調整する半固定抵抗です。
- ゲインが低すぎる → 発振しない(波形が出ない)
- ゲインが適正 → きれいな正弦波が出る
- ゲインが高すぎる → 正弦波が歪む(クリッピング)
調整方法:
- 非金属のドライバーでVR1を微調整する
- 「回転させながら調整する」のではなく、少し回して固定し、波形を確認するを繰り返す
- きれいな正弦波が得られたらそこで止める
4. 波形の確認
調整が完了すると、オシロスコープに780Hzのきれいな正弦波が表示されます。

出力振幅が大きすぎる場合の対処
問題:オペアンプ実験で出力が飽和する
ウィーンブリッジ発振器のOUT4出力は約4Vpp程度になることがあります。これをそのまま反転増幅回路(G=3.3倍)に入力すると:
$$4\text{Vpp} \times 3.3 = 13.2\text{Vpp}$$
電源電圧±6Vのオペアンプでは出力範囲が約±5Vなので、出力が飽和してクリップ(矩形波化)します。
解決策:抵抗分圧回路の挿入
OUT4とオペアンプ入力の間に分圧回路を追加し、入力振幅を下げます。

RaとRbの比率で減衰量を決めます。たとえば入力を1/4にしたい場合:

$$\frac{V_i}{V_{OUT4}} = \frac{R_b}{R_a + R_b}$$
Ra = 30kΩ、Rb = 10kΩなら:
$$\frac{10k}{30k + 10k} = 0.25$$
4Vpp × 0.25 = 1.0Vpp → 増幅後3.3Vpp → 電源電圧の範囲内に収まります。
基板のジャンパーピン端子を利用すれば、ハンダ付けなしで分圧回路を追加できます。

教訓
- VR1の調整は「微調整して固定」が基本。グリグリ回しながら調整するものではない
- オペアンプ実験では入力振幅の事前計算が必須。出力が電源電圧を超えないことを確認してから実験する
- 信号源の振幅が大きい場合は分圧回路で落とすのが確実で簡単
- VR1だけで振幅を下げようとすると、発振条件ギリギリになり不安定になることがある






















